シェア・インターナショナル 2021年4月号

シェア・インターナショナル誌のオンライン版では、印刷版からの抜粋を紹介しています。各オンライン版には、ベンジャミン・クレームの師による完全な記事が含まれています。幅広いトピックをカバーする他の記事のほとんどは抜粋です。オンライン版には通常、Q&A、読者からの手紙、マイトレーヤ臨在の徴の写真も含まれています。

印刷版の目次は、ページの下部をご覧ください。

シェア・インターナショナル誌の創刊以来、ベンジャミン・クレームの師は35年近くにわたって毎月記事を提供してきました。これらは書かれた時点だけでなく、世界情勢に応じて適切な時に掲載されることを意図していました。

contents

――覚者より 同胞愛 (ブラザーフッド)

シェア・インターナショナル誌の創刊以来、ベンジャミン・クレームの師である覚者はほとんど40年近くにわたって、毎月記事を提供してこられた。クレームの師は2010年に、「今人類が行う決断が、大体において、この惑星の未来のすべてを決定するだろう」と書いた。そうした決断は今、かつてないほど差し迫っているが、それは同胞愛を受け入れることに基づかなければならない。同胞愛を宝としなさい、同胞愛を大事にしなさい、と私たちは助言されている。同胞愛は障壁を溶かし、変容をもたらす。同胞愛は神聖なものだからである。

──覚者より
ベンジャミン・クレーム筆記

 疑いもなく、今は人類にとって非常に重要な時である。今人類が行う決断が、大体において、この惑星の未来のすべてを決定するだろう。将来の世代は、今日の人間の非常に多くが世界の病に対する懸念をあまりにもあっさりと振り払うことを不思議に思うだろう──莫大な余剰食糧に恵まれた世界の中で、それを欠くために何千万の人々が飢え、そして死ぬ状況、さらに多くの人間が絶えずひもじく、栄養失調である状況。多くの人々はこれが本当であることを知っているのだが、それについて何もしない。どうしてこれが可能なのか? 彼らの行動を妨げるのは何か?
 この非行動の土台にあるのは自己満足感である。それが世界にある悪のすべての根源である。自己満足感は、人々を引き離し、『同胞愛』の開花を阻む分離という罪悪の中にその根を持つ。
 人間はもうすぐこの真理に気づくか、あるいは死滅しなければならない。『同胞愛』はアイディア(観念)であり、そしてわれわれの惑星のいのちの事実である。すべての行動の基盤として同胞愛のリアリティ(現実)なしには、人間のすべての努力は無に帰するだろう。
 人間が同胞愛を人生の本質的な特質として受け入れるとき、われわれの日常生活のあらゆる面がより良い方向に変わるだろう。同胞愛が顕現されるたびに、人間同士の間につくられ、誤解と不信につながる障壁が溶かされる。同胞愛は喪失や不幸の痛みを和らげる。それは育て、はぐくまれるべき貴重な贈物である。同胞愛を宝としなさい。それは心(ハート)の中の最もすぐれた部屋への入り口の鍵である。あなた方の兄たちであるわたしたちは、同胞愛をわたしたちの最高の特質として大事にし、そしてそのリアリティを維持し、強化することに努める。人間もまた同胞愛の有益な真理を把握するとき、その特性が表す美を認識するだろう。そして神聖そのものの美の何がしかをつかみ取るだろう。人間が神聖であると同様に同胞愛は神聖である。それ以外ではあり得ない。
 人間はまさに深淵なる真理の体験、彼ら自身の本質的『存在(Being)』についての認識を体験しようとしている。大多数の人々にとって、それは遠い過去の中に長い間失われていた(心の)状態に生まれ変わるような体験としてやって来るだろう。各人が、それぞれの方法で、あがなわれ、新たに再生し、浄化され、清められるのを感じるだろう。『同胞愛』の歓びと美が、彼らの『存在』を震わせるだろう。そして各人が己自身をあの美と愛の一部として見るだろう。
(シェア・インターナショナル誌、2010年6月号)

読者質問欄

世界中のあらゆる講演において、そして生涯のほぼ毎日、ベンジャミン・クレームは広大な範囲に及ぶ大量の質問を受けました。この大量の記録から、過去の年月にベンジャミン・クレームと彼の師である覚者によって提供された回答を掲載したいと思います。そのいずれもこれまでシェア・インターナショナル誌に未掲載のものです。

