シェア・インターナショナル 2020年3月号

シェア・インターナショナル誌のオンライン版では、印刷版からの抜粋を紹介しています。各オンライン版には、ベンジャミン・クレームの師による完全な記事が含まれています。幅広いトピックをカバーする他の記事のほとんどは抜粋です。オンライン版には通常、Q&A、読者からの手紙、マイトレーヤ臨在の徴の写真も含まれています。

印刷版の目次は、ページの下部をご覧ください。

シェア・インターナショナル誌の創刊以来、ベンジャミン・クレームの師は、執筆された時だけでなく、世界情勢に応じて適切な時に掲載される記事を提供してきました。実際、これらの記事の多くは、それらが最初に発表されたときよりも、現在の方がより適切であるように思われます。2005年に書かれたこの記事を選んだのは、非常に鮮明に以下に記されているように、それが希望を強く呼び覚ますからです。「マイトレーヤは、彼に反応できる者たちすべての心(ハート)を開くだろう。そして人間を恐怖と分裂の過去に背を向けさせて、未来の栄光を迎える用意をさせるだろう」

contents

マイトレーヤの任務――覚者より 

変化の勢いが世界中を通じて着実に増大しているのがますます明らかになっている。次々に出来事が起こり、新しいものが古いものに取って代わるその順序の論理を識別できるものはほとんどいない。あなた方の兄たちであるわたしたちはこの過程の必然性を認知する。そして、すべてが大計画のより完璧な表現に向かって動いているということを知るわたしたちは、それを満足して見守る。

しかしながら、人間にとっては、彼らが自分たちの行動の結果を理解し、それに対処しようとするにつれて、それは最大限の努力を要求される困難な時期である。様々な出来事の理路が理解できずに、彼らが信頼をおく神(神性)を疑う。人間にとっては、彼らが盲目的に自分たちの意志を強く主張し、あるいは彼らの努力の結果から逃れようとするにつれて、いつもこのようであった。

時代から時代へと移行するにつれて、そのような緊張とためらいの期間はいつも繰り返されてきた。各々の新しい時代は、新しい馴染みのないフォース(エネルギー)を世界にもたらし、それが徐々に人間にのしかかり、そして反応を呼び起こすのである。かくして今日もまた、人間が、新しい時代のエネルギーが要求する新しい方向をかすかに模索するにつれて、そのようである。ある人々はその方向を感じ取り、要求される行動について、彼らの同胞を教育しようとしている。しかしながら、多くの人間は変化を恐れ、もし“過激派”が彼らの思い通りに行動するならば、差し迫る混乱と破壊のみを見る。

この分裂した世界に、キリストはやって来られた。彼の任務は、これらの本質的に異なるグループを和解させ、現在の混乱と騒動の中に秩序をもたらすことである。彼の任務が容易なものではないことは誰の目にも明らかであろう。様々なグループの間の溝は広く、深く固められていることも、等しくすべての者に明らかであろう。では彼は、古いそして怯えている者たちと、急速に発展している新しい者たちとの間の深い割れ目に橋を架けるために、どのようにして働かなければならないのか。また、現代の顕著な特徴である極度の物質主義を、彼はどのようにして押しとどめることができるのか。宗教団体の不寛容さに対処して、彼らが和合を体験するのを助けるにはどうすればよいのか。

マイトレーヤは、人間の中にひとりの人間として御自身を紹介し、何も要求せず、誰の忠誠をも要求しないだろう。彼のアプローチはシンプルで直接であり、彼の挙動は穏やかで落ち着いているだろう。彼のマインドの明晰さは注目を引くだろう。彼の智恵は人間の恐怖を克服するだろう。彼の発言の誠実さは人間の心(ハート)を溶かし、憎悪と貪欲の重荷を取り除くだろう。かくして、人間は新しい神性の出現を体験するだろう。その内に人間を包含し、そこに距離も分離も見ないお方である。

