シェア・インターナショナル 2020年9月号

シェア・インターナショナル誌のオンライン版では、印刷版からの抜粋を紹介しています。各オンライン版には、ベンジャミン・クレームの師による完全な記事が含まれています。幅広いトピックをカバーする他の記事のほとんどは抜粋です。オンライン版には通常、Q&A、読者からの手紙、マイトレーヤ臨在の徴の写真も含まれています。

印刷版の目次は、ページの下部をご覧ください。

ベンジャミン・クレームの師よりの記事
シェア・インターナショナル誌の創刊以来、ベンジャミン・クレームの師は、執筆された時だけでなく、世界情勢に応じて適切な時に掲載される記事を提供してきました。以下の記事は、それぞれ2013年と2015年に書かれたものですが、国際社会が、危機の全容を理解しようと苦闘している現在の私たちの困惑と恐怖を代弁している。「これからどこに行くのか?」と世界は疑問を抱いています。私たちは、私たちのシステム、態度、価値観の欠如を明らかにする出来事に覆い尽くされています。覚者方は人類に、心を開いて新しいことに備えるよう助言しています。

contents

新しい状況の到来――覚者より 

今まさに間近に起こる出来事は多くの人々を当惑させるだろう──政治、経済、社会に現れる変化のスピードはあまりにも速く、しかもそれは非常に頻繁に起こるだろう。

多くの者にとって、彼らの主な反応は不安と困惑であろう。それらの変化の性質とその規模の大きさに当惑し、怯えながら、それを変容する社会の徴として見るだろう。他の者たちは新しい顕現を恐れ、憤るだろう。あらゆるところで人々は、自分たちが取るべき正しい方向に確信がなく、用心深く行動するだろう。

しかしながら、人々がそのように行動するのもあまり長くないだろう。彼らは、自分たちがまことに変化しつつある世界に住んでいることに気づき、彼らの信念や価値観に対するより大きなチャレンジに悩まされるだろう。
かくして、人は古いものから新しいものを確立し始め、この時代のチャレンジに応えるために彼らの能力をますます発揮し始めるだろう。

これらの記事は、ハイアラキーの上級メンバーである覚者によるものである。彼の名前は秘教界ではよく知られているが、まだ明かされていない。マイトレーヤの出現に関する主要なスポークスマンであるベンジャミン・クレームは、覚者と常にテレパシーでコンタクトをとっており、彼に記事を口述していた。

覚者による他の記事を見る

読者質問欄(抜粋)

世界中のあらゆる講演において、そして生涯のほぼ毎日、ベンジャミン・クレームは広大な範囲に及ぶ大量の質問を受けました。この大量の記録から、過去の年月にベンジャミン・クレームと彼の師である覚者によって提供された回答を掲載したいと思います。

Q 個人としての私にとってのマイトレーヤの目的とは何ですか。

A マイトレーヤの目的は人類を神へともたらすことであり、それは自分自身の神性を認識し、それを表現することです。つまりあなたが神であるかのように生きることを意味します。それは宗教に入ったり修道僧や尼僧になることではなく、あなたが接触するあらゆる人々との関係において彼らが自分自身であるかのように行動することです。そのためには私たちは戦ったり競争したりせずに、平和の中に生きなければなりません。共に生きるという考えから競争を消さなければなりません。誰もが潜在的には神であり、誰もが自分自身の成長のリズムを持っています。速い人もいればゆっくりな人もおり、一つの線に沿って発達する人もいれば、様々な発達をする人もいます。そしてこのようにしてすべての生活様相が網羅されます。

