シェア・インターナショナル誌のオンライン版では、印刷版からの抜粋を紹介しています。各オンライン版には、ベンジャミン・クレームの師による完全な記事が含まれています。幅広いトピックをカバーする他の記事のほとんどは抜粋です。オンライン版には通常、Q&A、読者からの手紙、マイトレーヤ臨在の徴の写真も含まれています。
印刷版の目次は、ページの下部をご覧ください。
シェア・インターナショナル誌の創刊以来、ベンジャミン・クレームの師は35年近くにわたって毎月記事を提供してきました。これらは書かれた時点だけでなく、世界情勢に応じて適切な時に掲載されることを意図していました。
未来に備えて――覚者より
一つの時代の終わりと新しい「宇宙の周期」の始まりにかけて、すべてがばらばらになり始める。古い、試みられてきた生活のあり方はもはや機能しないか、あるいは前進しつつある人類の必要を満たさない。確信が不確かに代わり、知られていることはその説得力を失い、人々は当惑し、途方にくれ、恐怖でいっぱいである。かくして、古い双魚宮(パイシス)の時代と新しい宝瓶宮(アクエリアス)の律法の間にあるこの移行の局面にあって、今日われわれは当惑しながら立つ。
宝瓶宮の時代はおよそ2,350年続くだろう、そしてそのエネルギーが次の数世紀にかけて力を増大させていくにつれて、人々に多くの恩恵をもたらすだろう。しかしながら、現在は双魚宮の、もはや用をなさないのだが、まだ抜け出せない古いやり方が大多数の人間の思想と行動を左右し、支配する。そうであるから、数え切れないほどの大勢の人間が、現在のところ強力で支配的な国々のリーダーたちの行動によって牛耳られている。かくして今は激変とストレス、不調和と葛藤の時である。
この苦悩の時はもはやあまり長く続かないだろうということは確実である。すでに、変化の兆候は、あなた方の兄であるわたしたちには明らかである。現在のものとは全く異なった状況の輪郭がはっきりと見える。わたしたちには、平和な世界が、正義が支配し、自由が至るところにいる人間の生活を飾る世界が見える。現在の病は過渡的で過ぎ去るものであることを、新しい夜明けの光が人間の生活を照らし、彼らを行動へと駆り立てることを、わたしたちは知っている。また、人々は心(ハート)の中で変化への用意ができており、それを願望していることを、そしてそのチャレンジに熱意と意志をもって立ち向かうだろうということを、わたしたちは知っている。彼らは鼓舞(インスピレーション)と導きを待つのみである。
マイトレーヤは約束の時刻を待ちながら、その鼓舞(インスピレーション)と導きを、完全に、そしてより多く授けることを切望する。それは、カルマの法則によって、彼が進行するのを可能にする。
そのとき、偉大なる主は公に人間の分野にお入りになるだろう。そうして、彼は権力と富を持つ人々の思い上がりに挑戦するだろう。マイトレーヤは声なき何千万の人々のために、日々苦悩の中に生きる貧窮し飢えた人々のために、彼らの“上位”の者たちの勅命にあえて挑戦し獄中で衰えている人々のために、語るだろう。マイトレーヤは、正義と自由を愛する者たちのために語り、彼らの大義の声を高らかに上げるだろう。彼は、戦争によって支配する者たちの激怒を和らげるだろう。そして人間の王国を汚す戦争が入り込む扉を永遠に閉ざすだろう。これらのすべてを、マイトレーヤは人間を通して達成し、地球に平和と健全さを復興させるだろう。
穏やかに、そして目的をもって、彼は人間が受け継ぐべき黄金の未来に備え、そのような未来を形づくっていく男女である“輝ける光”を集合させるだろう。
(シェア・インターナショナル誌2007年12月号)
これらの記事は、ハイアラキーの上級メンバーである覚者によるものである。彼の名前は秘教界ではよく知られているが、まだ明かされていない。マイトレーヤの出現に関する主要なスポークスマンであるベンジャミン・クレームは、覚者と常にテレパシーでコンタクトをとっており、彼に記事を口述していた。
覚者による他の記事を見る
質疑応答(抜粋)
世界中のあらゆる講演において、そして生涯のほぼ毎日、ベンジャミン・クレームは広大な範囲に及ぶ大量の質問を受けました。この大量の記録から、過去の年月にベンジャミン・クレームと彼の師である覚者によって提供された回答を掲載したいと思います。
