シェア・インターナショナル 2020年6月号

シェア・インターナショナル誌のオンライン版では、印刷版からの抜粋を紹介しています。各オンライン版には、ベンジャミン・クレームの師による完全な記事が含まれています。幅広いトピックをカバーする他の記事のほとんどは抜粋です。オンライン版には通常、Q&A、読者からの手紙、マイトレーヤ臨在の徴の写真も含まれています。

印刷版の目次は、ページの下部をご覧ください。

ベンジャミン・クレームの師よりの記事
シェア・インターナショナル誌の創刊以来、ベンジャミン・クレームの師は、執筆された時だけでなく、世界情勢に応じて適切な時に掲載される記事を提供してきました。以下の記事は、それぞれ2013年と2015年に書かれたものですが、国際社会が、危機の全容を理解しようと苦闘している現在の私たちの困惑と恐怖を代弁している。「これからどこに行くのか?」と世界は疑問を抱いています。私たちは、私たちのシステム、態度、価値観の欠如を明らかにする出来事に覆い尽くされています。覚者方は人類に、心を開いて新しいことに備えるよう助言しています。

contents

さて、いずこへ行くのか?――覚者より 

今日の経済制度はもはや機能しないということがますます明らかになっている。あまりにも多くの人々が、実に何千万の人々が生命を維持するために十分な食料を得る権利から除外されている。この惑星の生産能力は膨大であるが、その分配の方法が非常に不適切であり、不公平なので、理由もなしに何千万の人々が苦しみ、死んでいる。人間はこの事実を知りながら、しかしこの罪悪を是正することについてほとんど何もしない。

さて、いずこに行くのか? いつまで貧しい人々はこのように苦しまなければならないのか? 計り知れない破局がこの世界を飲み込む前に、この重大な不正を、いつまで諸国家は支持できるのか? 豊かな世界の中で、何千万の人々が苦しみ、死ぬというこの永遠な、悲劇的状況を、人間は決して是正しようとしなかったのは不思議ではないか? 最も簡単な解決法のようなのだが、あり余る富を持つ人々に全く思いつかなかったのだ。なぜ、単なる正義(公正さ)が解決法を明らかにしないのか。金持ちが彼らのコントロールする富を分かち合わねばならないということは、単に分別ある、正しいことであるのみではなく、世界平和のために欠くことのできないことであり、もしすべての者の生存が保証されるならば、すべての者に恩恵があるのである。

いいですか、分かち合いは単に、良いそして公平なアイディアであるのみならず、人類が生き延びるために欠くことのできないことであることを、人は認識するようにならなければならない。賢明で公正な分かち合いのみが、すべての人間が願う平和をもたらすだろう。分かち合いなしに信頼は決して生まれない。マイトレーヤご自身が人間にこの単純な真理を語り、それに続く恩恵に彼らの目を開かせるだろうということは確実である。

分かち合いと正義の必要を確立することを求めて働いている多くのワーカー(働き手)たちの一人になりなさい。人間は誰も分離し孤立していないことを、知ってか知らずか、すべての人間は次々に展開される啓示の長い旅路の中で、見えざる糸で共につながっているということを覚えておきなさい。分離の行路を放棄して、途上にあるあなたの兄弟姉妹を助けなさい。

新しいもの(事)の殺到──覚者より

ある人々にとっては、来たる何カ月かは、彼らがそれまでに経験してきた中で、最も困難な時期であるように感じ、とても対応し得ないように感じる力(フォース)からの一時的な猶予を求めて、ほんのかすかな望みをも探し求めようとするだろう。

同時に、他の人々にとっては、彼らの独創性や創造性についてのより高まった感覚があるだろう、それがいかに非現実的かもしれなくても。この出来事についての‘読み’が何であろうと、すべてが速やかに「新しい時代」に、そして宝瓶宮(アクエリアス)の(エネルギーの)影響の中に進んでいる。これの影響は実に強力だろう。

では、人はどのように反応すべきか? これを「新しい時代」に向かうさらなるステップと知りなさい。そうすることで、「偉大なる主」の出現を待ちなさい。心(ハートとマインド)の扉を開きなさい、そして新しいもの(事)の殺到に備えなさい。

これらの記事は、ハイアラキーの上級メンバーである覚者によるものである。彼の名前は秘教界ではよく知られているが、まだ明かされていない。マイトレーヤの出現に関する主要なスポークスマンであるベンジャミン・クレームは、覚者と常にテレパシーでコンタクトをとっており、彼に記事を口述していた。