Q 難民や移民についてどうお考えですか。

先進国の多くが抱える大きな問題の一つが移民問題──移民の到着です。アメリカとEU諸国の中には、巨大な障壁を設け、国境に壁を築きました。彼らが言っているのはこういうことです。「彼らはここに来てはいけない。私たちは彼らを欲しない。彼らはここに来て私たちの仕事を奪う。彼らは迷惑で、数が多すぎる。私たちの国は何千人もの移民を受け入れるほど大きくはない」。その一方で、ますます多くの難民や移民が仕事を求めてやって来続けます。彼らは途上国から来て、国では仕事がないため、先進国に来て仕事を得ようと思い、合法かさもなくば非合法にやって来ます。英国は過去の帝国である英連邦の中心です。ある時代には、英連邦に属する国々のどこからも英国に来ることが許されていました。それは多かれ少なかれ英国人と同じでした。今ではそれは困難になり、入国には何年も待たされます。そして自国民と移民との間には巨大な壁や障害が存在します。
しかし、何世紀にもわたって移民の波を受け入れてきた国家はすべて、彼らによって豊かになっています。移民は地域の生活に異なった特質を持ち込みます──異なった料理、異なった考え方、異なった宗教、予想もしなかった多くの異なったやり方です。それらは私たちの生活の質を豊かにします。そしてアメリカについて言えば、移民が現代のアメリカをつくったのです。
マイトレーヤの仕事は、このことを理解するように人類を鼓舞することであり、私たちが一つであり、人類という一つのグループとして一つの世界に住むことを目指すべきであるということを知らせ受け入れさせることです。彼はいかに生きるかを人類に教えなければならず、私たちはそれに応えなければなりません。私たちはそれを自分で考えたかのように必要なものと見なければなりません。マイトレーヤは人類に助言する仕事を持ちますが、彼が言うことの現実性を見るのは私たちの仕事であり、それは単なる別のアイディアではなく、私たちに絶対的に不可欠な行為であることを知らなければなりません。そしてそれを欲しなければなりません。それを歓迎し喜ばねばなりません。私たちは分かち合いの原則を受け入れ、それを実施しなければなりません。

Q また別の経済危機が起こるでしょうか。それとも私たちはすでに最悪のものを経験しましたか。

それはまだ終わりに達していません。それは続くでしょう。上がったり下がったりするでしょう。特に通貨的な意味では多少の改善はあるでしょうが、労働や産業の見地からは、アメリカやヨーロッパのような国が回復するには長い年月がかかるような崩壊が起こるでしょう。毎週何十万もの職が失われています。途上国ではそれはどんなものか考えてごらんなさい。(2009年9月)

呼びかけ

私たちの情報をウェブサイトだけで受け取る人が増え、シェア・インターナショナル誌を購読するためのわずかな費用を惜しむ人が増えていることに気づきました。

誰もがインターネットを使えるわけではないし、そうであるわけでもありません。つまり、印刷された雑誌が必要です。もちろん、それにはボランティアによる多くの作業と、制作・配布のための多くの資金が必要となります。ハイアラキーはこの仕事のためにお金を出しているという考え方があるかもしれませんが、そうではありません。シェア・インターナショナルの購読料は、私たちの活動を維持し、一般の人々に届けるために不可欠なものです。購読料は可能な限り低く抑えられており、雑誌は広告による補助を受けておらず、印刷代や郵送料は常に値上がりしています。

インターネット上の情報を読む読まないにかかわらず、この活動を真剣に信じるすべての人が、この雑誌を支援したいと思うことは、きっと誰もが認めることでしょう。

ご支援ありがとうございました。

編集長への手紙(抜粋)

シェア・インターナショナルには、ベンジャミン・クレームと彼の師が、覚者たち、あるいはその「代弁者」との本物の出会いであると確認した未発表の手紙を預かっています。

したたかな知恵

編集長殿
以下の出来事は20年(あるいはそれ以上)前に起こりましたが、いつだったか正確に覚えていないので申し訳ありません。私は今まで何年もの間たびたび、それはマイトレーヤの現れだったのではないかと思ってきました。

友人と私はロンドンのフレンズハウスの外にいて、クレームさんの講演に来ていました。私たちがドアに近づくと、ひどく取り乱した様子の若い男性が私のところにやって来ました。彼が言うには、彼にはお金が無くて、その夜8時までに工面できないと、住む場所を無くして路頭に迷うことになるということでした。もちろん、私は彼に同情し、持っていたお金を彼に渡しました。それで終わりです。

やはり、その(素敵な顔立ちの)若い男性はマイトレーヤだったかもしれないと思うのです。
B・F、英国、サリー州
【ベンジャミン・クレームの師は、その『取り乱した若い男性』がマイトレーヤであったことを確認した】