宇宙のパワーと愛の体現であり代行であるマイトレーヤは、彼に反応できる者たちすべての心(ハート)を開くだろう。そして人間を恐怖と分裂の過去に背を向けさせて、未来の栄光を迎える用意をさせるだろう。

これらの記事は、ハイアラキーの上級メンバーである覚者によるものである。彼の名前は秘教界ではよく知られているが、まだ明かされていない。マイトレーヤの出現に関する主要なスポークスマンであるベンジャミン・クレームは、覚者と常にテレパシーでコンタクトをとっており、彼に記事を口述していた。

覚者による他の記事を見る

読者質問欄(抜粋)

世界中のあらゆる講演において、そして生涯のほぼ毎日、ベンジャミン・クレームは広大な範囲に及ぶ大量の質問を受けました。この大量の記録から、過去の年月にベンジャミン・クレームと彼の師である覚者によって提供された回答を掲載したいと思います。

Q 話をすることはなぜ重要なのですか。

A 話をするときに何が起こるでしょうか。話をするとき、明らかに言葉は多かれ少なかれ、あなたの意味やアイディアを体現します。そして大半の人々はそれが話すときに起こることのすべてだと考えています。それは重要な一部ですが、それが公の場で外的な分野で人が誠実さと知識を持ってこれらの途方もない重要な啓示、ハイアラキーの存在とハイアラキーの出現について知らせるときに起こるすべてではありません。
しかし、シェア・インターナショナル誌の手紙で報告されているような、後にマイトレーヤやイエス覚者や他の覚者と確認された方々に何らかの形で接触を受け、話しかけられ、道ですれ違うなどした体験の話について考えるならば、彼らがその話を手紙に書いて送った理由は何でしょうか。なぜ他の出来事ではなく、その出来事なのでしょうか。たとえ体験の中で何も起こっていないように思えたとしても(そしてしばしばそれは束の間で、ほとんど何も起こっていないように思えますが、マイトレーヤや覚者と手紙を書いた人との間で何かが伝わったために、それは真の体験であれば確認されます)、彼らの間では何かが起こったのです。それが話をするときに起こることです。彼らの間で体験の中で何かが伝わり、それは話の中でも伝わります。
話をするときに人々が伝える最も重要なものは、それは話し手であれ聴衆としてであれ、彼らのオーラです。あなたは話を聞きに行き、それに関心を持ち、後で何の話だったかを尋ねられたとき、それが何なのかを伝えることはおそらく難しいでしょう。しかし、あなたはその「感じ」を知り、話をした人のオーラを感じ、話し手と聴衆の間の交流を感じ、それはおそらく忘れ難いものでしょう。肉体には誰もが気づきますが、エーテル体とそのエネルギー、エーテルを通して世界に流れたフォースに気づく人はほとんどいません。チャクラを通したそのエネルギーの過程はあなたがどこへ行くときにもその個人のオーラを形成します。そのオーラは、エーテル物質体、アストラル情緒体、四つのレベルのメンタル体、そして魂の三つのレベルのどれかで構成され、もしその人が十分に進化していれば、モナッドのエネルギーの何らかの様相、つまり霊の様相も関わるでしょう。人が話をするとき、そのすべてが明らかになります。それらのフォースはその磁力を聴衆に感じさせます。伝導瞑想をしている人々やハイアラキーの再臨のために働く人々は人類の中でより進化しています。彼らのオーラはどんどん磁力的になります。
大衆に向けて話すとき、あなた自身のオーラは機能し、あなた自身の磁力が生き生きとします。あなたは鏡を見て、「私ですか? いいえ、私はあまりに臆病です」と言います。あなたが臆病に感じるのは、あなた自身を臆病にしているからです。人々は自分にはできない、話すことはできないと考えます。内気すぎて、話をすることを誰かに任せます。全体として、彼らは容易にできる話をしません。しかし、話せば話すほど、自信がつきます。自信が深まり、ますます容易になります。それはあなた自身のグラマーを克服するという問題だけではありません。それは最終的な「生産物」を見ることでもあります。それはあなたの外部にあるもの──あなた自身ではなく、仕事、大計画、あなたがそのために働いている大義──であるということを理解することです。自分がしていること(例えば本屋に本を持っていくこと)と同一認しているならば、あなたは自分自身を売っているような気になるでしょう。しかし、自分自身に集中することをやめて、仕事に集中するならば、あなたがしていることを単に大計画や大義に関連付けるならば、あなたは何でもできることに気づくでしょう。