覚者による他の記事を見る

読者質問欄(抜粋)

世界中のあらゆる講演において、そして生涯のほぼ毎日、ベンジャミン・クレームは広大な範囲に及ぶ大量の質問を受けました。この大量の記録から、過去の年月にベンジャミン・クレームと彼の師である覚者によって提供された回答を掲載したいと思います。

Q 覚者方に止めることができるのなら、なぜ人々は毎日死んでいくのですか。

A なぜなら覚者方にはそれを止めることができないからです。止めることは許されていません。私たちは止めることができます。明日にでも止めることができます。明日から誰も死ななくて済むように、世界の資源を分配することができます。しかし、何百万もの人々が飢え死にしています。しかし、それは覚者方の責任ではありません。私たちの責任です。
自由意志と呼ばれる偉大な法則があります。自由意志を支配する法則は、覚者方が、私たちが自分ですべきことを私たちのためにすることを許しません。そうするならば、私たちは決して成長しないでしょう。進化しないでしょう。覚者になることはないでしょう。もし覚者方が私たちのためにすべてをしてくださるならば、私たちはこの世における私たちの運命である進化を達成することは決してないでしょう。私たちはそれが自分の責任であることを認識しなければなりません。
人々が死んでいくというのは恐ろしい犯罪です。人々は言います、「なぜ神はこれを許されるのだろう?」それは神とは関係がありません。私たちに関係があるのです。私たちは互いに責任を持っています。そのために私たちはここにいるのです。私たちはお互いの面倒を見るためにここにいるのです。それが家族のしていることであり、それに気づくのが早ければ早いほど、私たちの暮らしはよくなるでしょう。
ですから、それは覚者方の問題ではありません。私たち個々人が、人間としての責任を担うべきであり、人間であるということは神であるということです。それは同じことです。
個々の人類が、人類と呼ばれるものと神と呼ばれるものは同じであることに気づくときが来るでしょう。そこに区別はありません。何の分離もありません。それは全宇宙を通して同じです。すべての部分、生命のあらゆる要素は他の部分に関係しており、宇宙全体を通して分離しているものはありません。私たちは分離しているという考えは大いなる異端です。

呼びかけ

私たちの情報をウェブサイトだけで受け取る人が増え、シェア・インターナショナル誌を購読するためのわずかな費用を惜しむ人が増えていることに気づきました。

誰もがインターネットを使えるわけではないし、そうであるわけでもありません。つまり、印刷された雑誌が必要です。もちろん、それにはボランティアによる多くの作業と、制作・配布のための多くの資金が必要となります。ハイアラキーはこの仕事のためにお金を出しているという考え方があるかもしれませんが、そうではありません。シェア・インターナショナルの購読料は、私たちの活動を維持し、一般の人々に届けるために不可欠なものです。購読料は可能な限り低く抑えられており、雑誌は広告による補助を受けておらず、印刷代や郵送料は常に値上がりしています。

インターネット上の情報を読む読まないにかかわらず、この活動を真剣に信じるすべての人が、この雑誌を支援したいと思うことは、きっと誰もが認めることでしょう。

ご支援ありがとうございました。

編集長への手紙(抜粋)

シェア・インターナショナルには、ベンジャミン・クレームと彼の師が、覚者たち、あるいはその「代弁者」との本物の出会いであると確認した未発表の手紙を預かっています。

ノック、ノック!

編集長殿
私たちの家は9カ月近くも売りに出されています(手紙は2005年6月に書かれた)。多くの見学者が来て、二度売却にこぎ着けましたが、契約不成立に終わりました。ほんの数日前に家は売れたと思っていましたが、その女性は買わないと決心したことが分かりました。私たちにとって売りに出す理由は、私が階段を使うのに不自由があり、また日曜日に瞑想をするグループがあって、私たちの購入したい平屋の住宅のほうが、居間を使う必要がなくなるために、より瞑想にふさわしいからなのです。

金曜日に私たちは諦めの心境でした。土曜日の昼食時に二人連れがドアをノックして、1時30分に家を見学する予約をしたと言い、予約は不動産業者(仲介業者)が行ったということでした。