一人二役

編集長殿
(1)2004年4月30日の四街道市で、私たちの伝導瞑想グループメンバーのAさんが、車で家に帰って駐車場に車を止めました。その瞬間、彼の目の前をクレームさんがビニール袋を持って通り過ぎたのです。クレームさんは見たところスーパーマーケットからの帰りのようでした。Aさんは非常に驚いて、即座にその人がマイトレーヤに違いないと思ったのです。車から降りて、すぐに後を追いかけようとしました。けれども、どこにも姿は見つかりませんでした。その人はマイトレーヤでしたか。

M.O 、日本、千葉県四街道市
【ベンジャミン・クレームの師は、その人がマイトレーヤであったことを確認した】

よく似たイメージ

(2)2005年5月15日に、クレームさんが出席する東京の公開伝導瞑想会に参加するため、友人と私は東京へ向かう列車の席に座っていました。途中で50代の女性が黒い杖を手に持って、孫息子と一緒に列車に乗ってきました。座席は満席でした。男の子は女性を心配して、「あぁ、おばあちゃん、どうしようか? 席に座れないね」と言いました。彼らは私の前に立っていたので、私が彼女に席を譲りました。彼女に席を譲った時、彼女は真っ直ぐに私の目を見てお礼を言ってくれました。表情のない彼女の顔が、私の顔にとても近くなったのは、彼女の腰がひどく曲がっていたからでした。私は心の中で、「この女性は若く見えるけど、美しくも醜くもない人だわ。彼女の顔は本当に特徴がない」と思っていました。彼らの会話から、(推測すると)彼女はニューヨークでの事故で腰を骨折し、手術を受けたとわかりました。現在彼女はリハビリの運動として、時折列車で出かけているのです。彼女は『丁寧な物腰』で話をする人で、孫息子に向かって「その当時、私は本当にとてもたくさんの人たちに助けられました」と話していました。いくつか駅を過ぎて、彼女の隣の席が空くと、彼女はそこへ移動して私に「どうぞ座ってください」と言いました。それで私は彼女の隣に座り、彼女の孫息子の顔が小学生のようなのに、背丈が大人の男性の平均よりもずっと高いことに気づきました。彼らが列車を降りる時、彼女が私の目を真っ直ぐに見つめながら、もう一度お礼を言ってくれましが、やはり(以前と同じように)彼女の顔は無表情だったのです。その時には、彼らが普通の人たちだと思っていました。けれども後になって鏡に映った私の顔を見た時、その女性に顔が良く似ているとわかったのです! 彼らはマイトレーヤとイエス覚者でしたか。

M.O 、日本、千葉県四街道市
【ベンジャミン・クレームの師は、その女性がマイトレーヤで、彼女の孫息子が東京の覚者であったことを確認した】

時代の徴

ここでは、編集部にとって「希望の兆し」であり「時代の兆し」である現象を紹介します。幸いなことに、ベンジャミン・クレーム師によって本物であると確認された現象のストックは、現在かなり多くあります。しかし今後は、確認されていないものも紹介する予定です。私たちは、それぞれの「奇跡」または「徴」の現象において、可能な限り徹底的に調査することを約束し、過去にベンジャミン・クレームの覚者から常に提供されていた確認や、追加情報を現在利用することができないため、判断は読者のみなさまにお任せします。詳細については、入手可能な場合は、写真のキャプションに記載されています。

(Source: mufon.com)

イギリス──2020年4月19日の午後、英国のシェトランド諸島のウェブカメラ画像を見ていた視聴者が見つけたもの。「空に浮かぶ幾つかの不思議な物体……それはサンバー灯台の上を飛ぶ、今まで私が見てきた何よりも早く移動していました」
(mufon.com)

Photograph © F.S.

