シェア・インターナショナル誌のオンライン版では、印刷版からの抜粋を紹介しています。各オンライン版には、ベンジャミン・クレームの師による完全な記事が含まれています。幅広いトピックをカバーする他の記事のほとんどは抜粋です。オンライン版には通常、Q&A、読者からの手紙、マイトレーヤ臨在の徴の写真も含まれています。
印刷版の目次は、ページの下部をご覧ください。
ベンジャミン・クレームの師よりの記事
シェア・インターナショナル誌の創刊以来、約35年にわたりベンジャミン・クレームの師は、毎月記事を提供されました。それらは執筆された時だけでなく、世界情勢に応じて適切な時に掲載される記事でした。1992 年10月に書かれたこの記事は、多くの複雑な概念を扱っていますが、その一つは、覚者方はあらゆる事柄を統率しているという誤った考えについてです。ベンジャミン・クレームの師である覚者は、大計画の展開について概説しながら、その中での人類の役割を最終的に再確認しています
大計画は進む――覚者より
ハイアラキーは最大の関心をもって、いま世界に展開している出来事を見守っている。これらの出来事はあまりにも多く、あまりにも多様なので、熟練した目と理解ある心(マインド)のみが、それらの関連性を、したがってその底に横たわる論理と必然性を見抜くことができる。そのようなより広い視野なしには、人類は、良くて途方に暮れており、悪くて恐れ、狼狽している。すべてが繁栄と平和に向けて良好に進むように見えたのだが、現在の見通しは荒涼としている――経済的な困難と増大する民族抗争が、長年続く飢餓と不公正にさらに苦痛の日当とも言えるものを加える。一体何が間違ったのかと、多くの者が問う。信仰と勇気がこれらの出来事によって揺さぶられる。約束されたような新しい時代はいつ始まるのだろうか。
この転換の時期は必然的に困難な時である。われわれが目撃しているものはすべて偉大なるエネルギーとフォース(力)の影響の結果であり、それが人類に働きかけており、様々な反応を呼び起こす。残念ながら、人類の反応は一様に均質なものではなく、個人および国家の、分離した個々の関心や野心や欲望によって条件づけられる。その結果として、国家主義的な運動や民族的な要求が過度に前面に出てきている。
わたしたちの観点から見ると、これらの要求は、いま世界に蔓延している自由への欲望を生じさせるエネルギーに対する正当な、しかし歪んだ反応である――それが抑圧的な政権を倒す行為として表現されたときには喝采され、同胞殺しや残虐行為や戦争として表現されたときには、当然ながら非難される。
この惑星の「内界の政府」としてのハイアラキーが、大小すべての出来事をコントロールするという考え方が存在する。これはまさに誤りである。人間の自由意志を侵すことなしに、それはあり得ない。ハイアラキーの任務は、神の大計画を「我らが人類と呼ぶ中心」を通して実施することである。このことは、人間の神聖なる自由意志を絶えず尊重しながらなされなければならない。かくして、大計画が進んでいく過程の中における一日一日、一年一年ごとの成り行きに完璧さを求めてはならない。長期の目標は保証されている。それについては疑う余地はない。人間のみが大計画の進行していく道が突飛なものになるかどうかを決めるのである。
間もなく、今日世界を牛耳っている緊張に緩和が見られるだろう。様々な出来事が危機状態に近づいており、これらのまったく異なる諸勢力を解決するだろう、そして人々がより健全な見解に耳を傾けることが可能になるだろう。経済的な必要性が、最も富める国にさえ、より世界的な視点で考え、集団の必要により多く沿った線で考えることを強いている。間もなく、貪欲によってつくられた窮境が経済理論とその実施についての再考を強いるだろう。そしてより公正な世界への道を開くだろう。その日は“すぐ近くにある”のではないが、それほど遠い先のことではない。大計画はうまく進んでいないのではないかと恐れることはない。大計画は確実に進んでいる。
これらの記事は、ハイアラキーの上級メンバーである覚者によって提供されました。彼の名前は秘教界ではよく知られていますが、まだ明かされていません。マイトレーヤの出現に関する主要なスポークスマンであるベンジャミン・クレームは、覚者と常にテレパシーでコンタクトをとっており、彼の記事を口述していた。