私たちは予約について何も知りませんでしたが、彼らに家の見学をしてもらいました。男性は黒人で、女性は白人でした。それはとても風変わりな見学でした。彼らは大変に陽気で楽しそうで、家の肯定的な所ばかりを取り上げてくれました。彼らは名前もどこから来たかも言いませんでした。

私は階段に大きなイエスの像を置いていますが、その女性はそれを見ると、とても興味深い物を持っていると言いました。彼らが帰る時、私たち両方と握手をして、不動産業者に連絡して、知らせを受けなかった懸念を伝えるべきだと言いました。

彼らが帰ると、私は売買を担当している業者に電話をしましたが、誰もその二人連れに私たちの家のことを伝えていませんでした。最初私たちは誰かがドアをノックして、見学することにしただけだと思いましたが、もっと良く考えてみて、それがイエスとマイトレーヤだったかもしれないのではと思うようになりました。その二人連れの訪問の後、私たちは売却を続けていく元気が出たと感じました。不動産業者からは危険なので、このようなことを二度としないように忠告されました。どうかあなたの師に、我が家に来た二人連れについて尋ねていただけますか。

A.L 英国、サットン・コールドフィールド
【ベンジャミン・クレームの師は、その男性がマイトレーヤで、『女性』がイエス覚者であったことを確認した】

名で呼び合う間柄

私はある小さな店にウールの毛糸を買いに行ったことがあります。そこの男性がたまたま店のオーナーで、私になぜ100%の純毛が欲しいのか尋ねてきました。私は彼に「ヨガ用マット」を編んで、瞑想用クッションの上に置きたいと思っていることを伝えました。彼は私に一体どんな瞑想なのか尋ねてきて、私たちは長い時間、イエスについて、その男性自身の信念や、私の信念などといった様々な話題について話しました。私たちがおしゃべりをしていた時、彼が私を名前のシルヴィーで呼んだので、私は一瞬心臓が止まりました。私は本当に怖くなり、どうであろうと、その男性が以前は私を知らなかったし、私も自分の名前を言わなかったのですから。少し経って会話がさらに続くと、彼がまた私の名前を言いました。私はどうして名前がわかったのか尋ねました。彼はリラックスしたままで、「ああ、そうだね、私は腕の良い心理学者だから」と言ったのです。私が帰ろうとすると、彼から私の両頬にキスしてもいいか尋ねられて、私は「もちろん!」と答えました。私は涙を見せないように相当我慢しなければなりませんでした。彼は私を店のドアへと連れていき、「もし戻ってきたくなったら、私とまた会うことができますよ。でも6月までにはこの店を閉めるつもりなので、もう店はなくなってしまいます」と言いました。

この男性はどなたでしたか。ありがとうございます。

S・R、カナダ、モントリオール
【ベンジャミン・クレームの師は、その男性がマイトレーヤであったことを確認した】

時代の徴

ここでは、編集部にとって「希望の兆し」であり「時代の兆し」である現象を紹介します。幸いなことに、ベンジャミン・クレーム師によって本物であると確認された現象のストックは、現在かなり多くあります。しかし今後は、確認されていないものも紹介する予定です。私たちは、それぞれの「奇跡」または「徴」の現象において、可能な限り徹底的に調査することを約束し、過去にベンジャミン・クレームの覚者から常に提供されていた確認や、追加情報を現在利用することができないため、判断は読者のみなさまにお任せします。詳細については、入手可能な場合は、写真のキャプションに記載されています。

光の祝福

2008年11月に撮影された写真には、ドイツ、レーゲンスブルグの伝導瞑想グループのメンバーが「他の人たちを喜ばせるため」クリスマスに焼いたケーキとクッキーが写っている。ウォルトラウド・ニーダーメイヤー氏提供。
(彼はナイロビのマイトレーヤ(ここには掲載されていない)の写真を撮った人物であり、ベンジャミン・クレームの師は写真がマイトレーヤからの光の祝福であると確認した)

国際宇宙ステーション──2020年4月2日、国際宇宙ステーションから送られてくるライブビデオを見ていたビューアーが、異常に輝く複数の物体からなる巨大な艦隊が周回するステーションをゆっくりと通り過ぎるのを録画した。
(You Tube: Gorden McKenna)

本誌通信員より

創設75周年を迎える国連のさらなる使命(抜粋)