ドイツ、バイエルン州アマー湖近郊のミステリーサークル。アマー湖はミュンヘンの南西にある大きな湖。画像はFrank Schweikert(許可掲載)

(Source: mufon.com)

アメリカ──2020年6月11日、アリゾナ州ジェロームで一組の夫婦が眺望の良い場所で足を止めた。夫は同時に通常ではない光の瞬きを目撃し、彼の妻は同じ方角の写真を撮った。後に彼らが写真を見てみると、そのうちの1枚に角が四つある物体が低空に写っていた。
(mufon.com)

勇気と恐れないこと──選集(抜粋)
Courage and fearlessness – a compilation

「勇気と恐れないこと」というテーマに関する引用文の選集を掲載する。これはマイトレーヤのメッセージ(『いのちの水を運ぶ者』と『いのちの法則』)、ベンジャミン・クレームの師の言葉(『覚者は語る』第Ⅰ巻と第Ⅱ巻)、およびベンジャミン・クレームの著書から抜粋したものである。(本誌2008年7月号の選集「新しい教育」も参照のこと)

人間が変化の必要を理解するとき、今日彼らを恐れさせているものを喜んで受け入れるだろう──理解と勇気は携え合って進む。新しく見いだされる寛容が古い不信感を一掃するだろう。古い借金はご破算にされ、智恵の黎明が人間の心(マインド)と行動に差し込むだろう。人間が自分たちの一体性を悟るとき、そしてその認識に基づいて行動するとき、すべてが可能になる。
(『覚者は語る(Ⅰ)』─変化の中にある世界─より)

恐れるでない、我が友よ。困窮しているすべての人々を助けるために、勇敢に、そして喜んで与えなさい。あなた方がこれをなすとき、あなた方が出でたあの本源なる神(神性)の領域に入るのである。それは神御自身の行為である。だから、我が友よ、来るべき偉大な変化の顕現をもう(ただ)待つのではなく、それらの変化をあなた方の行動によってもたらしなさい。
(マイトレーヤ、2006年4月6日)

競争の中で表現される恐怖を人類の意識から除去してしまわなければなりません。ではどうすればよいか、その方法を見つけなければなりません。マイトレーヤに訊ねるならば、彼はこう言うでしょう──「わたしを信頼しなさい。いのちを信頼しなさい。あなた自身を信頼しなさい。裡なる神を信頼しなさい。そして世界の資源を分かち合いなさい」。私たちが分かち合いの原則を受け入れるや否や、そしてそれによって世界に正義がもたらされるや否や、競争はなくなるだろうと私は思います。
競争の災いは二つのことに基づいています──貪欲と恐怖です。貪欲は恐怖の結果です。恐怖は、いのちに反するところのものについての基本的、根本的表現です。恐怖を取り去るとき、いのちのエネルギーを解き放ちます。
(ベンジャミン・クレーム、『協力の術』)

脅えながら生きる必要はないのです。誰も恐怖の中に生きる必要はありません。恐怖心はグラマーです。他のいかなるグラマーよりも悪いものであり、ほとんどのグラマーの底にあるものだと思います。(イニシエーションを授ける)イニシエーターの御前に立つ望みを持つ者は誰でもそれを克服しなければなりません。
恐怖心の中で生活している間はイニシエーションを受けることができません。イニシエートになれません。恐怖心を完全になくすまで、覚者になることはできません。恐怖心に取り組み、そして真のディサイプル(弟子)の上向きの、緊張した前進への勢いを人生の中で顕示するためには勇気が必要です。
(ベンジャミン・クレーム、『マイトレーヤの使命 第Ⅱ巻』)

オバマ前米大統領によるジョン・ルイス氏への追悼演説

2020年7月30日、エベニーザー・バプテスト教会、アトランタ

ジョン・ルイス氏は、「私たちすべての中に、偉大な勇気を持つことができる能力があることを、正しいことを行いたいという願いがあることを、すべての人を愛したいという意志があることを、また尊厳と敬意に対する神から与えられた権利をすべての人に与えたいという意志があることを信じていました。私たちの多くがその感覚を失っています。それは私たちの内側から教えられることです。私たちは実際、あたかも親切や良識を他の人々に与えることができないように感じ始めています。私たちは他の人々より上であり、彼らを見下せばより恵まれていると感じ始めています。それは私たちの文化の中でしばしば奨励すらされています」。

ジョン・ルイス氏

・・・

「ジョン・ルイス氏は、私たちの一人ひとりすべてが、天与の力を持っていることを知っていました。またこの民主主義の運命は、私たちがそれをどのように使うかによって決まることを知っていました。民主主義は自然に発生するものではなく、育てる必要があること、世話する必要があること、私たちがそのために働かなければならないこと、それが難しいことを知っていました。主はパウロを次のように導きました。『恐れるな。語り続けよ。黙っているな。わたしがあなたと共にいる。だから、あなたを襲って危害を加える者はない。この町には、わたしの民が大勢いるからだ』。まさにすべての人は外に出て、投票に行かねばならないのです。町にはそうしたあらゆる人々がいるわけですから、何もしないというわけにはいきません」

