シェア・インターナショナル誌のオンライン版では、印刷版からの抜粋を紹介しています。各オンライン版には、ベンジャミン・クレームの師による完全な記事が含まれています。幅広いトピックをカバーする他の記事のほとんどは抜粋です。オンライン版には通常、Q&A、読者からの手紙、マイトレーヤ臨在の徴の写真も含まれています。
印刷版の目次は、ページの下部をご覧ください。
シェア・インターナショナル誌の創刊以来、ベンジャミン・クレームの師は35年近くにわたって毎月記事を提供してきました。これらは書かれた時点だけでなく、世界情勢に応じて適切な時に掲載されることを意図していました。
――覚者より 偉大なる母
ベンジャミン・クレーム筆記
世界は人間が考える以上に、より良い方向に変化しつつある。時折、この惑星全体に漂う不気味な暗雲にもかかわらず、さまざまな出来事の主な傾向は肯定的で希望に満ちている。多様な手段を自在に使えるハイアラキーが突き止めることができることは、人間の目に明らかに映るものよりもずっと大きいので、これはなおさらそうなのである。しかしながら、差し迫った危険にもかかわらず、いまだに人間が無視している重大事がある。その中でももっとも主要なものは環境である。それを人間は日々傷つけていることを知っているに違いない。自然界の略奪は今やすべての者の福利を脅〈おびや〉かすレベルに達しており、かくして人間の生来の免疫力を弱め、かつては永久に克服したと考えられた病気を再び台頭させている。
人間は自分たちが住むこの惑星に対する責任を自覚せねばならない。人間は、強くはあるがしかし敏感な有機体の世話人なのであり、それを害から守らなければならない。これを行っていると主張できる者は今日ほとんどいない。それどころか、人間は自然界の豊かな寛大さを濫用し、その上を土足で踏み荒らす。多くの者がこの問題に目覚めつつあることは本当だが、それがすべての者の関心事として理解されて、世界的規模で取り組まれるようになるまで、方向を転換させる上での進歩はほとんどないだろう。
もし人間がこの差し迫った困難を無視すれば、それが人類にとってどれほど危険かを、マイトレーヤが心に留めていることは確かである。マイトレーヤはすべての人間がこの惑星の復興のために働くことを促されるだろう。そしてより簡素な、より幸せな人生への道を指し示されるだろう。
再びこの惑星が健康を取り戻すとき、それは、気遣いと愛をもって接する者すべてにその恵みを与え続けるだろう。下位王国(動植鉱物界)のエレメンタル(精霊)は彼らの任務を良くわきまえている。人間の無秩序の思考の影響から解放されるとき、これらの勤勉なビルダーたち(建造者)は、調和のうちに、新しい、より良い世界を創造することができる。
人間が自然界をすべてのものの「偉大なる母」として理解するとき、彼女(自然界)に対して敬愛の念をもって接するだろう。かくして、偉大なる母は人間に彼女の秘密と法則を明かすだろう。この新しい知識を携〈たずさ〉えて、人間は本当に神々として顕現するだろう。
人間は坩堝〈るつぼ〉であり、その中に新しい「存在(Being)」が創造されつつある。燃えるような体験の熱の中で、人間は徐々に神のなされ方を学んでいる。最初の歩みは遅々とした、苦しいものであるかもしれないが、やがてそのペースは早まるだろう。次々に明かされていく啓示が人間の意識を拡大し、やがて創造性と知識の最高潮につながるだろう。人間は「神の子」として顕れるだろう。
最初のステップは、現状の危険に目覚めることである。これはすでにかなり進んでおり、多くの者が世界的規模の行動に影響を与えようとしている。その他の非常に多くのことと同様に、その世界的規模の行動は、主要な国々――惑星の汚染に関する最悪の違反者――の心(ハート)の変化を待つ。
マイトレーヤは来るべき討議に、彼の「声」といにしえからの知恵を添えるだろう。そして声を持たない者たちのために、沈黙のうちに苦しむ者たちのために語るだろう。
(シェア・インターナショナル誌2001年6月号)
シェア・インターナショナル誌の創刊以来、ベンジャミン・クレームの師は35年近くにわたって毎月記事を提供してきました。これらは書かれた時点だけでなく、世界情勢に応じて適切な時に掲載されることを意図していました。
読者質問欄
シェア・インターナショナル誌には、未掲載手紙の保留分が多数あり、それらはベンジャミン・クレームと彼の師によって、覚者方あるいは「代弁者」との本物の出会いであると確認されたものである。その他の掲載された手紙は新しいものであり、覚者が関わっているかどうかを確認すること、もしくは示唆することもできないが、読者の考慮のためにこれらの手紙は提供されている。
緩やかな着地