呼びかけ

私たちの情報をウェブサイトだけで受け取る人が増え、シェア・インターナショナル誌を購読するためのわずかな費用を惜しむ人が増えていることに気づきました。

誰もがインターネットを使えるわけではないし、そうであるわけでもありません。つまり、印刷された雑誌が必要です。もちろん、それにはボランティアによる多くの作業と、制作・配布のための多くの資金が必要となります。ハイアラキーはこの仕事のためにお金を出しているという考え方があるかもしれませんが、そうではありません。シェア・インターナショナルの購読料は、私たちの活動を維持し、一般の人々に届けるために不可欠なものです。購読料は可能な限り低く抑えられており、雑誌は広告による補助を受けておらず、印刷代や郵送料は常に値上がりしています。

インターネット上の情報を読む読まないにかかわらず、この活動を真剣に信じるすべての人が、この雑誌を支援したいと思うことは、きっと誰もが認めることでしょう。

ご支援ありがとうございました。

編集長への手紙(抜粋)

本号に掲載された手紙は、最近起きた出会いについて述べられており、したがってベンジャミン・クレームの師によって確認されていません。手紙の書き手たち自身の直観的反応に加えて、そのような体験を熟知していることから生まれる確信が、こうした出会いは個人的に、また一般的にも重要で意義があると判断できる自信を与えています。
個人に関連していると特定されるような手紙もあれば、すべての人々に希望や鼓舞をもたらすことでそれ自体が語るものもあります。これらの手紙は読者の考慮のために提供されています。

個人的訪問

編集長殿
1982年にキリスト・マイトレーヤがご自身の『霊的体』に輝く白いローブをまとって私の家に現れられて、再び1987年にも、私がハンプシャーのホワイト・イーグル・ロッジを訪れた時、イエス・キリストが洋服を着た『肉体』を持ってその場におられました。
1990年代後半に私がサイキック・ニュース誌を購入すると、そこに世界教師についての広告が出ていました。その広告を見たのは初めてのことで、その人は私に現れたのと同じ人物でした。その人についてのチラシを配ったのですが、地元で様々なトラブルになりました。トニー・ブレア首相にも世界教師について、また住宅、教育、保健や社会正義についても手紙を書きました。持久戦ですっかり神経が消耗してしまいましたが、世界教師がすべての人々のためのより良い世界に向けた使命を、間もなく開始されることを期待しています。世界教師と皆さんのご多幸をお祈りします。
L・L
英国、チェシャー
【ベンジャミン・クレームの師は、『白いローブ姿の男性』がマイトレーヤで、『イエス・キリスト』がイエス覚者であったことを確認した】

人生の教訓  

編集長殿
2016年10月22日の、ミュンヘンでのシェア・インターナショナル展示会での、出会いについての話です。

展示会を終えた後、グループメンバーの6人が議論を終えるために一つのテーブルに座っていました。アフリカ人の男性が加わってきて、私たちがどのような種類のイベントをしたのか尋ねてきました。誰かが彼に展示会はすでに終わってしまったけれども、私たちと同席するのを歓迎すると伝えました。その男性は、「私にとっては、終わりというものは決してありません」と言いました。私たちはハッとして、メンバーの一人が展示会のテーマについて話しました。その男性はさらに続けて自分は「……プリンス・ムカディといい、ドイツ財団会議でザンクト・ベル・アマニという自分の財団を代表して参加して、ライプツィヒからやって来たところです。そこではドイツのザクセン州の大臣と話をする機会もありました。私はもう一度ライプツィヒや、ドレスデンとバウツェンにも行く予定です」と話していました。私たちのグループのメンバーが講演をする計画を立てていた町の名が入っていました。