シェレーン・アブデル・ハディ=テイルズ

「現在、途上国を誠意をもって支えることは慈善的な事柄ではなく、自発的な事柄です」
アントニオ・グテーレス国連事務総長

国際連合は今年の10月24日で創設75周年を迎える。過去75年間に、国連は世界中の住民に奉仕し、飢饉や病気や貧困問題の緩和に尽力してきた。現在(コロナウイルスの)世界的流行が世界を屈服させており、特にそれは経済分野と保健衛生分野で際立っている。科学者たちは競って新型コロナウイルス(Covid-19)のワクチン開発を急いでおり、また国連諸機関は、世界的流行が食料危機などで最も貧しく最も弱い人々に及ぼす危機を回避すべく、必死な努力を重ねている。現在、国連で大きな挑戦にさらされているのは、世界保健機関(WHO)と世界食糧計画(WFP)の二つの機関である。WHOは、世界の多くの伝染病やそうでない病気への対処と防止に加えて、コロナウイルスの世界的感染事態への対処に取り組んでおり、一方WFPは、いかにしたら、日々の生活もままならない何百万人に引き続き食料を確保し支援していくのかという物流上の課題に直面している。

世界の飢餓と栄養不足を緩和することに携わるWFPは、現在、まさに生き残るためにこの組織に頼っている3,000万人を含む83カ国の1億人を超える人々を支援している。すべての国連の機関がそうであるように、WFPは機能を果たすことができるために国家の寄金に頼っており、米国とドイツが最も多い寄金を拠出している。恐ろしいことに、パンデミック(世界的大流行)が発生する前からすでに、世界人口の9人に1人、およそ8億2,100万人が食事を十分にとれない状態であった。その上パンデミックはより不寛容な状況を招き、すでにある不平等な状態に拍車をかけている。

WFP執行委員長のディビット・ビースレイ氏は2020年4月の国連安全保障理事会で、数カ月以内という短期間のうちに、世界はコロナウイルス・パンデミックのために、「様々な地域が大規模な食糧不足に見舞われる」危機にさらされていると述べた。それゆえ、この破局を避けるための緊急行動が必要である。ビースレイ氏は、コロナウイルス対策を行う身であり、かつ自らがコロナウイルスから回復した立場から、「さらに1億3,000万人が2020年末までに飢餓の瀬戸際まで追い込まれる可能性があり、総計すると2億6,500万人がその状態になり得る」と述べた。

緊縮財政と新型コロナウイルス感染症の広がり(抜粋)

リュック・ギロリー

世界中が新型コロナウイルスの大流行を恐れて生活しているが、ソーシャル・ネットワークや主流メディアでさえその感染源について多くのコメントを寄せている。

スマートフォン向けの新しい5Gテクノロジーは私たちの免疫システムを弱める原因となっていると主張する人々がいる。その理論を推進する人々は、ウイルスの明らかな感染源である武漢が、その同じ都市のウイルス研究所の近くにおいて、5Gが集中的に開発およびテストがなされた世界で最初の場所であったことを指摘する機会を決して逃さない。

中国市場で狩猟され食料品として売られているセンザンコウとの関係を、思いやりのない人間に対する自然の、特に動物王国の復讐の象徴として見ている人々もいる。

他にも多くの推測や「解釈」が自由奔放に出まわっている。しかし、私たちの政府が、世論や人々の注目から逃れようと全力を尽くしていることは、私たちの医療システムが整備されていないということである。これは、そのような事態が実際に予期せずに発生する可能性のあることを、SARS(重症急性呼吸器症候群)、H1N1(豚インフルエンザ)などの以前の伝染病が証明していただけに、政府と科学界の両方がこのパンデミック(感染拡大)を予測していなかったどころか、彼らが知っておくべきことでもあったのである。

何よりも際立っているのは、いわゆる先進国や経済大国において、こうした状況に直面する能力を失っていたということである。そして、その正確な理由とは、このことは科学や5Gやセンザンコウとは何の関係もないのである。それは私たちの政治に根ざしているということである。

フランスの例はこの点で重要である。 2000年にフランスは、世界保健機関(WHO)の医療システムで第1位にランク付けされた。ところがそれ以来、欧州委員会によって制定された経済政策の一般的取り組み(GOEP)に準拠するために、医療予算の定期的な削減が歴代の政府によって行われた。何千ものベッドが取り除かれ、完全に整備された病院や産婦人科センターは「システムの効率的運用(ガバナンス)」の名の下に文字通り閉鎖された。