先週(手紙は2023年6月1日着)、パーキンソン病を患っている85歳の父が、自宅の吹き抜け階段から後ろ向きに落ちてしまいました。夫と私には大きな物音が聞こえ、まるで物でいっぱいの重い戸棚が壁から倒れてしまったかのようでした。それに続いて、恐怖の叫び声がしたのです。私たち二人が玄関へ走ると、父が陶製タイルの床の上に、右向きの胎児のような格好で倒れているのが見えました。けれども、夫と私が階段脇に置いたさまざまな物はすべて、ちょうどポストに届いたばかりだった鍵や木材用ニスの缶の入った大きな箱も含めて、置かれた場所にありました。ニスの缶一つが明らかにへこんではいました。つまり、私たちに聞こえた物音は何によるのか想像もつかないのです。父は階段の五段目から落ちていましたが、その高さから落ちたにしては、怪我は比較的少なく、どのように落ちたら、あのように着地できたのかも不可解なのです。結局、父は足を骨折しましたが、タイルで頭を打つことも、気を失うこともなかったので、神聖なる源から助けられたに違いないと私たちは感じました。ショックが徐々に消えていくと、父は私に、倒れた時に「神の存在」が共にあることを感じて、助けられたことが分かると言いました。またその瞬間、時が止まったとも言っていました。
エリッサ・グラーフ
ドイツ、シュタイヤーベルク
【編註:この体験は、覚者あるいはマイトレーヤ御自身によって助けられたとベンジャミン・クレームの師によって確認された、他の出来事を思い起こさせるものである】
呼びかけ
私たちの情報をウェブサイトだけで受け取る人が増え、シェア・インターナショナル誌を購読するためのわずかな費用を惜しむ人が増えていることに気づきました。
誰もがインターネットを使えるわけではないし、そうであるわけでもありません。つまり、印刷された雑誌が必要です。もちろん、それにはボランティアによる多くの作業と、制作・配布のための多くの資金が必要となります。ハイアラキーはこの仕事のためにお金を出しているという考え方があるかもしれませんが、そうではありません。シェア・インターナショナルの購読料は、私たちの活動を維持し、一般の人々に届けるために不可欠なものです。購読料は可能な限り低く抑えられており、雑誌は広告による補助を受けておらず、印刷代や郵送料は常に値上がりしています。
インターネット上の情報を読む読まないにかかわらず、この活動を真剣に信じるすべての人が、この雑誌を支援したいと思うことは、きっと誰もが認めることでしょう。
ご支援ありがとうございました。
時代の徴
ベンジャミン・クレームの師によって確認されていない「希望の徴」と「時代の徴」をここに掲載する。それらの「奇跡的な」特性を検証することはできないため、判断は読者に委ねたい。
光の姿


ブラジルのミナスジェライス州カシャンブのジャングルか森林の近くと思われる整地された場所に立っている、光る人影のようなものを映した短いビデオクリップが、2023年6月19日にYouTubeに投稿され、米国の有名なテレビ番組「コースト・トゥ・コースト」でも紹介された。
(coasttocoastam.com)
私たちは、この映像の真偽やその内容については何も主張しない。しかし、以前シェア・インターナショナル誌に掲載された同様の人型の光の姿をすぐに連想させるものである。少なくとも一例では、ベンジャミン・クレームの師によってマイトレーヤであると確認された。

『より少ないことはより豊かである 脱成長が世界を救う』
ジェイソン・ヒッケル著
フィリス・クレームによる書評
経済成長は必要であり、明らかに「良いこ と」であるという考えが、 私たちの 日々の思考や発言の中に根付いている。 わが国の政治家たちは、あたかも当然のことであるかのよ うに、成長こそが彼らの目標であると主張している。私たちは成長が何を意味するのか必ずしも知っているわけではないが、私たちはどんどん裕福になれる、つまり親よりも良い成績を収め、子供たちはさらに良い成績を収めることができるとい う考えが一般的な言説に深く埋め込まれている。政治家はそれを強調しなければならないと考えており、 成長が鈍化している経済は明らかに悪い状 況にあると見なされる。そして、 先進国の私たちにとって、生活は少なくとも物質的には良くなっ ているとしても、同時に、ここ数十年で「金持ちが貧しい人々の前で自分の富を見せびらかす」 (マイトレーヤからのメッセージ、第81信、1979年9月) という深刻な不平等も伴っている。
しかし、近年、 反対運動の声がますます高まっている。私たちが種として生き残るためには、そして地球そのものが生き残るためには、永続的な 成長は私たちの目的ではあり得ない。これが、ジ ェイソンヒッケルの著書『より少ないことはより豊かである:いかに脱成長が世界を救うか (Less is More: How Degrowth Will Save the World)」の要点である。 彼の議論には説得力があり、それに相応しい峻烈な文体も相まって、注目すべきものである。ヒッケルは世界資源の分かち合いを提唱する優秀な人物である。….