ちょうどその時、店の主人から夜になって店を閉めたいので、店から出るように頼まれました。そのプリンスが「喜んであなたたちのために対応しますよ。いかがですか?」と助けを申し出てくれました。彼は店の主人と話すために外へ出ていきました。メンバーの娘さんが彼らと一緒に外へ出て、帰ってくると彼は本当にプリンスだと言ったと興奮して伝えてきました。

その男性は微笑みながら帰ってきて、私たちの話し合いのために、あと5分間を何とか交渉してきたと言いました。グループメンバーがその時彼にシェア・インターナショナルの情報の資料を欲しいか尋ねました。「でも私はまだここにいますよ」とその男性は真面目な顔をして答えました。何人かが私たちと同席することにしてくれてうれしいと、彼に伝えました。楽しい雰囲気でした。

彼が私たちに彼の財団の名前「ベル・アマニ」(それは『平和の鐘』を意味していて、実際にその名前の財団が存在しているとわかりました)の意味を知っているか尋ねてきました。

その後、私たちはついにその場から出ることになりました。外ではその男性が私たちの方を向いて、独特な言い方で「あなたたちは今日のことに『安らかな気持ち』(ドイツ語では『満足した』という意味と似ています)ですか?」と尋ねてきました。

「私たちが今日違った何かを望んでいたという意味ですか?」とメンバーの一人が聞き返しました。「そうですね、実際のところ、私たちはいつもイベントにより多くの参加者を望んでいます」。「私が尋ねたのはそのことではありません」と彼は断言しました。「もう一度、私の質問は何でしたか?」私たちはお互いに顔を見合わせました。「あなたたちはあっという間に忘れますね」と、そして「私たちはもっと頻繁に共に瞑想すべきかもしれませんね」とその男性は言いました。

ある女性が彼に「あなたは私たちが今日の活動に、満足したかどうか尋ねているのですね」と言いました。「そうです、それが私の質問です。あなたたちは今日のことに安らかな気持ちですか?」彼は自分のハートを指差して「満足は内側から来ます。何かに安らかな気持ちであることは、内なる状態です。ですからあなたたちは安らかな気持ちですか?」

「そうですね、人が完全には満足しないのは当然よくあることです」とそのメンバーが答えました。

「これは『人』についてではありません。『人』とは誰ですか? これはあなたと私についてです。私たちはたった今つながっています」とプリンスは答えながら、彼女のハートから自分のハートを指差しました。このことは私たちに深遠な影響をもたらしました。その男性はさらに私たちに話し続けて、彼は私たちに教えることと、勇気づけることの両方を望んでいるという印象を受けました。その日私たちがグループとして成し遂げたのは、個々人がそれぞれ、彼あるいは彼女自身の才能を持ち寄った共同作業であったということでした。それこそ彼が私たちに語ったことでした。全員が貢献し、異なる個性の人たち皆で関わったのです。

「多くの人たちは何かに反対して、デモを行いますね、例えば戦争とか、しかし何のためなのでしょうか? 平和のため。そして平和は内側から始まるのです」と再び彼のハートを指差して、さらに「あなたが与えられるのは、あなたが持つものだけです。そしてもしそれがあなたの与えるものならば、大変貴重なのです。これがあなたの人生の務めです」と言いました。
D・M
ドイツ、レーゲンスブルク

時代の徴

ここでは、編集部にとって「希望の兆し」であり「時代の兆し」である現象を紹介します。幸いなことに、ベンジャミン・クレーム師によって本物であると確認された現象のストックは、現在かなり多くあります。しかし今後は、確認されていないものも紹介する予定です。私たちは、それぞれの「奇跡」または「徴」の現象において、可能な限り徹底的に調査することを約束し、過去にベンジャミン・クレームの覚者から常に提供されていた確認や、追加情報を現在利用することができないため、判断は読者のみなさまにお任せします。詳細については、入手可能な場合は、写真のキャプションに記載されています。