私は不思議に思います。あなたはマイトレーヤの仕事の優先順位について話されますが、社会には多くの犯罪やドラッグ(麻薬)があります。なぜでしょうか。
犯罪とドラッグの問題は人々が、自分が誰であるかをよく知らず、それを表現できないことの結果です。誰もが魂であり、物質界に転生した神の聖なる反映です。しかし、教育の貧しさや条件付け、自分に不利に働く社会状況のために、日常においてその神性を反映することができず、自分自身と闘い、自分自身の延長にあるものとして、自分がその一部である社会と争います。社会が分断されればされるほど、豊かな社会と貧しい社会が分断されるほど、豊かな国家と貧しい国家が分断され、国家の中でも貧富の差があればあるほど、より多くの分離が起こります。それが必然的に、より断片化した社会、より多くの犯罪、より多くの薬物使用につながります。
人々は人生から逃避し、人生の緊張を和らげるためにドラックを使用します。それには無益感、自分は偉大な何かだがそれを表現できないという感覚が伴います。人々は不満を募らせ、敵対的になり、「何の役に立つのか。死んだ方がましだ」と考えます。ドラッグを使用する人々の多くにとって、それはゆっくりとした自殺です。彼らは自分が死ぬだろうことを知っており、それを望んでいます。自尊心をすべて失ってしまったからです。社会から疎外されたと感じ、絶望した人々は犯罪やドラッグのような反社会的行為に走ります。
最初にすべきことは自己尊重を養うことです。それなしには、進歩はありません。自己尊重は次第に自己認識へとつながり、自己認識から真我実現(魂の実現)に至ります。それが全人類の目標です。それを実践しなければなりません。実際にそれをしなければなりません。実践することです。心(マインド)の正直さ、生気(スピリット)の誠実さ、無執着を実践すれば、自己を知るようになるでしょう。神を知るようになるでしょう。それほど単純なことなのです。
編集長への手紙(抜粋)
シェア・インターナショナル誌には、未掲載手紙の保留分が多数あり、それらはベンジャミン・クレームと彼の師によって、覚者方あるいは「代弁者」との本物の出会いであると確認されたものである。その他の掲載された手紙は新しいものであり、覚者が関わっているかどうかを確認すること、もしくは示唆することもできないが、読者の考慮のためにこれらの手紙は提供されている。
遊び旅の仲間
2004年2月、メイク・ア・ウィッシュ財団から資金提供を受け、家族と一緒にハワイに向かう飛行機に乗っていました。その財団は生死に関わる病気の子供たちの願いを叶える機会を提供しています。私たちの11歳の息子セバスチャンは再生不良性貧血を患っていて、ハワイを見ることが彼の願いでした。
私は年配の夫婦の隣の席で、子供たちと夫は後ろの列の席になりました。8歳の娘は私と一緒に座りたかったので機嫌が良くありませんでした。すると私の隣の女性が娘と席を替わってくれたのです。そういうわけで、その後、私たち一家とそのご夫婦との会話が始まりました。
女性の方は大変に社交的で、自分の人生の体験について率直に語ってくれました。そうした話には不思議なほど、私自身の人生と似通っていると思われるものがありました。彼女は夫の隣に座っていたので、夫が読んでいたサイエンス・フィクション(SF)の本を文字通りひったくって、その本について尋ねていました。彼女はSFについて聞いたことがなかったと言い、夫がそうした本を読む価値は、新しい社会のあり方や未来へのアイディアを思い描けることだと説明しました。彼女から、夫はきっとこのような本を書くことができると言われました。それから彼女は、ふざけた様子で息子の頭から野球帽を取り上げて、それを通りすがりのスチュワーデスに手渡すと、パイロットにその帽子にサインさせてほしいと伝えました。彼女は息子に大変関心を持ってくれて、息子の生活についてたくさんの質問をしてきました。彼女はとても楽しげな表情で、遊び心のあるきらめいた瞳をしていました。