覚者による他の記事を見る
読者質問欄(抜粋)
世界中のあらゆる講演において、そして生涯のほぼ毎日、ベンジャミン・クレームは広大な範囲に及ぶ大量の質問を受けました。この大量の記録から、過去の年月にベンジャミン・クレームと彼の師である覚者によって提供された回答を掲載したいと思います。
Q マイトレーヤについて述べていただけますか。テレビで見たときにそれが本当に彼であるとどうやって知るのですか。
A 彼はテレビでマイトレーヤとしては知られないでしょう。彼は出演するとき普通の人間として紹介されるでしょう。彼の「声」(作法)は静かで理性的でしょう。私の師は「彼が助けようとしている人々を怖がらせないため」と言われました。しかし徐々に彼はより強力に、強調した言明をするようになり、私たちはそれに気付くでしょう。
彼は途方もない知性の広さを持つ男です。通常のアプローチの幅を遥かに超えています。包括性について考えるときに私たちが意味するものを遥かに超えています。彼が言うべきことをあなたは好まないかもしれません。私の言うことを好まないならば、彼の言うことも好まないでしょう。しかし彼はあなたに考えさせるでしょう。彼のアイディアはあなたに考えさせるでしょう。
誰もが彼のアイディアに反応し、彼の考えに従う同じ機会を持ちます。私は彼の政治、経済、社会問題についての関心についてだけ語りました
──これは最初の焦点でありアプローチです。これは現在最も重要なことです。なぜなら私たちは政治、経済、環境の分野に集中された霊的危機を経験しているからです。そして私たちの問題はこれらの分野でのみ解決することができます。
霊性 ー 第一部(抜粋)
ベンジャミン・クレーム
1982年1月に発行されたシェア・インターナショナル誌創刊号のために書かれたこの記事は、今日緊急に必要とされる霊性(スピリチュアリティ)の統一的で広範囲にわたる定義を提供しています。霊性は、世界が現在直面している多くの危機を解決するにあたっての鍵を握るからです。ベンジャミン・クレームは記事の中で、この雑誌の存在理由の一つを提供しています──霊性を再定義することです。それは、困難な時代においてよく考えるための機会を提供するものです。
「『霊的(スピリチュアル)』という言葉はいわゆる宗教的な事柄を指すものではない。人間を何らかのかたちの成長──肉体的、情緒的、知的、直観的、社会的──に向けるすべての活動は、もしそれがその人を現状からさらに向上させるものであるならば、本質的に霊的な性質のものである……」
アリス・ベイリー著『新しい時代の教育』の中のジュワル・クール覚者のこの言葉は、我々が世界との関係の中で強調すべき視点を変える必要に焦点を与えているものと信じる。それは厳密に宗教的なもの以外の他の活動に対する完全に新しい対処の仕方を反映する。また彼は、宗教集団によって「霊的」という言葉が独占されたことはこの惑星上の悪の勢力の最大の勝利である、と述べている。「宗教的」なものは何であろうと「霊的(精神的)」であるが、他のすべての活動は世俗的であり、俗事であるというのが、一般的な見方である。毎週日曜日に教会で礼拝さえすれば、週の残りは堕落した、不正直な、不合理な政治的・経済的・社会的構造や条件をつくることに費やすことができる。我々は霊的ということを宗教生活以外の生活のすべてから隔離し、それに「内的生活」として限定してしまった。これが、腐敗した不正直な外的生活を送ることを我々に許し、それが現在の世界に直面する困難を引き起こした。今、我々はボタンを押すだけで完全破壊の可能性に直面している。我々は、我々の聖なる特質の正反対の極にある拝金のために聖なる知識のすべての面を売ったのと同じように科学を売った。我々は神性ということを宗教的な意味でのみ、宗教的分野にのみ認めてきたのである。
教会へ行ったり、何らかの特定の宗教を信奉する以外には、我々は人間を霊的な存在として考えない。であるから、人生への宗教的含蓄を否定するすべての政治、経済、社会構造(例えば、今日の共産主義社会のシステム)は非常に悪であると考える。確かに彼らの社会機構のある面は悪であるかもしれない──全体主義や個人の自由の否定は確実に悪である。しかし大体において彼らの機構は深遠な霊的原理に基づいているのである──自由、正義、平等、同胞愛はフランス革命の根本にあったばかりでなく、それ以後のすべての革命の根本にあったのである。