アメリカ──2020年1月5日の晩、アラバマ州スミトンで目撃された「非常に明るい」低空を飛ぶ星型の物体。瞬くたびに色を変化させている様子がビデオで撮影された。
(mufon.com)

アメリカ──2019年12月21日の晩、ニューヨーク州ロームの目撃者は、大きくて、静かな三角形の浮遊物体で、先端に光をともしており、中心が最も光っている物体が木の高さで浮遊しているのをビデオに収めた。「それは家の裏庭上空を10分間ほど漂っており、そして急に消えていきました……」とその目撃者は語った。
(mufon.com)

ポルトガル──2019年11月初旬、ゴンドマルでビデオ撮影された数十の光が点滅する飛行物体の一団は、同時に動き、方向を変えた。「空に現れたのは3回目です。丸いオレンジ色の光を伴ってまるで火の玉のようでしたが、全く無音で非常に高速で動いていました」と目撃者は語った。
(mufon.com)

本誌通信員より

世界経済の“日本化”と迫りくる危機(抜粋)

セバスチャン・ヴィルモット

世界的な金融危機が始まってから12年以上も経つと、一般大衆は経済が正常に戻っており、非常にうまくいっているという印象を受けているようである。例えば米国は10年以上にわたって途切れることもなく成長しており、少なくとも1854年以来の最長拡張期を迎えているとでもいうように。2012年に消滅の危機に瀕していたユーロ圏は、ある程度の安定と連結性を回復したようである。そして、中国は世界経済システムの重要な役割を担い、主要な成長エンジンとなり、独自の発展の道を成功裏に追求している。

しかしながら長期的な視点に立ち、この見かけ上の成功を支えている要因を分析すると、状況は根本的に異なって見え、脆弱性を持つ多くの兆候が現れてくる。

失われた成長

最近のすべての経済発展の背景には、1970年代以降の先進国における成長の下降傾向のような、深く広範囲にわたる構造的変化がみられる。

すべての経済指標の中で、成長率は間違いなく最も注目されている指標である。それは経済において生産される商品とサービス量の増加を測定する。より技術的な用語では、国内総生産(GDP)の年間変化率として定義される。主流の見解では、経済は急速に成長すると健全であり、一方、低い成長率やマイナス成長率では病気になるという。

その基準を当てはめると、実際に先進国では無気力で不安定な時期であった。1960年代の成長率は平均して年間5%であったのに対して、1980年代には3%、2000年代には2.5%に落下し、2010年代ではわずか1.5 %まで低下した。※1 特に2007年から2008年の世界的な金融危機後の一時的回復と、その後に続いた景気後退は、歴史的基準からの視点では驚くほど弱体化していた。

この継続的な成長鈍化の原因については、経済学者の間で意見の一致はない。米国経済学者のロバート・ゴードン氏が提唱した説明の一つは、(鉄道、電気、ガソリン・エンジン、飛行機、電話、ワクチン、抗生物質)など、最も福祉を向上させる発見がすでに行われているために、最近の数十年間のイノベーション(革新的新機軸)は、比較するとはるかに少ないことが分かる。他に考えられる原因は、最近の多くのイノベーションが民間市場経済にうまく適合しないことである。ウィキペディア、フリー・ソフトウェア運動や、さらに一般的に知識経済全体を考えてみると、非物質的な成果物が他を排除したりせずに消費されていることである。

いずれにせよ、人々をより高い生活水準へと導くためには、経済成長は望ましいものだというのが従来の見解である。特に、人口の大部分が基本的な物質的必要を満たしていない最貧国に当てはめる場合は、当然この主張には幾つかの真実がある。ある程度の経済成長が痛ましいほどに必要である。それにもかかわらず、成長は決してすべてを犠牲にしてはならず、幸福の指標とすべきものでもない。一方で、(武器製造、広告、森林破壊、消耗品などの)様々な社会的、生態学的に破壊的な活動が国内総生産(GDP)の成長に関与しているにもかかわらず、多くの・n造的で有用な活動は、財政的活動領域の圏外で行われるため、国内総生産(GDP)には含まれていないのである。