空の旅の終わりに、私たちは飛行機から降りるのを待ちながら、座席の場所に立っていました。息子がその女性の年恰好にしては、とても若く見えると伝えました。彼女は少し誇らしげに、毎日いかに念入りに手入れをしているかについて話していました。それから彼女が着ていたスマートなスポーツ用のジャージの上着のファスナーを開くと、とても大ぶりな銀のペンダントが首の回りに見えました。それは太めの長い銀のチェーンから提がっていました。皆の目がそれに引き付けられました。彼女はそれが何を表現していると思うか尋ねてきました。私はそれをじっくり眺めていて、宗教的なシンボルが付いているようだと気づいたのです。サンスクリット語のOMの記号、キリスト教の十字架、イスラム教の三日月形の鎌と星、そして仏教の法輪について話しながら、私はシンボルのことを指摘しました。彼女は何年も前にメキシコでそれを買ったこと、そしてお気に入りのアクセサリーであることを説明してくれました。それから私たちは飛行機から降りて、自分たちの目的地へと向かいました。
この女性はもしかして変装したマイトレーヤだったのでしょうか。
E・G
ドイツ、シュタイアーベルク
【ベンジャミン・クレームの師は、その『女性』がマイトレーヤであったことを確認した】
T・B
(写真提供:T・B)
米国、アルバータ州セント・アルバート
呼びかけ
私たちの情報をウェブサイトだけで受け取る人が増え、シェア・インターナショナル誌を購読するためのわずかな費用を惜しむ人が増えていることに気づきました。
誰もがインターネットを使えるわけではないし、そうであるわけでもありません。つまり、印刷された雑誌が必要です。もちろん、それにはボランティアによる多くの作業と、制作・配布のための多くの資金が必要となります。ハイアラキーはこの仕事のためにお金を出しているという考え方があるかもしれませんが、そうではありません。シェア・インターナショナルの購読料は、私たちの活動を維持し、一般の人々に届けるために不可欠なものです。購読料は可能な限り低く抑えられており、雑誌は広告による補助を受けておらず、印刷代や郵送料は常に値上がりしています。
インターネット上の情報を読む読まないにかかわらず、この活動を真剣に信じるすべての人が、この雑誌を支援したいと思うことは、きっと誰もが認めることでしょう。
ご支援ありがとうございました。
時代の徴
ベンジャミン・クレームの師によって確認されていない「希望の徴」と「時代の徴」をここに掲載する。それらの「奇跡的な」特性を検証することはできないため、判断は読者に委ねたい。
世界中の奇跡

2005年のクリスマスとお正月の間に、オランダ北部のフリースラント州ウォルクムで撮影された子牛の像。マイトレーヤからの祝福。(オランダ、アムステルダム在住、B.Sさん提供)

アメリカ──2022年8月12日の夜、ノースカロライナ州上空を飛行中のパイロットが高々度で、光り点滅する謎めいた飛行物体を目撃し撮影した。飛行機と同じ速度で現れると、時に横並びに飛行した。
(ufosightingsdaily.com)(掲載許可済み)
瞑想と魂 ――選集(抜粋)
Meditation and the soul ── a compilation
「瞑想と魂 」というテーマに関する引用文の選集を掲載します。引用文は、マイトレーヤのメッセージ(『いのちの水を運ぶ者』と『いのちの法則』)、ベンジャミン・クレームの師の言葉(『覚者は語る』第Ⅰ巻と第Ⅱ巻)、およびベンジャミン・クレームの著書から抜粋したものです。
Q なぜ瞑想はそんなに重要なのですか。
A 魂は肉体人間ではなくリアリティ(実相)です。物質界はそれ自体の観点から見れば現実ですが、魂の観点から見れば現実ではなく、それは相対的なものです。問題は、私たちがそれを全体だと思っていることです。しかし、それはより偉大な全体の相対的な部分でしかありません。部分は全体を見ることはできませんが、全体は部分を──そして様々な部分を──見ることができます。魂の観点から見れば、何度も何度も転生する魂の努力はこの橋を徐々に築く一連の器を創造し、バラバラであったものを融合することです。物質への退化の過程を逆に戻り、物質の霊化が起こります。
私たちは自分自身の諸体の物質(メンタル体、アストラル体、肉体)を霊化します。魂は各々の転生で、螺旋上のより高い旋回において、より高い振動の一連の諸体を創ります。(もしすべてうまくいくならば)私たちはやがて、あまり多くの制限なしに、そして究極的にいかなる制限もなしに魂を表現することのできる肉体を持ちます。