「ジョン・ルイス氏のように、私たちが持つ最も強力な手段のためにも、もっと懸命に闘わねばなりません。それは投票する権利です。投票権法は、私たちの民主主義の最高の達成の一つです。それが、ジョン・ルイス氏があの橋を渡った理由です。それが、彼が血を流した理由です。彼がそのために死をいとわなかったその法律に活力を吹き込むことによって、彼を称えましょう。私たちはジョン・ルイス投票権法を通過させたのですから、それをさらに良くするために行進を続けるべきです」

「やり直しの機会を得た元受刑者を含むすべての米国人が、自動的に有権者登録されることを確実なものとすることによって。投票所を追加し、期日前投票を拡大し、投票日を国の休日とすることによって。すなわち、もしあなたが工場で働いている労働者であっても、もしくは仕事に行かねばならないシングルマザーで休みが取れないとしても、投票することができるように。すべての米国市民が、ワシントンDCに住む人もプエルトリコに住む人も、私たちの政府の中で票の平等を持つことを保証することによって。彼らはみな米国人だからです」

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「そして、私たちはまたルイス氏の言葉を思い出さねばならないでしょう。『ものごとを変えるために、あなたができるすべてのことを行わないなら、物事は変わらないでしょう。あなたはこの道を一度しか通らないのです。あなたが持つすべてのものをそれに与える必要があります』。若い人々が、本当の変化が起こることを望みながら通りで抗議を続ける限り、私は希望を持っています。しかし、私たちは不用意に投票をあきらめることはできません。あらゆるレベルでこれほどまでに緊迫した選挙はほとんどなかったので、なおさらそうです。もし時間があれば行うようなこととして、投票を扱うことはできません。民主主義のために取ることのできる最も重要な行動として、投票を扱う必要があります」

本誌通信員より

経済的な分かち合いの原則(抜粋)

シェセバスチャン・ヴィユモ

分かち合いは、今日の人類が直面している問題を解決する鍵である。分かち合いを通してのみ、経済的な正義を達成することができる。できなければ、長引く不正は分裂、緊張、さらには戦争さえも引き起こすだろう。しかし、経済的な正義とは正確には何を意味するのだろうか。資源の分かち合いを支配する具体的な原則は何なのか。

交換における公正さ

経済的な正義を心に描くことができる一つの方法は、「公正な代償の原則」と呼べるものの実施を通してである。これは、大きな集団的な経済的努力において、誰もが全体への貢献に見合った取り分を受け取るべきであるという考えに相応している。この原則は、1789年のフランス人権宣言に記されており、その最初の条項で「社会的差別は、共同の利益に基づくものでなければ、設けられない」と述べられている。これは搾取とは正反対である。搾取は貢献と比べて少ない報酬しか得られない状況に相応し、それは権力の座にある他の人々がそれらの努力の成果を不当に占有しているためである。

今日、この原則の望ましさに関して幅広いコンセンサスが見られるが、それでもなお、その具体的な意味については意見の相違がある。より正確には、問題は、どのような基準で個人の貢献度を計るべきかということである。

特に経済学者の間での支配的な見方は、重要なのはその人の生産性、つまり経済的価値を生み出す能力であるというものである。その観点から見れば、先見の明のあるビジネス起業家が、例えば販売員よりも多くを受け取ることは公平ということになる。なぜなら、前者は後者よりもGDPに多く貢献しているからである。経済的評価は主に現制度において市場の力によって決められるため、このビジョンは保守的な傾向があり、自由市場でのオープンな競争から生じるどのような不平等も公正なものと見なされる。

しかしながら、活動の社会的有用性を正確に反映していないという意味で、市場価値は歪んでいると主張することもできる。興味深いことに、新型コロナウイルスのパンデミックに続くロックダウン(都市封鎖)により、(例えば、食品や介護の分野における)幾つかの仕事は、狭い経済的観点から見ると、報酬が少ないために比較的低い価値しか認められてこなかったが、極めて重要であるという現実に光が当てられた。したがって、公正な代償の原則の別の解釈は、社会的有用性に応じて、つまり、市場価値ではなく使用価値を生み出す能力に応じて受け取るべきであるというものである。