開発が一定のレベルを超えると、成長が有害になることもあり得る。成長への執着を続けることは生態学的に持続不可能であることは明らかである。私たちの物質的要求が、すでに地球資源を超えているという地点に到達しており、これまでの経済成長は常にこれらの需要の増加をもたらしてきた。
その観点から見ると、私たちが目撃している先進国における経済成長の緩やかな衰退は、好ましいニュースである。地球の生態学的バランスを回復するためには、採掘産業、集約農業、輸送などの幾つかの部門の脱成長も必要となる。

シェア・インターナショナル 教育特集

選集:教育──新しい次元(第1部)(抜粋)

「教育」というテーマに関する引用文の選集を掲載する。これはマイトレーヤのメッセージ(『いのちの水を運ぶ者』と『いのちの法則』)、ベンジャミン・クレームの師の言葉(『覚者は語る』第Ⅰ巻と第Ⅱ巻)、およびベンジャミン・クレームの著書から抜粋したものである。(本誌2008年7月号の選集「新しい教育」も参照のこと)

新しい次元──魂の次元──が子供の必要を満たすための基盤として、もっと受け入れられてくるであろう。このことが起こると、子供はこの与えられた生涯において、自分の潜在可能性の成就へ向けて進む、進化する魂として見られるようになるであろう。新しい科学、すなわち魂の科学は、あらゆる未来の教育努力の基礎となり、子供と教師両方の生活を変容させるものとなろう。
学校や大学は制度的側面を失い、子供のいる社会ともっと融合したものとなるであろう。したがって、学校と仕事の間のより密接な関係が当たり前となって“壁のない学校”への道を開くであろう。
(『マイトレーヤの使命 第2巻』)

子供たちは「三つのR」、すなわち読み(Reading)、書き(Writing)、算術(Arithmetic)を教えられる必要がある。しかしこれだけでは十分ではない。彼らは本来どんな存在であるかを教えられる必要がある。今日の子供たちは真我と、心(マインド)、生気(スピリット)、肉体との間の関係を、大人が想像するよりもずっと容易に理解するだろう。
(『いのちの法則』)

最良の教え(唯一の真の教えだと私は思いますが)は、模範によって与えられます。あなたに与えることのできるアドバイスがあるとすれば、それは、あなたの子供を条件づけや教義、信条などの教え込みから完全に自由にしてあげなさい、ということです。子供があるがままの自分でいられるようにしてやりなさい。彼らを「信条」から遠ざけ、彼らの自発性を決して封じ込めないようにしなさい。そうすれば彼らの魂としてのユニークさが表現されるようになります。
(『光の勢力は集合する』)

今日のすべての教育制度は、例外なく、程度の差こそあれ、移行状態にある。規律の問題が解決される前に、教育理論や実践において必要な調整が起こるのに相当の時間がかかるであ
ろう。
若者はどこでも彼らの自由を必要とし、要求する。そして調理済みの知識を追従的に吸収する者としてではなく、彼らの問題への解決や彼らの夢の実現を求める冒険者としての扱いを受ける権利を必要とし、また要求している。
(『マイトレーヤの使命 第2巻』)

教育:目的の拡大(抜粋)

グラハム・ピーブルズ

既存のシステムや制度が現在の問題や人々の要求に対応できないことは、ますます明らかになっている。イデオロギーから自由で独創的な考え方が必要である。それは、アイディアの変革を可能にし、新しい生活様式が出現するような、現在広く浸透している価値観とは全く違う価値観に基づくものである。それは競争、偏見、無知の代わりに、協力、忍耐、理解を育み、一体感と社会的責任感の自然な開花を可能にするような価値観である。