これを「システムの効率的運用(ガバナンス)」または「緊縮」と呼ぶこともできるが、説明が何であれ事実は残っており、その結果は明らかである。フランスの医療制度は過去20年間で大幅に削減された。そのためフランスは現在、医療分野でヨーロッパの上位10カ国にランク付けされてはいない。

新型コロナウイルス感染症の大流行が始まる前に、医療スタッフは、彼らの絶望的な状況、人員と適切な機材不足に抗議するために、通りへと繰り出しストライキを引き起こした。 彼らは、疲弊しきっていること、そしてシステムが崩壊の危機に瀕していることを、すでに政府に警告していた。全国の病院における混雑事故と救急部門は、この問題の劇的な象徴であった。

借金を返済するための医療サービスの削減

いわゆる明白な「リベラル(自由党)」であるエマニュエル・マクロン氏は、彼が大統領に選出されたとき、医療保険の150億ユーロの節約を目的としたプログラムをすでに計画していた。それは必然的に、医療システムのより多くの予算削減を意味していた。

「新自由主義の正統性に抵抗する」ためにエコノミストたちが創設した協会のメンバーであるフランスの経済学者トーマス・ポーチャー氏によると、そのような理由で、過去10年間で約2万台の病院用ベッドが削除された。

イタリアの場合、国は200億ユーロの社会事業「経費」を「節約」し、10年間で7万台の病院のベッドを削減したとポーチャー氏は述べている。

英国の歴代保守政権も「緊縮」政策を実施しており、健康と社会的ケアは実質的に削減されている。 

GOEP(経済政策の一般的取り組み)が事実上含まれているのは、社会福祉よりも国の債務返済を優先するのが基本的な義務だからである。イタリアは医療費を削減することにより、金融市場において資金を借り入れる能力を明らかに維持している。イタリア、スペイン、フランス、イギリスの4カ国がヨーロッパで新型コロナウイルス感染症の被害が最も大きいのは偶然ではない。

人類の目覚め 「従来通りのビジネス」ではだめ(抜粋)

リン・ガードルストーン

今日、私たちはすべて、信じられないほど破壊的な「変化の媒介」の悪影響を一つ以上経験している。実のところ、恐ろしいことがこの惑星で毎日起こっているが、それらは通常、他の場所の他の人々にも影響を与えている。一方、新型ウイルス感染症は誰にでも、どこにでも到達する可能性があり、私たちの生活は多様な形で乱されてきた。明らかな問い──このウイルスをどのようにして止めたらよいのか、再発生から身を守るにはどうすればよいのか、世界経済を復活させることはできるのか、仕事を立て直すことができなかった場合はどうなるのか──、これらはすべて不明である。すべてのニュース番組やツイッターと共に、これらの問いは毎日毎時、私たちの考えや感情を占領している。

ある人々にとって、この危機は「従来通りのビジネス」の不便な中断にすぎない。ある人々は、すでに不安定になっている利益を増加させたり、他の人を犠牲にして資本を増やす新しい方法を生み出したりした。しかし、地球上の他の何十億もの人々のほとんどにとって、それは生存問題を根本的に増幅させている。

科学的見地と精神的見地の両方から見て、偶然には何も起こらないことを私たちは知っている。「すべての作用に対して、同等の反作用があり」、そして「蒔いたように刈り取るべし」である。今日起こっていることは、これまでに行われたことすべてに起源があり、緊張が転換点に達したとき、異常なことが起こり、私たちの注目を集める。このパンデミックは、「立ち止まって…… 今 ……あなたが築いた世界を見なさい……反道徳的な過剰さに囲まれた言うに言えない苦しみ……致命的な危機に瀕しているすべての生命体と惑星自体」と言っているのかもしれない。休息と隔離が、これらの問題について深く考え、より優れたプランBで解決する機会を与えている。

極めて多くの人々が実際にメッセージを受け取っているということは、非常に希望に満ちた兆候である。隣人たちはお互いの毎日の必要を援助し合っている。サービス組織は、顧客の急速な増加に対応するために、その役割と方法を拡大している。利益団体は、環境、人権、社会正義、より多くの重要な問題のために懸命に闘っている。世界中の科学組織は、治療法とワクチンの両方を開発するために彼らの発見を分かち合っている。政府は市民の経済的負担を軽減しようとしている。