来るべき時代に我々は意識の転換を行い、「霊的」という定義の中に我々の存在のすべての面を含めなければならない。我々の機構のすべてが、人類の内的一体性に基づき、そしてその現実を反映するものでなければならない。魂として我々は一つである。分離した個々の魂は存在しない。そのような内的神性が表現されることを可能にするような政治、経済、社会のシステムを、我々はつくらねばならない。・・・
編集長への手紙(抜粋)
シェア・インターナショナルには、ベンジャミン・クレームと彼の師が、覚者たち、あるいはその「代弁者」との本物の出会いであると確認した未発表の手紙を預かっています。その他の掲載された手紙は新しいものであり、覚者が関わっていたかどうかを確認することも、示唆することもできませんが、読者の考慮のために、これらの手紙は提供されています。
真の変化を生む力
拝啓 世界の読者の皆さんへ
私が手紙を書いているのは、皆さんが世界に本当の変化を生む力を持っているからです。地球に影響を与えている物事がたくさんあって、私たちはそれらにストップをかける必要があります。これから二つの大きな問題を挙げて、もしそれに取り組まなければ何が起こるか伝えていきます。
第一のことは気候変動です。気候変動は、石油を燃やすこと、飛行機や森の木を切ることのような、たくさんのことが原因で起こるのです。そのようなことすべてのせいで、極地の氷床が溶けて、海抜が上がっています。もし私たちが今止めなければ、もっと多くの町が洪水になり、人々は家を失うでしょう。
次の大きな問題は、生息地を無くすことと絶滅です。私たちはあまりにも多くの世界の自然資源を使い、私たちを取り巻く世界に敬意を払っていません。私たちの惑星に住むすばらしい生き物を支えている、魅惑的で驚くべき生息地を私たちは破壊しています。多くの生き物たちが絶滅するようになるでしょう。山火事がゴリラを殺し、コアラを危険にさらしています。地球上の動物たちは、もし絶滅していくことを私たちが気にかけないなら、もっともっと弱くなっていくでしょう。
私の手紙で皆さんの心が、このような問題を解決するために、何ができるかについて考えるように活気づけられることを心から願っています。
敬具
E.(8歳) 英国、ロンドン
与える機会を与えられて
編集長殿
私たちの最近(手紙は2005年に書かれた)のローマへの旅行についてお尋ねできたらと思います。私たちは膝をついて物乞いをする女性に会い、彼女に数ユーロ渡すと彼女は私たちに手を振ってお別れを言ってくれました。この女性はイエス覚者でしたか。
さらに物乞いをしている女性と子供に出会い、その人たちは眠る場所も食料もないと言っていました。再び私たちはお金を渡しました。二人は覚者方でしたか。
M.A.L 英国、バーミンガム
【ベンジャミン・クレームの師は、最初の『女性』がイエス覚者で、2番目の『物乞いの女性』がマイトレーヤで、『子供』がイエス覚者であったことを確認した】
輝く光を提供中
編集長殿
私は長年シェア・インターナショナル誌ドイツ語版のレイアウトを担当してきましたが、もちろん、いつでも新しい奇跡を見ると興奮を覚えます。今回は私自身の体験、あるいは私が発見したものを見ていただきたいと思います。
2週間前(2020年11月3日)、防犯カメラに何か不思議なものが映っているのが見えました。すぐに私は、あのお馴染みのものだと思ったのは、シェア・インターナショナル誌で見たことのある写真に似ていたからでした。
防犯カメラの録画から撮影した写真数枚を送っています。左側に2本の光の『ひも』が見えます。いつもは毎日カメラのスクリーンを見ていますが、二日続けて突然これが現れたのです。私はすぐにカメラの前に何もぶら下がっていないことを確かめるために、外に走り出ました。実際にこうした現象を引き起こすものは何もありませんでした。
数日経って、また振り子のように揺れる丸い光を見つけました。その日以来こうしたことが、いつもカメラに映っていますが、私は何も説明できません。