しかし、この後者の見方でさえ、ある人は生まれながらにして他の人よりも才能に恵まれ、それはその人の個人的な行動や決断の結果ではないため、報酬をもたらす才能が不公平であるという理由で批判される可能性がある。非常に才能のある人は、一般的な人よりも公共の利益に貢献することができるが、両者とも一生懸命に働いているならば、所得の違いを正当化できるであろうか。したがって、公正な代償の原則に関する三番目の最も平等な解釈は、資産は努力に応じて分配されるべきであり、後者は経済的義務を遂行する際に発生する個人的な犠牲または困難と定義されるというものである。

このような重要な違いがあるにもかかわらず、公正な代償の原則のこの三つの類別はすべて、特定の経済制度(私たちが今暮らしている制度、もしくは別の歴史的または仮説的な制度)の正当性を判断する基準を提供している。したがって、一つの制度が不公平であると見なされる場合、その論理的な意味合いは、公平の原則に近い資産分配を実現するよう制度を変換することが必要であるというものである。この再分配は、分かち合いの行為と見なすことができる。

・・・

人間の必要を満たす

分かち合いを考えるもう一つの方法は、「必要の原則」と呼ばれるものを通してである。それは、誰もが自分の必要に応じて受け取るべきであるという考え方に相当する。これは、すべての普遍的な基本的必需品がすべての人々に与えられるべきであることを意味する──食物、住居、健康管理、教育、衣料、交通機関、インターネット。これには、それほど普遍的ではない必要も含まれており、補償されるべき障害や傷害事故のために、もしくは完全に開発し実現するために幾らかの投資を必要とする傾向や特別な能力のために、個人個人によって異なる可能性のある必要も含まれる。 この原則は、1948年の世界人権宣言の第22条に明記された──「すべての人は、社会の一員として、社会保障を受ける権利を有し、かつ、国家的努力および国際的協力により、また、各国の組織および資源に応じて、自己の尊厳と自己の人格の自由な発展とに欠くことのできない経済的、社会的および文化的権利を実現する権利を有する」

・・・

私たちの現在の経済制度はこの基準にどの程度適応しているだろうか。疑いもなく、必要の原則を満たしていないことは明らかである。何億もの人々が、他の基本的な必要については言うまでもなく、十分な食料を持っていない。同時に、有用性が疑われる大量のものが毎日製造されている。この制度は、公正な代償の原則の保守的な解釈さえも満たしていない。カール・マルクスの知的努力の中心はまさに、資本所有者は権力の座にあるため、他者によって生み出された価値を搾取できるということを示すことだった。最近では、フェミニストは、無報酬の家事は言うまでもなく、女性は男性よりも同一のスキルと仕事内容に対して支払われる報酬が低いという事実に光を当てている。国際関係の分野では、経済学者のラウル・プレビッシュとハンス・シンガーが開拓した「依存理論」によって、貧困国が富裕国との貿易において不平等な交換に屈していることが示された。

したがって、分かち合いの原則を実現するためには、私たちの経済制度を大きく変える必要がある。これは私たちの政策や制度にとって何を意味するのだろうか。

第一に、すべての人間にとって有効な現実になるように必要の原則が実施されなければならない。幸いなことに、私たちはゼロから始めるわけではない。幾つかの国には、この原則の影響を直接受けている制度がすでに存在する。 一つは社会保障であり、その厳密な形態は国によって異なるが、通常は様々な生活状況(病気、失業、退職、障害、親子関係)において必要が満たされることを保証する給付金を提供している。もう一つは公共サービスで構成されており、様々な基本サービス(教育、輸送、インフラ、肉体的な安全)の無料もしくは安価な利用を提供している。これらの計画は、現在では緊縮政策によって非難されているが、それとは逆に強化され、より多くの必要を満たすために拡大されるべきであり(食糧と住居はその分かりやすい候補である)、すべての国に拡張されるべきである。それらはユニバーサル・ベーシックインカムによって補完することもできる。