この本の前半は「より多いことはより貧しい (More is Less)」と題されている。 ヒッケルは、西 洋資本主義の成長について厳しい歴史的考証を 加えている。その中では、実際の価値のあるもの はすべて利潤のために犠牲にされ、自然と人間の両方の搾取は本質的かつ避けられない部分である。各セクションのタイトルそのものが、それぞれ独自の物語を語る。 「資本主義ー創造の物語」「巨大金融機関の台頭」「テクノロジーは私たちを救ってくれるだろうか?」(否、ヒッケルは「緑の成長」は「夢物語」であり、脱成長が唯一の実行可能な選択肢であると主張している)というタイ トルである。
しかしながら、ヒッケルの本は、第二部「より 少ないことはより豊かである (Less is More)」で 述べているように、恐怖や絶望ではなく「希望」 について書かれている。 これも三つのセクションから構成されている。 「善い暮らしの秘密」 「ポス ト資本主義世界への道」 「すべてはつながっている」 がそのタイトルである。
「善い暮らしの秘密」
ヒッケルはさまざまな国を比較して、幸せ 幸 福(ウェルビーイング)、 意味の感覚は、従来の考 え方が想定しているように、継続的な成長の増加 (高いGDP)によってもたらされるのではなく、 米国の5分の1の収入しかないコスタリカのよう に、「人間の幸福を中心に生産を組織し、 公共財に投資し、収入と機会をより公平に分配する」ことによってもたらされていると述べる。….それどころか、すでに高所得国における唯一の経済目標としての成長の追求は不平等を悪化させ、過労によるストレスやうつ病などの問題を引き起こしている。ヒッケルは全体を通して、より大きな個人の平等、そしてより重要なこととして世界的な平等を提唱する。
「ポスト資本主義世界への道」
ここでヒッケルは、先進国が現在「不況」の脅威に取り憑かれていることを示している。 しかし、脱成長は不況と同じではないと彼は指摘する。 不況は成長を目指して成長が止まったときに起こる。 「脱成長は全く違う。 それは全く異なる種類の経済、つまり、 そもそも成長を必要としない経済への移行である。 それは、資本の継続的な蓄積ではなく、人間の繁栄と生態系の安定を中心に組織された経済である。 ・・・・・・脱成長は解放を表す。 それは癒しや回復、修復の機会を表す」
この本の最後のセクションでは、ヒッケルは先 住民族の信念を引き合いに出して、 自然界全体 の基本的な相互依存性と、すべての生命の本質的な統一性を強調している。 「私たちは、自分自身をより広範な生き物のコミュニティーの一部としてもう一度見ることを学ばなければならない。 ……すべては密接に相互につながっている」。 この信念が本書全体を支えている。
「女性、 生命、 自由」 のために立ち上がるイラン—第一部
シーダ・コーランギ
「自由を求める裡からの声が……圧政の最後の砦が崩壊するまで反響を起こし、また反響を呼んでいくだろう」 (ベンジャミン・クレームの師、「民衆の声」より)
40年にわたる圧政を経て、イラン国民は「女性、生命、自由」の旗印を掲げて団結し、イスラム共和国の独裁政治に対抗している。2022年9月16日、22歳のクルド系イラン人女性、マフサ(ジナ)・アミニさんが同国の指導パトロール部隊に拘束されて死亡して以来、自由を求める声が弱まることなくイラン国内で響き続けている。アミニさんは、政権が定めるヒジャブ着用に関する厳しい規定に「正しく」従わなかったため、殴られ拘束された。彼女の死は全国的な運動に火をつけ、これまでで最も長く、最も継続的で、多くの人が参加した、国中を巻き込んだ抗議デモが起こった。
若い女性たちは、車の上や高い壇に立ち、ヒジャブを振り回したり火をつけたりして、街頭で抗議デモを行った。参加した10代の少女たちの死によって、政権に対する女性や少女たちの怒りと反乱が爆発的に増加し、さらに多くの人々が「独裁者を倒せ」「イスラム共和国を倒せ」「子供を殺すような政権などいらない」と繰り返し大声で言いながら通りに繰り出した。あらゆる年齢層や社会階級の男性や人々がすぐに暴動に参加した。抗議デモはイラン全31州、さらに国境を越えて世界150都市以上に広がった。