それから2枚の光の十字架の写真を添付していますが、長年私の家に現れているものです。家のテラスから見えるもので、夕方外側に座って、その窓を眺めると見えてきます。十字架はバスルームの窓に出ています。それの前に立っていると、その内側に立っているような感じがします。とても大きなもので、立体感があるからです。写真ではその全体像がわかりません。私が月刊誌のチームで、シェア・インターナショナル誌ドイツ語版のレイアウトをするという仕事を始めた時に、現れたと認識しています。私たちはそれをマイトレーヤからの祝福と思っているので、守られているという気持ちを常に持っています。
C・S ドイツ、アウクスブルク
(編注:これらの2枚の写真については、時代の徴を参照ください)
呼びかけ
私たちの情報をウェブサイトだけで受け取る人が増え、シェア・インターナショナル誌を購読するためのわずかな費用を惜しむ人が増えていることに気づきました。
誰もがインターネットを使えるわけではないし、そうであるわけでもありません。つまり、印刷された雑誌が必要です。もちろん、それにはボランティアによる多くの作業と、制作・配布のための多くの資金が必要となります。ハイアラキーはこの仕事のためにお金を出しているという考え方があるかもしれませんが、そうではありません。シェア・インターナショナルの購読料は、私たちの活動を維持し、一般の人々に届けるために不可欠なものです。購読料は可能な限り低く抑えられており、雑誌は広告による補助を受けておらず、印刷代や郵送料は常に値上がりしています。
インターネット上の情報を読む読まないにかかわらず、この活動を真剣に信じるすべての人が、この雑誌を支援したいと思うことは、きっと誰もが認めることでしょう。
ご支援ありがとうございました。
時代の徴
ここでは、編集部にとって「希望の兆し」であり「時代の兆し」である現象を紹介します。幸いなことに、ベンジャミン・クレーム師によって本物であると確認された現象のストックは、現在かなり多くあります。しかし今後は、確認されていないものも紹介する予定です。私たちは、それぞれの「奇跡」または「徴」の現象において、可能な限り徹底的に調査することを約束し、過去にベンジャミン・クレームの覚者から常に提供されていた確認や、追加情報を現在利用することができないため、判断は読者のみなさまにお任せします。詳細については、入手可能な場合は、写真のキャプションに記載されています。

ドイツ、アウクスブルク──これらの光の十字は2014年10月9日に撮影され、いまでも非常にはっきりと鮮やかである。C・S氏が撮影した。(詳細は、「編集長への手紙」欄を参照)

この写真は、2020年11月3日に、家の外に設置されたCCTVの防犯カメラからのスクリーンショットである。この時間と日付前のスクリーンショットにはこのような現象は映っていなかった。クモの巣などの説明がつくかどうか、カメラ自体が調べられたが、この光の筋や振動する丸い光を説明できるものは見つからなかった。C・S氏が撮影した。(詳細は、「編集長への手紙」欄を参照)

2020年11月5日、NASAの太陽圏観測機(SOHO)が写真に収めた太陽の近くで光線を放っている巨大な円柱状の物体。(www.nascom.nasa.gov;helioviewer.org)
フランシスコ教皇は市場資本主義を非難し、人間の連帯を要求する(抜粋)
フランシスコ教皇は新しい回勅「フラテッリ・トゥッティ(兄弟である皆さん)」で、コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)が市場資本主義の失敗を証明し、世界は対話と連帯を促進し、どのような犠牲を払ってでも戦争を拒絶するための新しいアプローチを必要としていることを説いている。
聖フランシスコの祝日に当たる2020年10月4日に発表されたこの文書は、世界経済の不正と惑星の破壊に関する教皇の法話はもちろんのこと、聖フランシスコの数多い教えからインスピレーションを引き出している。「閉じた世界の闇」に立ち向かうために、「フラテッリ・トゥッティ」は、こうした懸念を人々のより大きな連帯への呼びかけと結び付けている。
回勅「フラテッリ・トゥッティ(兄弟である皆さん)」からの抜粋
