シェア・インターナショナル 2023年1月号

シェア・インターナショナル誌のオンライン版では、印刷版からの抜粋を紹介しています。各オンライン版には、ベンジャミン・クレームの師による完全な記事が含まれています。幅広いトピックをカバーする他の記事のほとんどは抜粋です。オンライン版には通常、Q&A、読者からの手紙、マイトレーヤ臨在の徴の写真も含まれています。

印刷版の目次は、ページの下部をご覧ください。

シェア・インターナショナル誌の創刊以来、ベンジャミン・クレームの師は35年近くにわたって毎月記事を提供してきました。これらは書かれた時点だけでなく、世界情勢に応じて適切な時に掲載されることを意図していました。

contents

――覚者より 人間の役割

 早晩、人間は下層王国(動、植、鉱物界)との関係の真のあり方を理解するようになり、彼らの進化のために世話係の役割を喜んで引き受けるだろう。これが飼育業や農業、林業、漁業のすべての面における変容につながるだろう。今日の方式──森林と土壌の略奪、やせた土地の過度な耕作、多種の動物や魚類の貪欲で無謀な捕獲、これらは永遠に消え去るだろう。

 自然の恩賜に対するこの不浄な戦いに、直ちに停止の号令がかけられねばならない。人はもはや大地と水を毒することを許してはならない。それは人間と動物を同様に脅かすものである。運動および空気と日光に浴する基本的権利を抑制するような飼育の方式に携わることは、もはや適切でない。実験のための数え切れない生物のむごい利用の仕方は、より健全な方法の研究と知識に道を譲らねばならない。

 今日、多くの人々がこれらの問題に関心を寄せ、変えることを呼びかけている。人間の心は正しい方向へ動いており、何ものもこの勢いを止めることはできない。しかしながら、世界の生態均衡を維持するためには、直ちに非常に大きな変化が必要である。

 地球が、生きている存在として、その全体にとってそれぞれ欠くことのできない各部分をすべて整えた完全な存在として見なされるとき、新しいビジョンと新しい正常さが普及するであろう。人間は自然の秩序の世話人として自分たちを見るようになるだろう。大計画に沿って、人類の上位も下位も、それぞれの王国が関連し合い、和合と美の中に機能することを前もって定められているのである。

 今日、自然の法則の研究に巨大な額の金が費やされている。同時に、莫大な資源が浪費され、誤用されている。これらの資源が自然の均衡を安定させるために向けられたならば、新しい世界が出現するだろう。人間に長い間、隠されていた秘密を、人間自身が所有することになろう。いままで人間の詮索好きなマインド(識心)に閉ざされていた知識の領域に入ることになろう。自然はその神秘をついに明かし、そして人間は大計画の管理者としての正当な座を占めて、創造主とのパートナーシップ(提携関係)を始めるだろう。

 人間はすべてのものを新しくすることも、あるいは世界を破滅させることもできる力を持つ。これまでに、そのような全能が人間の掌中にあったことはなかった。この力の正しい使用を保証するためには、今日めったに見られない智恵の表現が要求される。それを人間は己の裡に見いださなければならない、さもなければ死滅である。

 人類種族にとって幸いなことに、人間は孤立した存在ではない。人間生活の舞台の背後から、覚者たちの一団が、神の属性のすべてを賦与された者たちが、今、登場しつつある。彼らから長老の智恵が流れ、人間を道に沿って導き案内するだろう。彼らのインスピレーション(鼓舞)を受けて、人は自分の足どりを見直し、もう一度新たに始めるだろう。彼らの賢明な後見のもとに、人は神へと登り始める、潜在するのだが表現されていないあの神性を顕し示すために。

 このようにして、人間は早晩、覚者となり、同じように神の大目的の奉仕人になるだろう。そうすると、人類から、大計画を進行させるためにすべてのものを共に育む普遍的な智恵の流れが注ぎ出すだろう。

(シェア・インターナショナル誌1985年12月号)