象徴としてのヒジャブ
「現在、イラン人女性が果たしている役割は、全くもって前例がないように思えます」と、米スタンフォード大学で政治学と歴史学を教えるダン・エーデルスタイン教授は話す。
欧米で誤解されていることもあるが、イランのほとんどの女性にとって、ヒジャブは文化的な選択ではなくイスラム共和国が女性に課した義務であり、義務が課せられた当初からずっと女性を取り締まり管理しようとしてきた。ヒジャブを着用せずに燃やすことは、女性抑圧の象徴そのものと言えるヒジャブを強制する独裁政権に対する市民的不服従と反抗という力強い活動になっている。
この義務を怠った場合、警告に始まり、むち打ち、投獄、あるいはそれよりさらにひどいさまざまな処罰を受ける可能性がある。2021年8月に保守強硬派のエブラヒム・ライシ師が大統領に就任して以来、ヒジャブの取り締まりが強化され、監視が強まり恣意的で暴力的な逮捕が増加している。女性たちは市民的不服従を続けているため、命令に従わない者は、銀行への入店や公共交通機関の利用を禁止されるなど、さまざまな社会サービスを受ける権利を奪われており、国会は、重い罰金、運転免許証やパスポートの取り消しといったさらなる強制措置と罰則を計画している。ヒジャブを着用しない女性にサービスを提供したために、ヒジャブの着用規則を無視したとして企業数社が閉鎖に直面している。
女性の役割と女性の権利
1979年に政権を握った後、アーヤトッラー・ホメイニー初代最高指導者が最初に行ったことの一つが女性差別の合法化だった。ヒジャブを義務づけた法規定を発表した翌日の国際女性デーには、数千人の女性がテヘランの通りをデモ行進した。抗議デモは何日も続いたが、当時の社会的かつ政治的変遷の大混乱の中、ほとんど無視された。
それ以来、イランの女性は、個人的な領域でも公的な領域でも、多くの差別的な法律や慣習に従わされており、ヒジャブの義務化は常に論争の的であった。また、結婚、離婚、子供の親権、相続などにおいても平等な権利が否定されており、雇用においても政治家としても同様である。そして 高等教育では男性を上回るものの、労働力における女性の割合は10~20%にすぎず、同一労働に対する所得は50%以下である。
しかし、こうした困難や制限があるにもかかわらず、女性は絶えず性差別に立ち向かい社会で動的な役割を果たしてきた。
「行進やデモで、人々が正義と平和と穏健さを呼びかけるところに、マイトレーヤの姿がいろいろな変装で見つけられるかもしれない。その中で彼は民衆の役を演じ、彼らの名の下に話をしている。彼の愛のエネルギーがこれらの正義の集会に充満しており、彼らをさらなる努力へと鼓舞する。マイトレーヤの力が彼らのものとなり、彼らは臆せず、確信を得る」(ベンジャミン・クレームの師、「束縛の終止」より)
多くの比類のない顕著な特徴が、この抗議デモの高まりを過去のサイクルとは異なったものにしている。恐れのなさの度合いと団結の規模、そして公式報告によれば平均年齢15歳という抗議デモ参加者の若さが、この暴動の大きな特徴である。4、5歳の子供たちですらスローガンを唱えたり歌ったりして参加している。3人の女子小学生が校庭でヒジャブを振りつつ、「ザン、ゼンデギ、アザディ」(「女性、生命、自由」)と強い口調で唱和しながら一斉に行進する映像がある。次の詩は、6歳くらいの女の子が朗読したものだ。「私たちの世代は愛と犠牲の世代であり……偽善と嘘が大嫌いな目覚めた思考を持つ世代である。戦争に反対し歌にあふれる喜びに満ちた世代だ。女性、生命、自由……そして愛の世代だ」
「団結」が今回の暴動のもう一つのハイライトであり、キーワードである。独裁政治との闘いと自由に対する願望は、年齢、性別、民族、宗教を超えて人々を団結させ、そして社会全体をかつてない規模で一つにした。….