瞑想はそれを始動させる過程です。あらゆる宗教や精神修養の中に、上昇へのあらゆる道の基礎に、何らかの瞑想があるのはその理由によります。伝導瞑想ではないかもしれないし、あなたが本で読んだり、知ったりした様々な瞑想でもないかもしれません。しかし、何らかの瞑想によって魂との整列が起こるに違いありません。なぜなら転生しているのは魂だからです。魂を避けたり回避したりすることはできません。魂がリアリティ(実相)です。その現実を認知しなければならず、それを認知する方法は橋、帰還の道、アンタカラーナの構築を通してです。
(『マイトレーヤの使命 第Ⅲ巻』)
今までは、「超魂」についてのわれわれの知識は宗教の関連からきていた。そのため、「超魂」は人間から遠い存在であり、認識され、遠くから崇拝されるべき何かであるという印象を残した。しかしながら、人が進化するにつれて、「超魂」は自分自身であることを、自分の、より高位でより純粋な部分であるが、にもかかわらず、自分自身であることを理解するようになる。かようにして、人は進化し、自分の真の本質と目的についての知識を深めていく。
今日、非常に多くの人間がそのような道程を歩むことについて、意識的に認識している。彼らにとって人生の意味は深まり、より優れた知識と体験を探究する。かくして、やがて彼らは瞑想に向かい、その実践を通して、より大きな発見が彼らのものとなる。一歩一歩、彼らは自分たちが「超魂」であることを確信し、それは何か遠く離れたアイディアではなく、まさに彼ら自身であることを知る。徐々に、彼らの人生のテンポ(速度)は変化し、より深い意味と目的が彼らの行うすべてを強化する。かようにして、人間は超魂の神性と知恵をますます反映させながら、完全への道程を前進する。
(『覚者は語る(Ⅱ)』─上昇の道─より)
瞑想には、いろいろなやり方がありますが、一般的には、多かれ少なかれ魂との接触を持ち、徐々に魂と一体となるための科学的手段です。そして魂はこの物質界に明確に強力に自身を顕すことができるようになります。
魂の特質を顕している人間に出会うとき、生命の意義と目的とが輝き出ているような人間であると感じます。例えば、ずば抜けて創造的な科学者とか芸術家とか政治家とか教育者とかのように。そのような人々は、明らかに普通一般の人々と全く異なるエネルギー、力によって支配されています。それは魂のエネルギーであり、それが彼らを通して流れ出るのであり、われわれの文化、文明を豊かにしてくれる創造的人間をつくり上げています。
伝導瞑想は、魂との繋がりを持ち、そのエネルギーがわれわれを通して流れる最も簡単な手段であると思います。普通、瞑想を正しく行うためには、非常に強力な精神集中の力が必要であり、ほとんどの人にとってこれはかなり困難な仕事です。一般に人々が瞑想と呼んでいるのは、しばしば瞑想ではなく、単なる精神集中あるいは沈思にすぎません。瞑想には、精神集中も含めれば、五つの段階があり、第一段階から次の段階へと徐々に深められていきます──精神集中、瞑想、観照、照明、霊感。
(『伝導瞑想──21世紀のヨガ』)
誰もあなたを導くことはできない。あなたは、自分自身について認識するように、自分自身の裡なる師を知るように、生まれついているのである。あなたの内的な空間は聖なるものである。そこで、すべての物事が、あらゆる問題が解消するのである。あなたが疲れて、脅えて、腹に据えかねたとき、あなたが自分の空間を見つけるために一人にしておいて欲しいとき、そこに行くのである。「あなたはその空間を与えられているのであり、そこであなたの周りの混乱や混沌を解消するのである。その空間をあなたの本当の真我以外に、誰にも譲り渡してはならない。瞑想とは実に、安らぎと幸せを見つけるためにその空間に戻る旅である」
(『いのちの法則』)
民衆の声 「もう たくさんだ」
──英国の生活のコストに何十万人もの抗議の声
この欄で、本誌は、マイトレーヤの指導の下、すべての人の人権と必要が認められて満たされる正義ある社会の創造に向かって、人々が指導者たちを導いて行くまで、ますます高まる民衆のパワーの潮流のうねりに焦点を当てるものである。
2022年10月1日、国民行動の日に、英国中の50以上の都市で何十万もの人々がデモ行進し、生活費の危機に反対して抗議の声を上げた。これは、この数年で英国において見られた最大の同時発生的な抗議の波であった。