これらの記事は、ハイアラキーの上級メンバーである覚者によるものである。彼の名前は秘教界ではよく知られているが、まだ明かされていない。マイトレーヤの出現に関する主要なスポークスマンであるベンジャミン・クレームは、覚者と常にテレパシーでコンタクトをとっており、彼に記事を口述していた。

覚者による他の記事を見る

読者質問欄

世界中のあらゆる講演において、そして生涯のほぼ毎日、ベンジャミン・クレームは広大な範囲に及ぶ大量の質問を受けました。この大量の記録から、過去の年月にベンジャミン・クレームと彼の師である覚者によって提供された回答を掲載したいと思います。

Q 私たちは自分で覚者方に接触することはできますか。

A 

いいえ、覚者に接触することはできません。何らかの理由があれば覚者があなたに接触します。まず最初に、メンタル偏極というものを達成しなければなりません。あなたの意識の偏極は高位のメンタル界になければなりません。なぜなら彼らは魂のレベルで働くからです。しかし、もしあなたが世界への奉仕に適合し、十分に客観的になり、オープンで利他的な方法で働く用意があれば、彼らはあなたに接触するかもしれません。
 接触を受けた人々は時の初めから存在します。すべての偉大な芸術家、思想家、詩人、作家、音楽家、偉大な政治家、科学の発見者たち、彼らは皆、覚者方の弟子です。彼らは覚者方の監督の下で働き、私が行っているように、内的に、主観的に魂のレベルで与えられたものに反応しています。このようにして、彼らは覚者方の仕事をこの世で実行してきました。このようにして、私たちの文明と文化は長年発展してきました。

Q では、覚者や教師方が出てこられるとき、彼らが与えるメッセージは和合ということですか。

A それは和合でしょう。マイトレーヤは、絶対的に最初の、必要不可欠なステップは、人類が自らを一つと見なすことであると言われます。私たちは一つの神の下での人類の兄弟姉妹です。

編集長への手紙

シェア・インターナショナル誌には、未掲載手紙の保留分が多数あり、それらはベンジャミン・クレームと彼の師によって、覚者方あるいは「代弁者」との本物の出会いであると確認されたものである。その他の掲載された手紙は新しいものであり、覚者が関わっているかどうかを確認すること、もしくは示唆することもできないが、読者の考慮のためにこれらの手紙は提供されている。

『分かち合いが世界を救う』展示会(ヴィルブージ)