必要な変化は段階的でかつ根本的でなければならないが、その中心は教育でなければならない。私たちの現在のすべての構造と同様に、世界中の教育は危機的状況にある。現在の手法の下で開花する人もいるが、ほとんどの人はそうではない。賞罰と一体になった競争と服従は、制度化された教育の多くを特徴づけている。子供や若者を型にはめることを強い、試験対策を行う圧力は熾烈であり、25歳未満で精神衛生上の問題の流行を地球規模で引き起こし、自殺につながるケースもある。

もちろん、素晴らしい教師のいる良い学校は至るところにあるが、経済成長に取り憑かれ、子供の必要にはほとんど理解のない国家主義的な政府機関による政策のため、彼らはイデオロギー的な制約を受けている。子供や若者に自由の感覚を育み、グループの責任を促進し、真の個人性と創造的な自立的思考(社会的、心理学的な条件付けから自由な思考)を可能にする新しい方法論が必要とされている。今日の子供たちが地球を救い社会をより公平な線に沿って形作るために必要な手段を自分の中に見つけようとしたら、そのことは重要である。

教育と目的

教育の緊急の改革の中心には、目的の定義の拡大がなければならない。それらは、教育のあらゆる側面の基盤となる関連し合う幾つかの目的の一連の定義、人間の性質や構成、および特定の教えの心理学的な影響、さらに子育ての手法などへのより深い理解である。「新しい」教育にどのような主要目的があったとしても、合意された人生の目的と一貫しているべきであることは理にかなっているだろう。このような根本的な疑問については、様々な矛盾する意見があるかもしれない。しかしながら、広い解釈と偏見のない調査が行われるように、ある程度の一般的意見を述べることができなければならない。

対立する教育観(抜粋)

フィリス・クレーム

端的に言えば、子供を教育することに関して、長期間にわたって対立してきた二つの態度がある。一つは、概して、子供が成長してから入っていく社会へと子供を適合させるために、徐々に知識と技能を刻み込んでいくための「空白のページ」あるいは「空の容器」と子供を見なすものである。これは古いビクトリア時代の考えだと思われているが、今日の教育へのアプローチの幾つかをいまだに支えている。

これと対立しているのが、子供は初めから、潜在的にはすでに存在している人物になるために徐々に発達する可能性のある生来の特質を持っているという見方である。もちろん、教室での実践において、「知識と技能を培う」とか「潜在能力を開発する」と言うように、こうした二つの見方は重なり合っているかもしれない。また、教師たちはたぶん、混合したアプローチが必要だと主張するだろう。それでも、こうした二つのアプローチは、人間についての二つの根本的に異なった見方──物質主義的な見方と霊的な見方──を反映している。「発達(開発)」の支持者にとって、子供は肉体以上の何かであり、頭脳も、遺伝的性質も、環境も、全体を構成するには至らない。

「私たちは皆、転生している魂です」

ベンジャミン・クレームが述べているように、「私たちは皆、転生している魂です」。また、グラハム・ピーブルズが今月号で強調しているように、すべてが一つの聖なる全体の一部である。輪廻転生について知っていれば、つまり、私たちは転生している魂であり、この生涯は多くの生涯の一つであり、霊性を完成させる道に沿って少しだけ前進する一つの機会にすぎないということを知っていれば、教育へのアプローチは大きく変わる可能性がある。一例を挙げると、私たちが皆、魂であるという考えは、他の人々への接し方に影響を与え、生徒を判断する──あるいはなるべくなら、判断しない──別の方法を教師たちに与える。生徒ができることや生徒の知識、技能だけというよりはむしろ、生徒のあるがままの姿を基本的に尊重するようになる。多くの教師は、その信条がどうであれ、生徒に対するこうした根本的な敬意を持っているが、持っていない教師もいる。さらに時には、敬意を持っているとしても、実際の場面でそれを維持することがいつも容易なわけではない。