「もうたくさんだ」キャンペーンの主催者は、英国政府に対する五つの主要な要求を掲げた。昨年から家賃は平均11%上昇し、家計の光熱費は年間3,500ポンド(約59万円)に近づいている。
彼らの要求は以下のものである。国の最低賃金の大幅な上昇。光熱費の削減。食料貧困の終結。すべての人のための適切な住宅の供給。富裕層への課税強化と大企業の利益への課税。・・・
ロンドンの抗議デモに参加した補助教員ファーザラ・カノンさんは、上昇する光熱費への支払いとキャリアへの投資の選択を迫られていると述べる。「しかし、私たちが共に声を上げれば状況は変わるかもしれません」
(Common Dreams; 英国、ガーディアン紙; wesayenough.co.uk)
本誌通信員より
『アメリカ寡頭政治の隠された歴史』 トム・ハートマン著
ルーク・ギオリーによる書評(抜粋)
ハートマン氏は、著書『アメリカ寡頭政治の隠された歴史──支配階級から民主主義を取り戻す』で、民主主義と寡頭政治の定義を次のように単刀直入に述べている。「民主主義とは人民の、人民による、人民のための支配であり、寡頭政治とは富裕層の、富裕層による、富裕層のための支配である」
その著書には、寡頭制の支配者がアメリカの民主主義を寡頭政治に置き換えるために、二度試みて失敗した経緯が詳しく書かれている。ハートマン氏は、今日、彼らはアメリカの実験を民主主義から寡頭政治に変えるために三度目の挑戦をしようとしており、さらに、アメリカを寡頭政治から完全な専制政治に移行させようと後押ししていると警告している。
この本は、ドナルド・トランプ氏がホワイトハウスで指揮を取っていた時期に書かれたものである。トランプ前大統領を寡頭政治の支持者であり、彼自身が寡頭制の支配者であるとハートマン氏が見なしていることは明らかである。
寡頭政治がどのように機能するか、また、寡頭制の支配者たちの民主主義に対する戦争に勝つことがいかに可能であるかについても述べている。
ハートマン氏は、ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラー作家であり、32冊の本を出版している。また、アメリカでナンバーワンの進歩的ラジオトーク番組の司会者でもある。
歴史的な背景
ハートマン氏は、米国の寡頭制の支配者が支配的地位を確立する機会をつかんだ歴史上の二つの時期を正確に特定している。
最初の試みは南北戦争前の南部で行われ、奴隷州を支配する寡頭政治が国家権力そのものに挑戦し、後に60万人以上のアメリカ国民の死をもたらしたというのだ。
二度目の大規模な試みは、産業革命によって米国の新たな寡頭制の支配者グループが誕生した時に起こった。1920年、彼らは権力の頂点に達し、連邦政府の大部分を掌握したのである。ハートマン氏によれば、これが「狂騒の20年代」(1920年代の10年間)につながり、大金持ちはより金持ちに、それ以外の人は皆、より貧しくなり、貧しい人々に対する教育や最低限の生活水準が否定されたという。
寡頭政治は不安定なシステムである、とハートマン氏は主張する。それ自体の「内部腐敗」によって崩壊する傾向があるのだ。しかし、専制政治に変容する可能性がある。それはトランプ政権下で起こったアメリカ政治の特定の章の意図されたエピローグになる可能性が非常に高い、とハートマン氏は感じている。その後、もちろん、ドナルド・トランプ氏は民主的に政権支配から排除されたが、現在、政治の表舞台に戻るために最大限の努力をしている。まだ扉は閉ざされていないのだ。
寡頭政治の支配を打破するのは決して容易なことではない
寡頭政治を打破するには、寡頭制の支配者の資金と政治プロセスとのつながりを断ち切るか、少なくとも大きく妨げなければならない。
そのためには、いくつかの非常に正確なステップを踏む必要があり、ハートマン氏はいくつものヒントを隠すことなく与えてくれる。最も重要なヒントを少しだけ挙げてみよう。
報道の自由を取り戻す
専制君主は報道の自由を嫌う。スターリンは記者や新聞を「人民の敵」と呼んだ。トランプ氏は、お気に入りの中傷である「フェイクニュース」と共に、この毒のある言葉を自分の言葉として使用した。いずれの場合にも、その目的は、専制君主の嘘が世間一般に知れ渡ることを抑え、その暴虐を明らかにする可能性のある真実の報道を人々に疑わせることである。
すべての人に経済的権利を