 パリから南東に100キロ足らずの場所に位置しているヴィルブージで、2022年9月18日、私はパルタージュ・アンテルナスィヨナル(仏語版シェア・インターナショナル誌)の裏表紙から作成した展示写真を掛ける仕事を担当していました。写真を保管用の箱から取り出していた時、手がヒリヒリと熱くなるような心地良いエネルギーが目に見えて、感じることもできたのです。それは圧力調理器で蓋を開けると、蒸気が出てくるときのような感じでした。写真からも同じように感じられました。壁に掛けていくのは大変でしたが、展示のために用意されたヨガ・ルームで写真を掛け続けていました。展示はそこで1カ月続けなければなりませんでした。写真に触れるたびに、白い光がひらめくのが見えて、泣けてきてしまいました。私が『ウェルネス・サロン』に戻ってから、私たちは入り口のひさしに2枚の写真を展示しました。
 昼食から戻ると、私たちの会場のエネルギーがすっかり変化したことに気づきました。そして写真に触れるたびに、そのエネルギーが見えて涙が流れました。けれども、こうしたことが続くことは全く予想外だったのです。後になっても、グループのメンバーと設営のことや、似たような物事を話すたびに、そのメンバーが誰であれ、話しかけては止められていたのは、私が泣き出し続けていたからでした。そうしたことが非常に頻繁に私に起こり、手紙を書いている現在に至るまで続いています。つまり、展示でマイトレーヤのエネルギーによる体験をしてから30日経ってもそうなのです。
 結果として私は他のメンバーたちに自分の体験について話をして、キーワードになる言葉が心の中で印象に残っていることも伝えました。私が表現しようとしている体験を言葉に置き換えるのは、私にとっては非常に難しいことでした。グループと接触するといつでも、『分かち合い』という言葉が頭から離れませんでした。
 こうした時間を別にすると、私の人生はごく普通なのです。分かち合いが私たちの『外的人生』においてだけでなく、グループの内的人生についてのものであると分かったことを、私は他の人々に繰り返し伝えました。そうした人生の二つの様相は分離していないのです。
 しばしばグループのメンバーたちの中に『休止期間』という感覚があるように思っていました。今こそ分かち合いをグループの中でも外でも、私たちの思考、言葉や行動において実践する時が来たことを伝えようとしました。私に個人的な問題があるにもかかわらず、より多くの展示会をやっていくべきだと考え続けていました。この考えがより強くなって、活動的なメンバーが11月に不在の時に、展示会を行うという提案をした夜もそうした思いでした。私には今やるべきだという感覚がありました。そのため私の気持ちを分かち合い続けて、グループの良識に訴えました。私たちは個人的な問題のためにマイトレーヤの手のエネルギーを求めるけれども、マイトレーヤによって祝福された展示会のエネルギーを喚起してはいないと伝えました。集団的な善のためのエネルギーであるにもかかわらず、私たちはそれを喚起していない、と。『分かち合い』という言葉はグループ内でも外でも、今の状況に非常にふさわしいのです。人々には分かち合う用意がない、適切な時ではないというような意見をしばしば耳にしてきましたが、この体験の後はそういった意見を受け流すことはしないつもりです。なぜなら今のように、まさにこの時だという時は、決してなかったと感じているからです。
 もちろん、分かち合いは常に今日的な意味のあるものですが、どうして今すぐなのかを私に尋ねないでください。答えることはできませんから。それでもあの体験以来私は知ったのです。月刊誌の裏表紙に基づいた『分かち合いが世界を救う』写真展の展示をすることによって、様々なエネルギーによる体験もあって、この伝達手段をもっと頻繁に使用することを、私たちは求められていると確信するようになりました。『分かち合いが世界を救う』という事実に対してハートをオープンにする目的を持って、分かち合いを私たち自身の中にももたらすことを目指すのです。
 私たちはパルタージュ・アンテルナスィヨナル誌のたくさんの読者なのです。

M.A.
フランス、パリ

呼びかけ

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時代の徴

アメリカ――2022年10月9日、ネバダ州ラスベガスの居住者が、風景の上に広がる嵐雲のパノラマ写真を撮影した。
後で見直すと、蒸気か光を発するベル形状の空中物体が写っていた。(拡大画像)

(mufon.com)

2023年3月にフランシア・フリドリッヒさんが撮影した光の輪。
米国サンフランシスコの病院のガレージの正面。

通信員より脱成長とコミュニズムの出会い:
『人新世の「資本論」 』 斎藤幸平著

田中純による書評

著者の斎藤幸平氏は1987年生まれで、ベルリン・フンボルト大学哲学科博士課程を修了し、現在は東京大学大学院総合文化研究科・教養学部准教授である。専門は経済思想、社会思想で、『Karl Marx’s Ecosocialism: Capital, Nature, and the Unfinished Critique of Political Economy』(邦訳『大洪水の前に』堀之内出版、2019年)によりドイッチャー記念賞を歴代最年少で受賞した。斎藤氏は、資本主義の危機の解決策を晩年のマルクスの思想の中に見いだし、それを従来のマルクス解釈とは異なる「人新世の『資本論』」として復権させることを企図している。 人類の経済活動が地球に与えた影響があまりに大きいため、ノーベル化学賞受賞者パウル・クルッツェン氏は、地質学的に見て、地球は新たな年代に突入したと言い、それを「人新世」(Anthropocene)と名付けた。….