「グリーンウォッシング」 との闘い
ミーガン・シェラー
グリーンウォッシングとは、実際にはグリーンではない商品をグリーンと表示して販売することで、環境に配慮した製品を求める動きの高まりを企業が利用しようとするマーケティング手法を指す。製品が地球に良いものであると消費者を説得するために、「環境に優しい」「倫理的」「持続可能」「天然由来」「地球に優しい」「100%オーガニック」「動物実験を行っていない」「カーボンニュートラル」などの語句が使用される。
例えばEUでは、2020年に発表された研究によると、製品に関する環境訴求の半数以上(53%)が曖昧であり、誤解を招くか裏付けがないと考えられ、40%は根拠がないことが判明している。
広告代理店AMV BBDOのディレクター、ジョニー・ホワイト氏は次のように述べている。「誤解を招く環境訴求は、広告規制当局、消費者監視団体、さらには政府からも監視されています。ブランドが一般の人々を惑わす罪を犯した場合には公の場で恥をさらされるため、誤解のリスクは非常に大きいのです」
英国におけるグリーンウォッシングの一例は、英国の全従業員の50%弱が現在加入しており、自己資金の投資方法を選択できる雇用主制度や私的年金に関連している。多くの人は持続可能性を強調するファンドへの投資を選択する。
そのため、金融業界は、持続可能、気候、炭素、移行、ESG(環境、社会、ガバナンスの略)などとラベル付けされたファンドを創設するという対応を取った。
カーボン・トラッカー・イニシアチブのアナリストであり、ファンドの投資先の分析レポートの著者の一人であるメイブ・オコナー氏は次のように述べている。「分析の結果、こうしたファンドはその名前にもかかわらず、化石燃料企業における重要な立場を保持する場合があることが分かりました。個人投資家にとって、これは誤解を招きかねないものです。グリーンファンドに投資する際に、その投資がエクソンモービルに流れることを望むでしょうか。おそらく望まないでしょう」
英国におけるグリーンウォッシングのもう一つの例は、ユニリーバ社が所有する洗濯洗剤ブランドに関するものである。テレビのコマーシャルでは、新製品が以前の製品よりも持続可能であるとされた。「地球に優しい」キャンペーンでは、次のようなナレーションで視聴者に行動を促していた。「実際に変化を起こすためには、腕まくりをして汚れる必要があります」。子供たちが木を植えたり、海からプラスチックを集めたりする写真も使用されていた。このブランドの新しい配合(植物由来の汚れ除去剤とリサイクルボトルの使用)のプロモーションは非難を浴びた。英国広告基準局(ASA)は、新製品が以前の製品よりも持続可能であるという環境訴求をブランドが実証できなかったとして、パーシル社に対して措置を講じた。….
オーストラリアから米国に至る政府機関は近年、環境欺瞞と闘う取り組みを強化しており、その中には活動家が企業の提出書類を検査し、誤解を招く訴求を発見した場合にはそれを暴露する取り組みが含まれている。しかし今日では、「真実の広告」ルールは十分に適用されていない。この状況を変えようとして、多くの国の政府が企業の責任を問うことに役立つ新たな規制に取り組んでいるか、または導入している。….