1944年12月に亡くなる数カ月前、フランクリン・D・ルーズベルトは、寡頭政治が労働者を搾取し、その経済力によってアメリカ国民を困窮と恐怖に陥れることを永久に阻止するための計画を一般教書演説の中に盛り込んだ。
ルーズベルトは、強力な中産階級こそが寡頭政治に対する最良の防御であると考えた。そこで彼は、すべての人が持てるようになるべき権利をいくつか挙げた。政治的権利には、すべてのアメリカ国民のための経済的権利が含まれるべきであると指摘した。
● 有益で報酬のある仕事をする権利
● すべての家族がまともな家庭を持つ権利
● 適切な医療を受ける権利
● 老齢、疾病、事故および失業による経済的不安に対して適切な保護を受ける権利
● 優れた教育を受ける権利
これらの提案は、今もなお非常に重要である。アメリカはいまだに大多数の市民に対してこれらの権利を否定している、とハートマン氏は主張する。なぜなら、アメリカの寡頭制の支配者は、アメリカ国民がそうした権利を持つことは自分たちの利益にならないと確信しているからである。
選挙公費負担制度への移行
大金を政治から追い出した時にこそ、寡頭政治は敗北する。例えば、多くのヨーロッパ諸国の場合と同様に、政府自体が提供する選挙資金を除いて、政治からすべての資金を取り上げるのだ。議会が、主要な国政政党のそれぞれが使う適切かつ正当な経費に対して資金を配分すれば、多額の選挙資金を集める必要性はなくなるだろう。
“傲慢さの衝突” ジェフリー・サックス教授へのインタビュー(抜粋)
フェリシティ・エリオット
ジェフリー・サックス教授は、アメリカの経済学者、学術研究者、公共政策アナリストである。彼は、持続可能な開発、経済開発、貧困との闘いに関する研究で知られている。フェリシティ・エリオットは2022 年10月9日、 シェア・インターナショナル誌のために彼にインタビューを行った。
シェア・インターナショナル(以下SI): ウクライナ戦争について一般に流布されている情報は次のようなものです。一方は完全な悪であり、もう一方はすべて善であるというものです。常識と実際は違うかもしれません。これをどう見ますか。
ジェフリー・サックス:これは、ウクライナを中心とする二つの超大国間の戦争です。一方で、米国は軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)をロシアとの国境どころか、黒海全体にまで押し進めたいと考えています。ロシアは30年間、「軍事同盟を東方に移動させるのはやめなさい」と言い続けてきました。他方、ロシアは、1991年にソビエト連邦が解体し、ウクライナが独立国となった時に、進行中の国内紛争と国境紛争の渦中にあったのです。ウクライナ戦争は、二つの異なる側面を持っています。一つは、ウクライナにおける政治の内部分裂です。ウクライナ語を話す西部とロシア語を話す南東部です。1991年以来、そこにはずっと緊張が続いていました。しかしその後、私の見るところでは不運なことに、米国は2008年に、ウクライナが米国主導の軍事同盟の一部になると言って、この状況に最も挑発的な方法で首を突っ込んで来ました。それはヨーロッパの指導者たちには無謀で挑発的であると知られていましたが、米国は非常に強力であるために、米国の思いどおりとなり、ヨーロッパの指導者たちは陰では話すことを公の場では言わなくなっているのです。
これは2014年にさらに悪化しました。親ロシア派のヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領は、ある種の微妙な安定を保っていましたが、ウクライナは中立であるべきだと述べたのです。しかし、彼は放り出されてしまいました。西洋諸国の言い分は、彼は大衆の抗議行動によって打倒されたというものです。ロシア側の言い分は、彼は米国主導のクーデターで追い出されたというものです。・・・この出来事は、内政・外交の両面でウクライナを完全に不安定な状況にさせました。なぜなら、新しい親米ウクライナ政府は北大西洋条約機構(NATO)への加盟を望んでいると発表したからです。
SI:米国はどのように対応しましたか。