マルクス再解釈の鍵となる概念の一つは、<コモンcommon>あるいは<共>と呼ばれる考えである。<コモン>とは、社会的に人々に共有され、管理されるべき富のことを意味する。それは「市場原理主義のように、あらゆるものを商品化するのでもなく、かといって、ソ連型社会主義のようにあらゆるものの国有化を目指すのでもない。第三の道としての<コモン>は、水や電力、住居、医療、教育と言ったものを公共財として、自分たちで民主主義的に管理することを目指す」。

実は、マルクスにとっても、「コミュニズム」とは、ソ連のような一党独裁と国営化の体制を目指すものではなく、生産者たちが生産手段を<コモン>として、共同で管理、運営する社会のことであった。さらに、マルクスは、人々が生産手段だけでなく地球をも<コモン>として管理する社会を、コミュニズム(communism)として構想していたのである、と著者は述べる。….

資本主義を乗り越えて、「ラディカルな潤沢さ」を21世紀に実現するのは<コモン>なのだ、と著者は説く。「例えば、電力は<コモン>であるべきである。なぜなら、現代人は電気なしには生きていくことができないからだ。水と同じように、電力は『人権』として保障されなくてはならないのであり、市場に任せてしまうわけにはいかない。市場は、貨幣を持たない人に、電気の利用権を与えないからである」。著者が持続可能なエネルギーの管理方法の一例として挙げるのは、市民電力やエネルギー協同組合による再生可能エネルギーの普及である。著者はこれを「民営化」に対して、市民の手による「<市民>営化」と呼ぶ。….

著者はこう結論付ける。「気候危機の時代には、政策の転換よりもさらにもう一歩進んで、社会システムの転換を志す必要がある。資本主義から抜け出し、脱成長を実現することで得られる『ラディカルな潤沢さ』こそ、晩年のマルクスからの真の対案なのである」

=編集部註=

シェア・インターナショナルは、ベンジャミン・クレームの師が助言する将来の経済構造を示す以下のコメントを追加したいと思います。人類が直面している危機を考えれば、人々が不満と怒りを抱いていることは明らかです。変化のスピードが遅いことへの焦りと、地球の健康にどんな犠牲を払っても現状を維持しようとする「ビッグマネー」側の継続的な努力が相まって、経済システムに対する批判の新しい波が押し寄せているのです。多くの人が、これは総体的な資本主義の終焉の時であると見ています。とはいえ、私たちは社会の突然の崩壊を避ける必要があります。すべての変化には時間がかかり、変化を受け入れるには秩序だった、慎重(ゴシック:慎重)な移行が必要です。

覚者方は、未来の経済学に対して、バランスの取れた包括的なアプローチを提唱しています。ベンジャミン・クレームの師である覚者は、70%の社会主義と30%の資本主義でバランスを取ることを勧めています。これはすべての人の必要を満たし、革命ではなく着実な進化を可能にします。マイトレーヤも、真の変化には時間がかかると述べています。

未来への青写真 ユートピア思考 (第二部)

コルネ・クワテル

第一部では、「正義の効率性」と「万物の相互依存性」を取り上げた。第二部では、「理想的な」文明の概念を探求する。

ラファエルのビジョン

作家のヴェラ・スタンレー・アルダーは、『世俗から荘厳へ』の中で、第二次世界大戦中にイギリスの田舎町で起こった自伝的出来事を述べている。彼女はそこでラファエル*という高度な人間と定期的に会っていた。ラファエルは、原子、人体、太陽系のエネルギー構造が、同一ではなくとも、似ていることを知り、探求するために、「肉体を離れる」方法を彼女に示し、すべてが相互につながって生きており、それぞれの持つ意識レベルが異なると説明した。また、もし人々が無知な搾取者としてではなく、あたたかく善意ある自然の奉仕者として生きるならば、人生はどのようになり得るのか(そして、どうなるのか)というビジョンも示した。 アルダーは、上空から見た風景をこう描写している。土地の自然の輪郭に沿った田園風景は美しく、敷地の境界を示す生け垣もない。耕された畑もなく牛もいないようだ。動物たちが家族ぐるみで広範囲に放浪しているのが時折見られた。しかし、鉄道の輸送はすべて地下で行われていたので、危険な町や看板、鉄道の分岐点などはなかった。アルダーと彼女の仲間が旅行する際に乗った飛行船は、汚染物質を出さない、つまり騒音も煙も出ない非常に経済的な原子エネルギーで動いていた。ラファエルの説明によると、そのエネルギーは「空気そのものから取り出され、振動と色光線を操作することで蓄積されたり放出されたりする」。一般道路は、草、穀物、サラダ用植物、ハーブなどで縁取られた美しい「ガーデンロード(園路)」であり、すべての人々が熱心に世話をし、喜んで植えた。果樹低木や果実の木が豊かに広がり、その側にはナッツの木が圧倒的に多い森がいくつもあった。大規模な作付けはなかった。すべての植物の生化学と土壌に対する作用が注意深く研究され、ある種類の植物が他の種類の植物を助けるように、常に混植が行われた。….