グローバル・ウィットネス社の上級顧問、ゾルカ・ミリン氏は(米国でのシェル社のグリーンウォッシングへの苦情に関連して)、今年初めに次のように述べた。「再生可能エネルギーへの投資を誇張し大衆の誤解を招くことは、グリーンウォッシングにほかなりません。気候変動対策はマーケティング部門で思いつくものではなく、企業全体の具体的な活動を支えるものでなければなりません」
消費者や政府から、企業の環境認証に関して誠実であってほしいという要求が高まる中で、グリーンウォッシングの慣行は世界中で徐々に受け入れられなくなり、人々は健全な地球をさらに支援するような、情報に基づく選択を行えるようになるだろう。
世界の宗教と金融一
地球の未来のために新しい方向へ進む
ポーリン・ウェルチ
2001年以来、あらゆる主要な宗教団体は、世界が直面する課題に実践的な行動を通じて対処するために提携関係を築いてきた。2015年以降、このプロジェクトは国連の新しい「持続可能な開発目標(SDGs)」を基盤とし尺度としてきた。プロジェクトの概要が「ブリストル・コミットメント──持続可能な未来へ向けた宗教団体による計画 」※1にまとめられた。アルジャジーラの環境番組「アースライズ」によると、2023年4月現在、その焦点は環境危機と、地球を守るために人類に課された責任についての能動的な認識へと切り替わろうとしている。その結果、多宗教、多部門、多面性を特徴とする取り組みが急速に進展している。新たな危機感に駆られ、宗教的価値観を再評価し、教育や行動主義、投資先の見直しによって自分たちの影響力の大きさを認識したことにより、そうした取り組みに拍車がかかっている。
主要な宗教団体は、変化を引き起こす途方もない潜在能力を持っている。世界人口の85%近くが何らかの宗教とのつながりを持つと推定されており、なかでもキリスト教徒とイスラム教徒は圧倒的に多い。両者の金融資産と無形資産を合わせると膨大な量にのぼる。グローバルに展開し、社会のあらゆるレベルで行動を促す能力を持っているため、その影響力は他のどの組織とも比べ物にならないほど大きい。英国国教会の環境問題担当であるオリビア・グラハム主教はこう述べている。「政治家には、実際のところ、長期的な視野を持つ動機がありません。政治家は当然ながら、国益を重視します。宗教団体はそうしたあらゆることを超越します。国境を越えて活動します。そのため、はるかに広い視野を持ち、実に効果的な方法で動員を行うことができるのです」….
「宗教投資家、慈善団体、国連、各国政府、投資会社による画期的な『フェイス・イン・ファイナンス』会議」を経て、2019年、新しい種類の投資組合である国際非営利ネットワーク「フェイスインベスト」が設立された。「人と地球のために『信仰に基づく投資(FCI)』の規模を世界的に拡大する」ためである。※1 これは、単に被害を避けるための投資判断ではなく、「美しく公正な世界」のために積極的に投資するという意味である。
神学者であり環境保護活動家でもある「フェイスインベスト」の設立者・初代会長、マーティン・パーマー氏はこう説明する。「聖書やコーラン、バガヴァッド・ギーター、道徳経をひもとくと、信仰によってなされるあらゆることを促す価値観や使命が見つかります。ですから、私たちは信仰によって駆り立てられる投資プログラムを構築しているのです。過去100年の習慣にありがちであったように、ただやみくもに投資して、そのお金で『良いこと』をするのではありません。自分が稼いだお金が、とにかく起こってほしいと思うことに役立つように、そのお金を動かすのです。『信仰に基づく投資』です。それが水門を開けました」….
フェイスインベスト評議会の議長であるデイブ・ゼルナー氏はこう述べている。「究極の目標は、世界を変えることだと思います。世界をより良い場所にすることです。この目標に沿いたいと考える信仰者のコミュニティーには資金がたくさんあります──つまり、ネットゼロ経済へ移行するという目標です」
バレル氏は要約してこう述べている。「気候や自然界の危機の程度が大きくなる一方で、行動を促し、鼓舞し、さらには行動を強いる同盟も増えています。地球上の生命を守ること以上に大きな共通の大義がないことに人々が気づきつつあるからです」
(出典:※1=faithinvest.org)
シェア・インターナショナル2023年7月号
印刷版全内容
覚者より
偉大なる母
ベンジャミン・クレーム筆記
今月号の内容概説
視点
JFKならウクライナの平和をどう追求するのか?
ジェフリー・D・サックス
S.O.P.われわれの惑星を救え!
核融合が新たな画期的段階へと到達する
『より少ないことはより豊かである 脱成長が世界を救う』
ジェイソン・ヒッケル著
フィリス・クレームによる書評
「グリーンウォッシング」 との闘い
ミーガン・シェラー
時代の徴
世界中の徴
「女性、 生命、 自由」 のために立ち上がるイラン—第一部
シーダ・コーランギ
新しい世界宗教 (2)
アート ユリアーンス
「この土地は私たちの生活の場です」
ペルーの先住民が不法な破壊から森林を守る
オリビア・ロザン
世界の宗教と金融一
地球の未来のために新しい方向へ進む
ポーリン・ウェルチ
編集長への手紙
穏やかな着地 他
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