コロナウイルスが終息した後、この行動がさらに大きな規模で継続したならば、どのようになるであろうか。いずれは、回復した惑星を「地球村」として扱い、その市民を本当の人類家族として扱うことにつながらないだろうか。時間はかかるだろうが、相互依存の認識と「リーダーたち」への要求から始めて、私たちすべてが「リセット」ボタンを押し、この方向に動き始めることが必要である。

新型コロナ時代の楽観主義(抜粋)

フェリシティ・エリオットによるエコノミスト、著者であるグレアム・マクストン氏へのインタビュー

レアム・マクストン氏はエコノミスト、講演者、ベストセラーの著者である。彼は2014年から2018年までローマクラブの事務局長を務めた。彼の最新の著書『地球規模の気候緊急事態(Global Climate Emergency)』は2020年に出版された。この本は、気候変動に効果的に対応することを妨げる障害を社会がいかに克服できるかを見ている。彼は現代の経済学的思考に対してひどく批判的であり、根本的変化の必要の緊急性について書いている。彼の2018年の著書『変化! なぜ徹底的な転換が必要なのか(Change! Why we need a radical turnaround)』は、ドイツのAmazonでベストセラー第1位であった。フェリシティ・エリオットが、ロックダウンの最中の4月初頭に彼にインタビューを行った。

シェア・インターナショナル(以下SI):私たちは何と不思議な時代に生きているのでしょうか!

グレアム・マクストン:本当にそのとおりですが、それは何らかの形で予想されていたことの一つだと私は思います。そしてもちろん、私たちが自然の境界線を押せば押すほど、このようなことが起こる可能性が高くなります。人間の生命が失われる悲惨さに関しては恐ろしいものですが、この危機は私に長期的な希望を与えてくれた最初のものです。

SI:あらゆる苦しみにもかかわらず多くの人は希望を持っているようであり、現在の大流行の奇妙な時代の中で可能性があることを感じています。一つはっきりしていることは──私たちはいつも通りのやり方に戻ることはできないということです。推奨されるほとんどの変化はまだ徹底的ではないと、あなたはお考えでしょうか。

マクストン: 物事のやり方、生き方を少し変えてみたり、リサイクルを増やしたり、飛行機の利用回数を減らすという考え方だけでは、必要な排出量の削減などを達成することはできないでしょう。しかし、それが突然に可能になったのです。私たちはすべてのフライトを止めることが可能です。私たちはすべての車を、世界中で不要なあらゆる種類の物を運ぶすべての船を止めることができます。そして今突然、そのような徹底的なことが起こっています。空想的なアイディアだと思われていたことが、突然起こりました。そして私のような人々は、「見て!私たちはできるよ!」と言う非常に大きな機会を得ました。非常に長い間で初めて、私は楽観的に感じています。なぜなら、私たちは気候問題を実際に解決できることが分かるからです。

SI:気候変動に関していまだに否定的な人もいて、著名な指導者の中にもいます。私たちの金融経済制度がどのように環境と衝突し、どのように地球の大規模な破壊を引き起こしてきたかを教えていただけますか。

マクストン:私たちの経済制度では、経済を毎年成長させようとします。経済成長に大きな重点が置かれていますが、成長を達成するためには生産を増加させる必要があります。生産を増加させるためには、より多くの資源を使う必要があります。そして、より多くのエネルギーを使う必要があります。すべてのことをするのにエネルギーが必要だからです。すべての資源を掘り出し、工場や船、例えば食物などを育てるのに必要なすべてのものに必要なあらゆるエネルギーをつくり出すことは、ほとんどが炭素に基づいています。それは石炭、石油、ガスなどです。ですから毎年私たちは、より多くのものをつくり出す必要があり、それはより多くのエネルギーを生み出すことを意味し、そのためより多くの排出が発生し、気候変動を引き起こします。気候変動の直接の原因は、生産性の向上と一層の経済成長を求める圧力です。

メーデーのメッセージ(抜粋)

バンダナ・シバ

これまでに319万人以上が感染し、22万8,000人以上が死亡するなど新型コロナウイルスが大流行している最中の今年のメーデーにおいて、私たちはまた飢餓の大流行にも、そして生活の崩壊にも直面していることを忘れないでほしいのです。国連世界食糧計画(WFP)は、迫りくる「飢餓の大流行」について報告しています。それは10億人の4分の1以上の人々を巻き込み、その生活と生計を即座に危険にさらす可能性があります。現在100万人以上が飢餓の間際におり、次の3カ月間で、1日当たり30万人が飢餓で死亡する可能性があると述べています。