サックス:米国は何十億ドルもの軍備を惜しみなく投入し始めました。そしてロシアの人々は「そんなことはやめて!」と言い続けました。ロシアがクリミアを奪還したのは、そこが彼らの海軍基地であり、ロシア語を話す人々がいる場所だからです。そして、米国は事態を徐々に深刻化させました。実際、私たちは2014年にすでに代理戦争に突入していました。そして、両陣営には分別のある人々がいないため、事態はさらに悪化しました。
2021年、プーチン大統領は次のように述べました。「あなた方は私たちの隣国を武装している。これは非常に挑発的です。私たちはNATOの拡大を止める必要があります──これは私たちの安全保障にとって核となる脅威だからです」。米国の反応は、「あなたと話す必要はない」でありました。それが外交の終焉となったのです。そして今年2月、ロシアは侵攻を開始しました。・・・
SI:現在の緊張状態と関係当事者たちの立場を考えると、交渉できるのは誰でしょうか。トルコにはまだ可能性がありますか。また、中国はどのような役割を果たすことができますか。
サックス:はい、トルコは依然として有効な仲介者であり、他の国々もそうです。中国は良い仲介者になる可能性があります。中国はこの戦争を望んでいませんが、ロシアの正当な安全保障上の利益が危機に瀕していると考えています。実際にそのとおりです。インドもまた、インドネシアと同様に建設的である可能性があります。しかし、今なすべきことは、バイデン大統領が電話を取り上げてプーチン大統領と話すことです。これは私たち全員にとって非常に破壊的であり、この混乱から抜け出す方法を見つける必要があるからです。それがアメリカ大統領の仕事です。・・・
SI:平和コミュニティーには役割があると思いますか。何が起こる必要がありますか。
サックス:平和コミュニティーは各国政府と話し、交渉のために声を上げるよう要求する必要があります。「この惑星を破壊しないでください!」と主張するだけでよいのです。平和コミュニティーは、国連総会に次のように言うことができます。「交渉のための全会一致の決議に投票してください。誰が交渉に反対しているか見てみましょう。投票しましょう。実際に見てみましょう。何ですって。米国が決議案に反対票を投じようとしているのですか。本当ですか。確かめてみましょう」。このようなことが今起こるべきことです。
全世界がこれに関係しています。私たちは皆、この状況に利害関係があります。2人、3人、または10人の男性に──通常は男性ですが──地球の結末を決定させることはできません。あらゆる人が声を上げる必要があります。私たちは次のように言う必要があります。「ドンバス、クリミア、NATO拡大についての議論で世界を終わらせるつもりはありません。私たちは地球を爆破しない方法を見つけるつもりです」と。それは私にはかなり基本的なことのように思えます。平和コミュニティーは大きな役割を果たすことができます。街路に出て、政府指導者たちと連絡を取り、正気を取り戻し、完全に手に負えなくなる前にこの狂気を止めるよう促すべきです。・・・
シェア・インターナショナル2023年11月号
印刷版全内容
- 覚者より 未来に備えて
- 今月号の内容概説
- 視点 人類最大の課題は、 気候非常事態に立ち向かうために団結することである
ジョン・フェファー - 賢者の言葉と新しいビジョン
- 『アメリカ寡頭政治の隠された歴史』 トム・ハートマン著
ルーク ギオリーによる書評 - 民衆の声 「もうたくさんだ」 英国の生活のコストに何十万人もの抗議の声
- 『あなたが思っているよりもあなたは重要』
アナ・スウェストラ・ビエによる書評 - ケニア農村部の子供に専門医の遠隔医療を届ける
ウィルソン・オディアンボ - マイトレーヤの教え ベンジャミン・クレーム
- 時代の徴 空の徴、 他
- 瞑想と魂―選集
Meditation and the soul – a compilation - S.O.P. (Save Our Planet) -われわれの惑星を救え!
何千という若者が 「気候変動にかかわる賠償と正義」 を求めて世界中で抗議を展開 - “傲慢さの衝突”
ジェフリー・サックス教授へのインタビュー - 核戦争への懸念が高まる中、米国の40以上の都市のデモ参加者が緊張緩和を要求する
ジュリア・コンリー - 編集長への手紙 遊び旅の仲間他
- 読者質問欄 回答 ベンジャミン・クレーム
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