「私たちの共通の家、私たちの惑星に関心を持つ必要性について話すとき、私たちは人々の心にまだ存在するかもしれない普遍的な意識のあのきらめきと相互の思いやりに訴えます。あり余っている水を楽しんではいるが、より大きな人間の家族のために水を節約することを選択する人々は、自分自身や自分が属するグループを超えて見渡すことができる道徳的水準を達成しています。何と素晴らしく人間的なのでしょう。自分たちの国境を越えて生まれた人々も含め、すべての人々の権利を認めるならば、同じ姿勢が求められます」
・・・
「……私たちは今日、全員が一緒に救われるか、誰も救われないかのどちらかであるという認識を育む必要があります。地球の一部での貧困、退廃、苦しみは、地球全体に影響を与える問題の静かな温床です。もし私たちが特定の種の絶滅に悩まされているとすれば、世界の一部の地域では貧困やその他の構造的制限によって、個人や民族が潜在能力や美しさを発達させることができなくなっていることに、なおさら悩まされるはずです。結局のところ、これは私たち全員を貧しくするからです」
「人間の友愛」に関する文書の参考資料http://www.vatican.va/content/francesco/en/travels/2019/outside/documents/papa-francesco_20190204_documento-fratellanza-umana.html
本誌通信員より
グレアム・マクストンとバーニス・マクストン・リー共著
『ニワトリはアヒルの卵を産めない』
新型コロナウイルスはどのようにして気候危機を解決できるのか(抜粋)
フェリシティ・エリオットによる書評
気候活動家で経済学者のグレアム・マクストン氏と、シンガポールのジェーン・グッドオール研究所の元所長であるバーニス・マクストン・リー氏は、『私たちの未来をリセットする。ニワトリはアヒルの卵を産めない──新型コロナウイルスはどのようにして気候危機を解決できるのか』の著者である。
私たちの惑星を危惧するならば、そして、人類の未来──基本的に、私たちに長期的な未来はあるのか──を心配するならば、このタフで挑戦的な本を読んだとき、あなたは自分が現状の狂気に笑顔で頭を振っていることに気づくだろう。破壊を泣き悲しんだり憤慨したりし、最後に「絶好の危機」──新型コロナウイルスが提供する機会──を無駄にしないようにという著者の呼びかけに耳を傾けるよう促されるだろう。

Book cover by permission of
‘Changemakers Books’
この深くどこまでも献身的な二人に希望と楽観をもたらしたのは、まさにパンデミックが露呈しているあらゆることが提供した変化への大きな機会である。・・・
彼らは私たちを一緒に実用的な具体的解決策の活動を探求するよう導いていく。これは間違いなく行動への呼びかけであるが、私は科学的な表現に翻弄されたり圧倒されたりしたとは感じず、巧みに提示されている。
書名は、著者が──あらゆることに──すべての構造の根本的な変化を求めていることを明確に表している。というのは、健全で持続可能な新しい世界を創造するのに古い方法を適用することは全く不可能だからである。そのため、すでに崩壊しつつある制度がアヒルの卵を産むことは期待できない。広まっている規範や神話は、解決策を生み出したり、新しい方法を創造することのできない時代遅れで本質的に破壊的なモデルに私たちを縛りつけている。そして、ここで新型コロナウイルスの出番である。それは、──管理の誤り、リーダーシップの欠如、腐敗、貪欲、自己満足、無知など──あらゆる亀裂や多くの詐欺師をさらけ出しているからである。権力者と一般市民の違いは、多国籍企業、銀行、大きな既得権益は搾取し、故意かつ積極的に「破壊」してきたのに対し、「ジョー・オーディナリー(ありきたりのジョー)」はこれらの勢力に直面して無力であり、破壊を容認したり、おそらくは無視をした。パンデミックとロックダウンはまた、産業界と政府が無視し続けている現実への直面を余儀なくさせるはずである。有限なシステム内での無限の経済成長という考えは根本的に欠陥があり、自然界に毒性のある破壊的な影響を直接的に及ぼす。私たちは、現在の経済が生態系の荒廃を引き起こしており、環境破壊が私たちにコロナウイルスをもたらしたことを必ずや理解しなければならない。それは、原因結果とその中で私たちが果たした役割が単に形になったものである。・・・