ILO(国際労働機関)は、このパンデミックによる経済危機の結果、約16億人の非公式経済の労働者が、労働市場の中で最も弱い立場にある人々が、生活費を稼ぐ能力に大きなダメージを受けて苦しんでいる、と通告しています。ILOはこう述べています。「何百万もの労働者にとって、収入ゼロは食事がないこと、安全がないこと、未来がないことを意味しています。

・・・

パンデミックと雇用危機が進むにしたがって、最も弱い立場の人々に対する保護の必要性は、さらにいっそう緊急なものとなっているのです」

これら三つのパンデミックはすべて、利益、貪欲、搾取主義に基づいた経済モデルに、その原因があります。それは環境破壊を加速し、生活手段の損失を悪化させ、経済的不平等を増加させ、社会を1%の人々と99%の人々の両極に分離させました。コロナ危機の現在の時代において、地球と人類を守るため、地球民主主義と経済民主主義に基づいた、新しい経済をイメージし、つくり出しましょう。民主的な参加と連帯によって、三つの危機に取り組みましょう。そして仕事を保証し、声を上げることを保証する、未来の経済の形成に参加する行動を取りましょう。

これら三つの危機は、1%によって運営される経済が、人々や自然のためには機能しないという、はっきりとしたメッセージです。1%は、99%の人々を、デジタル農業、農民のいない農業、自動化された工場、労働者のいない製造といった予想される未来を根拠にして、「役立たない存在」だと述べています。使い捨てできる役立たない人間は、存在しません。私たちは地球の市民として、自然を破壊せず、飢餓を生み出さず、暮らしと自由を破壊せず、尊厳を持ち、働く権利を持った経済を生み出す義務を持っています。そしてそれは感染症やパンデミックによって、健康を破壊しません。

・・・

コロナウイルス後、経済を再生させましょう。意識的にすべての生命が同等であるあることに気づきましょう。私たちは地球の一部であり、仕事は私たちの権利であり、人類の中心であることを認識しましょう。コロナウイルスの真っただ中において、地球を保護することと、他人を保護することは、最も重要な仕事であることを思い出しましょう。

私たちは一つの惑星に生きる、一つの人類なのです。自治、意義、尊厳、仕事、自由、民主主義は、私たちが生まれながらに持つ権利なのです。

シェア・インターナショナル2020年5月号
印刷版全内容

  • 覚者より さて、いずこへ行くのか?
  • 覚者より 新しいもの (事)の殺到
  • 今月号の内容概説
  • 視点 緊急事態から出現へ  デビッド・コーテン
  • 変化、愛、和合の必要性  グラハム・ピーブルズ
  • 人類の目覚め 「従来通りのビジネス」ではだめ  リン・ガードルストーン
  • 新型コロナ時代の楽観主義
    フェリシティ・エリオットによるエコノミスト、著者であるグレアム・マクストン氏へのインタビュー
  • エリザベス・ワーノン――認知されてない無名の弟子にして作家  
    クロード・シャボッシュ
  • バンダナ・シバー  メーデーのメッセージ
  • 時代の徴
    カリフォルニアの教会近くに現れた聖母マリアのしるし
  • プレスリリース:エルダーズが新しい中東和平プランを呼びかける 2020年5月11日 抜粋
  • 創設75周年を迎える国連のさらなる使命
    シェーレン・アブデル・ハディ=テイルズ
  • アースデー・コミュニケ 2020年4月22日 抜粋
  • 人類、結び付ける王国 選集
    Humanity, the linking kingdom — a compilation
  • 緊縮財政と新型コロナウイルス感染症の広がり  リュック・ギロリー
  • 編集長への手紙 ノック、ノック!  他
  • 読者質問欄 回答 ベンジャミン・クレーム

 シェア・インターナショナル誌をオンラインでお楽しみいただけましたか?

シェア・インターナショナルの雑誌を定期購読して、ご自宅にお届けすることもできます。印刷版では、ここに掲載されているすべての抜粋の完全版に加え、追加記事、インタビュー、書評、質疑応答などが掲載されています。

Copyright © 2023 Share International. All rights reserved.

contents