・・・

アマゾン森林と人々が危険な状態にある(抜粋)

チアゴ・スタイバーノ・アルべス

ブラジルのアマゾン多雨林は約340万平方キロメートルで、アメリカ合衆国の半分の面積よりも少し大きく、世界の酸素の20%を生産している。それは世界最大の熱帯雨林で、4万種の植物と1,300種の鳥類の住処である。そこには3,000万以上の人々が住んでおり、世界の生物多様性の10%以上が存在する。アマゾン熱帯雨林は、樹木が二酸化炭素を吸収するので、気候危機に対する最大の「緩衝材」の一つである。

ボルソナーロ政権はブラジルの歴史における最大のアマゾン伐採の増加と焼失に対する責任がある。彼らは環境保護法にいら立ち、意図的に先住民を無視し、環境保護活動家への非合法の脅しや殺害、そして地域の先住民の破壊を続けている。

今年の6月、この国の森林破壊の割合は昨年の同月に比べて10.6%増加した。最初の半年で、その増加は2019年の同時期に比べて25%増加し、3,069.57平方キロに達した。これはサンパウロ市の面積の2倍に等しく、3,027平方キロあるヨセミテ国立公園の面積を上回っている。2019年には、NGO「グローバル・ウィットネス」によれば、ブラジルは世界の熱帯雨林全体の3分の1の損失に見舞われた。

アマゾン熱帯雨林は、樹木が二酸化炭素を吸収するので、
気候危機に対する最大の「緩衝材」の一つである。
photo: flikr CC2.0

法律は弱体化し、人々と森林は無視されている

森林破壊の増大は、現在の農業大臣リカルド・サレスによる様々な環境政策の緩和や弱体化と密接に関連している。法改正により先住民への保護が取り除かれたが、彼らの生活様式は森林と密接に結び付いており、熱帯雨林の保全と保護における主要な要因の一つである。現在の政権が採用している手段は、先住民の土地を侵略し、搾取し、商業化することを可能にするものである。さらに地域の人口密集地域を危機に晒すのは、村落などの人口のいる地域の近くで殺虫剤の使用を可能にする法律である。政府はまた新型コロナウイルスから先住民を守る緊急プロジェクトを拒否した。それは国家がそれらの人々に飲料水と公衆衛生と病床を提供するものであり、感染症に対する先住民の状況はさらに脆弱化された。加えて、環境省の予算が大幅に削られ、非合法な森林の燃焼や伐採を監視する機関の権限が縮小された。最後に、今ブラジル議会で審議中の法案があり、それが通過すれば、その地域の新たな搾取的建設プロジェクトを許可するために環境基準が緩和されることになる。

これらの政策が新型コロナウイルス感染拡大の中で行われたということに注目すべきである。環境大臣自身が、「伝染病は国の環境法を‘passar a boiada’(緩める)ために利用しなければならない」と述べている。メディアの注目が国内の感染者数と死者数に集まっている中で、これらの政策に対する注目はほとんどない。

・・・

シェア・インターナショナル2020年9月号
印刷版全内容

  • 覚者より 新しい状況の到来
  • 今月号の内容概説
  • 視点 国連が世界の最も貧しい27億人のために臨時ベーシックインカムを呼びかける
    ジュリア・コンリー
  • 経済的な分かち合いの原則 セバスチャン・ヴィユモ
  • ジョン・ルイス氏を追悼する ―平和、正義、非暴力に捧げた人生
  • オバマ前大統領によるジョン・ルイス氏への追悼演説 一抜粋
  • 動物王国のために
    マクネア・エザードによるマーク・ベコフ氏へのインタビュー
  • 新型コロナの状況下における難民と移民労働者の窮状 グラハム・ピーブルズ
  • 時代の徴 空の徴
  • 善を鼓舞する力 
    アレクサンドリア・オカシオ=コルテス氏へのインタビューからの抜粋
  • 勇気と恐れないこと ―選集
    Courage and fearlessness — a compilation
  • アマゾン森林と人々が危険な状態にある チアゴ・スタイバーノ・アルベス
  • 編集長への手紙 したたかな知恵 他
  • 読者質問欄 回答 ベンジャミン・クレーム

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