ラファエルは、進化は続かなければならず、人類はその自由意志により、困難な方法で教訓を学ぶことを決意したが、このようにして生じたほとんど耐え難い苦しみと悪化は、抑圧されていたすべてのものをかき混ぜ表面化させるだろうと述べている。私たちの現状をこれほどはっきりと見せられることで、反感と強い願望という世界的な大反響が起こり、私たちの最悪ともいえる自己満足を根絶するだろう。「この精神的革命の力は、人類の考え方すべてを、世界全体の環境──つまりオーラ──が変わるようなレベルへと方向転換させるだろう。この変化により、世界史の中で最も偉大な出来事が起こることになるだろう」….

「ラファエル、何を教えてくれるのですか」。「国際関係や新しい世界経済を通して、この地球における人間の本当の役割、自然界のあらゆる王国の進化を助ける技術について理解することができるだろう」。そして、世界政府というよりも、一種の世界的有機体につながる生活様式と、「それぞれの信仰が正当な位置を占める」世界的な宗教を理解することができるだろう。
アルダー自身に何ができるのかと尋ねると、ラファエルは、書くこと、話すこと、教えることを通して静かに知らせることだと語った──ただし求める者に対してのみ。….

* 質問:(1)ヴェラ・スタンレー・アルダーの『世俗から荘厳へ』という著書の中に出てくるラファエルというのは知恵の覚者方の一人ですか。(2)彼は内界で働く覚者の弟子でしたか。
ベンジャミン・クレーム:(1)いいえ。(2)はい。
(シェア・インターナショナル誌2011年10月号)