「発達(開発)としての教育」という考えは、よく引用される(アリス・ベイリーを通して書かれた)ジュワル・クール覚者による『新しい時代の教育』での陳述に照らせば、かなり違った光沢を帯びることになる。「何らかの形の発達──肉体的、情緒的、知的、直観的、社会的な発達──に向けて人間を駆り立てるすべての活動が、もしそれがその人を現在の状態より前進させるならば、本質的に霊的な性質のものであり、内なる神聖な存在が活発であることを示している」。

民衆の声 
民衆の力  –  概要

現在に至るこの数年間に世界各地で抗議運動が盛り上がっている。人々はより良い生活条件や腐敗の根絶を求めて確固とした足取りでデモやストライキを何カ月間にもわたって続けているのである。

フランス:2018年末に開始され、1年間以上週末ごとに行われてきた「黄色いベスト運動」が弱体化しつつある。2019年末にその後を引き継いだのは、政府の年金改革に対する伝統的な連帯抗議運動である。12月5日には、フランス全土で150万人が参加する大規模なデモ集会で運動が開始された。交通・運輸、教育、ごみ収集業界、病院などの様々なセクターが新しい年金改革に抗議する長期間にわたるストライキを行った。

レバノン:抗議運動が4カ月目に入った。抗議参加者たちは経済危機を弾劾し、政治家たちの腐敗と無能ぶりとを非難した。デモ参加者たちが、政党に頼らない人物たちによる政府を要求し、宗教に依存する政府によって行われている現在の政治形態を拒否する態度を表明している。

イラク:2019年10月以来、エリート集団の腐敗追及を要求するデモがたびたびなされている。狙撃者に狙われることもいとわず、デモ参加者たちは何千人にも膨れ上がり抗議を続けている。2020年1月には20万人もが、アメリカ軍のイラクからの撤退を要求しバクダッドで行進した。

イラン:2019年11月に、石油価格高騰後に大規模な抗議行動が起こった。横暴な弾圧があったにもかかわらず、1月8日にミサイルの発射によって176人の乗客が犠牲となったウクライナのボーイング旅客機墜落事故後に、再びイラン人のデモ行進が行われた。デモ参加者たちは、政府が嘘をつき墜落事故の責任をうやむやにしようとしたとして政府を非難した。

インド:最近数カ月間に20世紀初頭の「国家独立運動」に匹敵し得るほどの規模の抗議行動が発生した。独立運動時のように、抑圧されているヒンズー教下層階級の人々が他の宗教的少数派の人々と連携して抗議運動を行っている。

彼らは、「国家市民登録法案(NRC)」と宗教を基盤に付与する国籍法案「市民権修正法案(CAA)」という最近出された2件の法案に抗議している。インド北東にあるアッサム州では、(全人口3,300万人の内)200万人が国籍を証明できず、国籍喪失の危険にさらされている。

2020年1月8日に、反社会的な政策に抗議する数百万人がデモを行い、州全体の交通運輸機関や工場を封鎖した。約2億5,000万人が封鎖行動に参加した。これはインド史上最大規模の抗議行動となった。  
(仏ルモンド紙; CommonDreams.org)

シェア・インターナショナル2020年3月号
印刷版全内容

  • 覚者より マイトレーヤの任務
  • マイトレーヤからのメッセージ 第120信
  • 今月号の内容概説
  • 視点 国連報告書:不平等の拡大が世界の70%以上に影響を与える
  • 対立する教育観 フィリス・クレーム
  • 教育:目的の拡大 グラハム・ピープルズ
  • 選集 教育——新しい次元(第1部)
  • 時代の徴 世界中の光の現象
  • 気候変動対策の先延ばしの期間は終了した デビッド・コーテン
  • われわれの地球を救え!(S.O.P. Save Our Planet!)
    ——覚者より(ベンジャミン・クレーム筆記)
  • 世界経済の“日本化”と迫りくる危機 セバスチャン・ヴィルモット
  • 民衆の声 民衆のパワー
  • 編集長への手紙 個人的訪問,他
  • 読者質問欄 回答 ベンジャミン・クレーム

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