幾つかの章で次のことについて述べている。将来のための青写真のレイアウト、チェンジメーカー(変化を起こす人)向けのマニュアル、変更可能な障害に関する警告、「私」文化ではなく、集団──社会──が私たちの優先事項にならなければならないという警告と注意喚起について。
私たちは個人として何ができるだろうか。著者は、便利なファクトシート(情報記載報告書)と──自分自身と他の人々の──考え方を変える方法の実際的な概要を提供している。そして、人々と一緒に、すべてのことを問題にし、再考し、生活のあらゆる面での新しい方法への必要とされる緊急移行を行う決心の必要性を思い起こさせている。あなたがその決定においてあなた自身を認めるならば、この本はあなたのためのものである。
『ニワトリはアヒルの卵を産めない── 新型コロナウイルスはどのようにして気候危機を解決できるのか(A Chicken Can’t Lay a Duck Egg ─How Covid-19 can solve the climate crisis)』、ジョン・ハント出版(John Hunt Publishing)、2020年10月30日、136ページ、ISBN:9781789047622。
キス・ザ・グラウンド──気候変動の解決策は私たちの足元にある(抜粋)
エリッサ・グラーフ
気候危機についての映画は、それが提示する圧倒的な課題に直面する観客を無力に感じさせることがよくある。対照的に、9月にNetflix(ネットフリックス)によって公開されたドキュメンタリー映画「キス・ザ・グラウンド‥大地が救う地球の未来」は、土壌中の炭素を封鎖する計り知れない可能性を示しているため、人々を鼓舞し希望に満ちたメッセージを共有している。この映画は、様々な作家、研究者、科学者へのインタビューを特集し、土壌の健康と再生農業の主要な原則を探求している。
気候変動とそれを回避する手段についての話し合いの多くは、地球の気温の危険な上昇を回避するために今後10年間で、地球規模の排出量と、これらを正味ゼロに減らすことが不可欠であることに焦点を当てている。しかし、私たちは、少なくとも排出量の削減と同じくらい重要な問題にも直面している。大気中にすでに存在する炭素をどのように除去するかという問題である。科学者たちは、これまでに提案された技術的な解決策の多くは、必要とされている大規模なスケールでは機能しないと警告している。
植物、樹木、放牧や農業の技術を使用して大気から炭素を回収し、土壌に貯蔵することで、生物封鎖は生態系を回復し、穀物生産高を増やし、また、地球規模で適用することで気候変動を改善させる可能性がある。 実際、気候災害を軽減するための生物封鎖の可能性は本当に巨大だ。9月にロデール研究所が作成した白書には、「農業と放牧の研究から得たデータは、世界的に達成された場合、現在の年間CO2排出量の100%以上を減少するという模範的な再生システムの力を示している」と述べられている。・・・
再生農業の実践には、土壌中の炭素を豊富に含む有機物を増やし、微生物の増殖を可能にすることによって、痩せた土壌を修復する可能性がある。これらには以下の事柄が含まれている。
● 輪作の多様化
● 被覆作物、緑肥、多年生植物の植え付け
● 作物残さの保持
● 堆肥など天然肥料の使用
● 高度に管理された放牧の採用、または作物
と家畜の統合
● 耕作の頻度と深さを減らす
● 合成化学物質の排除
こうすることで、植物の根はより深く成長し、土壌の水分保持と同様に栄養素の取り込みが改善され、作物の病虫害抵抗性がより高まる。
・・・
ノースダコタ州の牧場主であるゲイブ・ブラウン氏が最初に牧場で再生手法を導入したとき、有機物と雨水の摂取量が3倍になり、以前の5倍の頭数の牛を扱うことができるようになった。 彼は景観の劇的な変化に気づき、以前は借金をしていた事業が利益を上げ始めた。映画の中の説得力のあるシーンは、ブラウン氏が自身の緑豊かな農地と、従来の農業を行っている隣人農家の農地──その土地はブラウン氏の農地とは対照的に不毛に見える──との境界に立っているブラウン氏を紹介している場面である。
米国人の半数がマイトレーヤの優先事項を支持する(抜粋)
シェア・ギルモア