すべての人のためのベーシックインカム
霊的な法令? ?  第一部

アンネ・マリエ・クヴェルネヴィック、アンジャ・アスケランド

危機の際に最も打撃を受けるのは、貧しい人々と最も弱い集団である。それは、第二次世界大戦前の株式市場の大暴落の際に起こった。2008年の住宅や銀行の危機の際にも起こった。それは、新型コロナウイルスの大流行が最悪の局面を迎えた際にも起こり、今ヨーロッパで戦争が猛威を振るう中でも起こっている。政治家、経営者、多国籍企業などの支配層は自立しており、将来や商業的利益のために備えている。一方で、最貧困層は顧みられず、セーフティネット(安全網)もなく悲惨な状況に陥っている。ここノルウェーや世界の他の地域で貧富の格差は拡大し、誰の目にも明らかになりつつある。
私たちは個人主義に関して行き過ぎており、自分自身のアイデンティティー(独自性)に強く集中しているため、生命の一体性を見ることができない。この「個我との同一化」により、私たちは競争、分割、分離主義、不平等、戦争など、誤った原則に基づく支配的なパラダイム(枠組み)や制度をつくり出すことになった。これは、人類が体験しようとしている人間の和合という内的な実相とは正反対のものである。今日の地球上における最大の分割は、南北間──先進国と新興国の間──の経済的不平等である。また、資源へのアクセスにおいても各国間の階級格差や違いが存在する。
そのため、資源をより公平な方法で分配し、パラダイムシフト(枠組みの移行)に貢献することが可能なベーシックインカム(基本所得保障)のような制度を確立する必要がある。霊性への移行が必要である。人類の和合や共感の余地をつくりそれらを刺激するような、人類をホリスティック(全体的)に──自然の一部として──見るようなパラダイムへの移行である。不朽の知恵の教えは、物質的な現実を分離主義、貪欲、競争から分かち合いと正義に基づいた制度にどのようにして変化させるかについて掘り下げた説明を提供している。そのような制度は、意識のあらゆる側面の発達に貢献する。そうした移行により私たちは、コミュニティーと平等の真の意味を、そして成長と発達のために人々と自然の両方を大切にすることが中心的な目的であるような霊性の展望を体験するだろう。そうした変化により、危機の時代の中で貧困層が最大の負担を負うことがなくなるだろう。
複数の著名な指導者がベーシックインカムを提唱した。1960年代には、公民権活動家、マーティン・ルーサー・キング牧師がベーシックインカムを支持する議論を行った。彼は貧困について、そして人並みな生活を送るために何が必要なのかについて語った。基本的な必要が満たされるだけではなく、すべての人が社会の中で充実して生き、参加の機会を持つべきである。
フランシスコ教皇は2020年、新しい著書、『教皇フランシスコ コロナの世界を生きる』(PHP研究所、2021年)の中で、次のようにユニバーサル・ベーシックインカム(最低所得保障)の実施を促している。「社会における無報酬の仕事の価値を認めることは、コロナ後の世界を考える上で非常に大切です。そのため私は、今こそ『ユニバーサル・ベーシックインカム(UBI)』のような政策を調査すべきだと思います。……すべての国民に無条件で定額の給付を行うもので、税制を介して分配することができます。UBIは労働市場における関係をつくり直し、人々を貧困にとどめる労働条件を拒否するという尊厳を保障するかもしれません。これにより、必要な基本的安全保障を人々に与え、福祉国家主義の烙印をなくし、テクノロジー主導の労働需要が増加する中で転職も容易になります。また、UBIのような政策により、賃金のために働きながら、コミュニティーのために時間を割く自由も確保できます」

(https://basicincome.org/news/2020/12/pope-francis-advocates-basic-income-in-new-book/)

マイトレーヤの教えは、和合、兄弟愛、共感に関するものである。マイトレーヤと知恵の覚者方の任務は、まず第一に、世界の資源を公平に分配し、自然を大切にすることである。このようにして私たちは、充実した人生を送るために「誰も何も欠乏することのない」地球規模の社会をつくり出し、互いに正しい関係で生きることを学ぶことができる。私たちは皆、この変化の過程に参加することができ、非常に必要とされる地球上での正義と平和のためのパラダイムシフトに貢献することができる。

シェア・インターナショナル2023年1月号
印刷版全内容

  • 覚者より 人間の役割
  • 今月号の内容概説
  • 視点 ブラジルでのルーラ政権復帰に安堵のため息をつくアマゾン
     エイミー・グッドマン、デニス・モイニハン
  • 新しい世界経済
     ジェフリー・D・サックス
  • 脱成長とコミュニズムの出会い:『人新世の「資本論」』斎藤幸平著
     田中純による書評
  • 「私たちは今、かつてないほど平和を必要としている」
     ブレッド・ウィルキンス
  • 未来への青写真 ユートピア思考(第二部)
     コルネ・クワテル
  • 時代の徴 奇跡が世界中に溢れる 他
  • 意識の拡大
     アート・ユリアーンス
  • すべての人のためのベーシックインカム
    ――霊的な法令?――第一部
     アンネ・マリエ・クヴェルネヴィック、アンジャ・アスケランド
  • マイトレーヤの優先事項 自由市場――「何かが間違っている」
  • 編集長への手紙 同じ体験に関する4通の手紙
  • 読者質問欄 回答 ベンジャミン・クレーム
  • 2023年の表紙の絵「均衡」

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