エール大学気候変動コミュニケーション・プログラム(YPCCC)は、気候変動に関連する問題に対する、人々の認識、姿勢、考えなどについて、定期的に全米で世論調査を行っている。2014年の調査では、個人の姿勢は、気候変動だけの知識を超えた個人的、社会的要因によって形成されていることがわかった。そのような要因の一つは、文化的世界観、あるいは価値観、つまり社会がどのように構成されるべきなのかに関する、また諸問題に取り組む際の政府の役割に関する価値観である。
YPCCCは、2種類の重要な文化的世界観を特定した。平等主義と個人主義である。より平等主義的世界観を持つ人々は、社会は、平等、社会的正義、市民参加型の民主主義、多様性を推進すべきであると信じており、一般的に気候変動のような環境問題により関心を持っている。その一方で、より個人主義的世界観を持つ人々は、社会は、個人の自由、自治、機会を推進すべきであると信じる傾向がより強くなる。彼らは環境危機にあまり関心を示さず、企業がさらに大きな自由を得ることに賛同し、しばしば政府の介入や環境規制に反対する。

マイトレーヤの公の訴えかけがなくても、多くの知的な人々は
明らかに、彼が推奨する方針に沿ってすでに考えている。
二つの質問に対する米国民の反応は、マイトレーヤの優先順位に関して、非常に興味深いものである(そもそも質問がなされたという事実さえもが)。
第一の質問では、リベラルな民主党支持者たちは、すべての基本的要求(食料、住居、医療、教育)は、理想的には政府によって、すべての人に保証されるべきであると回答する割合が多くなっている。2020年の調査では、登録されている回答者の約半数(47%)が、これに賛同している。その内訳は、リベラルな民主党支持者の約83%、穏健・保守的民主党支持者の約53%が賛同している。リベラル・穏健派共和党支持者ではその32%、保守派共和党支持者では11%しか賛成していない。2008年から2020年までの間に、リベラルな民主党支持者たちの賛同は急速に増加しており、一方で共和党支持者の中での支持は減少している。
2番目の質問では、富がより平等に各国に分配されれば、世界はより平和になるだろうと答える民主党支持者が増加している。2020年の調査では、約半数の回答者(46%)がこの内容に合意し、内訳はリベラルな民主党支持者の72%、穏健・保守派の民主党支持者の66%が賛成している。その一方で、リベラルな穏健共和党支持者では31%、保守派の共和党支持者では16%しか支持していない。第一問と同様に、民主党支持者内で、この考え方への支持は、2008年から2020年にかけて急速に増加し、共和党支持者の中では、減少もしくは一定である。
この調査から得られた結論は、考え方の分極化である。しかし、マイトレーヤの公の訴えかけがなくとも、多くの知的な人々は明らかに、彼の推奨する方針に沿ってすでに考えている。
(climatecommunication.yale.edu)
シェア・インターナショナル2020年11月号
印刷版全内容
- 覚者より 大計画は進む
- 今月号の内容概説
- 視点 「重大なニュース」: 47の信仰団体が化石燃料投資から撤退する
ジュリア・コンリー - 『ニワトリはアヒルの卵を産めない』新型コロナウイルスはどのように気候危機を解決できるのか
グレアム・マクストンとバーニス・マクストン・リー共著
フェリシティ・エリオットによる書評 - フランシスコ教皇は市場資本主義を非難し、人間の連帯を要求する
グラハム・ピーブルズ - 思いやりと楽観主義 ダライ・ラマ法王の思慮に富む言葉
- 米国人の半数がマイトレーヤの優先事項を支持する シェア・ギルモア
- 「最初の大きな一歩は、ただ目を閉じて想像することでした」
ポーリン・ウェルチによる映画批評 - キス・ザ・グラウンド―気候変動の解決策は私たちの足元にある エリッサ・グラーフ
- 時代の徴 世界の至るところに光の徴
- 非暴力コミュニケーション
ドゥニャ・ミュラーによるマーシャル・ローゼンバーグ博士へのインタビュー - 霊性――第一部 ベンジャミン・クレーム
- 弟子の属性 アート・ユリアーンス
- バンクローリング・エクスティンクション:生物多様性の破壊に手を貸す銀行
ケニー・スタンシル - 編集長への手紙 真の変化を生む力 他
- 読者質問欄 回答 ベンジャミン・クレーム
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