進化――その進行の仕方と覚者方の役割

Q あなたは進化について話されますが、進化の原動力は何ですか。その仕組みはどのようなものですか。

A 覚者方はこの惑星に流入するすべての霊的エネルギーの管理者です。そして彼らの仕事は、これらのエネルギーのある程度を、進化の大計画が進むような形で世界に放射することです。人類が行うすべてのことはエネルギーに対する反応です。概して私たちはそのことを知りませんが、起こっているのはそういうことです。もしエネルギーがそこになければ、何も起こりません。水差しを持ち上げるだけでもエネルギーが必要です。私たちが行うすべてのことは何らかのエネルギーを必要とします。私たちは通常、エネルギーを物理的現象と考えます。私たちはそれを、走るのに十分なエネルギーというように物質的観点で考えます。しかし、私はそのような種類のエネルギーについて話しているのではありません。これは霊的エネルギーのことです。そしてその霊的エネルギーは、特定の偉大なアイディアを具象化します──愛、和合、啓発(イルミネーション)、正義、正しい関係、意志、目的といったアイディアです。それらはすべて、特定のエネルギーを体現するアイディアであり、それが人類の理想となります。そして私たちがその理想を実行するとき、それらのエネルギーを使って文化や文明をつくります。それが文化や文明の発展のし方なのです。理想はもともと、エネルギーを体現するアイディアの反映です。
 覚者方は、彼らがご覧になる大計画の特定の様相を実現するためには、私たちが反応するならば特定の結果を生み出すであろう特定のエネルギーを放出することが必要であることをご存じです。彼らはその専門家であり、そのため結果的に、私たちは通常、反応します。おそらく完全にではありませんが、ある程度は。

Q その具体例を挙げていただけますか。

A 突然、ベルリンの壁が崩壊しました。なぜでしょうか。ドイツの民衆が「自由を! 自由を!」「正義を!」と求めるこのエネルギーの圧力に目覚め、壁を打ち壊したからです。その前日には起こりませんでした。その出来事が起こるためには、あのエネルギーの強度とそれに反応する十分な数の人々が存在するまで待たなければなりませんでした。世界において、すべてはそのようにして起こります。それらのエネルギーは特定の集中と強度に達し、否応なしに人類がそれに反応します──全員ではなく、進歩した人はより多く、敏感でない人はより少ない程度ですが。そしてある種の臨界点に達したとき、出来事が起こります。人類が行動し、政府が行動します。これらの様々な物事すべてがエネルギーを必要とします。
 覚者方はいつも人類を方向づけ、導くことを求めていますが、私たちには自由意志があり、彼らは常にその自由意志を尊重されます。彼らは決して私たちの自由意志を侵そうとされません。彼らは人類に何事も強制されません。ですから、私たちは多くの破壊的なことをしてしまいます。覚者方はある物事をしないように導こうとされます──例えば、戦争を防ぐこと、戦争が考えられないようにすることです。しかし、もし人類が戦争を考え、破壊的な傾向を持つなら、覚者方が防ごうと働かれるにもかかわらず、人類は戦争をします。私たち人類は、背後に覚者方が立たれ、平和で建設的な進化の道に私たちを保つためにあらゆることを行っているにもかかわらず、戦争を行います。覚者方は道を知っておられます。彼らは進化を成し遂げました。彼らは道を知っていますが、道を教えることができるだけです。私たちの代わりに行うことはできないのです。
(ベンジャミン・クレームへのインタビュー、1997年、ロンドン)

編集長への手紙

シェア・インターナショナル誌には、未掲載手紙の保留分が多数あり、それらはベンジャミン・クレームと彼の師によって、覚者方あるいは「代弁者」との本物の出会いであると確認されたものである。その他の掲載された手紙は新しいものであり、覚者が関わっていたかどうかを確認すること、もしくは示唆することもできないが、読者の考慮のために、これらの手紙は提供されている。

宙を歩くように

編集長殿
 英国のペナイン山脈地方に、ヘブデン・ブリッジという名の小さな町があります。何年もの間、私は『出現季報』をそこのたくさんの郵便箱に配布してきました。
 町の真ん中を一本の川が流れていて、今年(2021年)の1月の日曜日の寒い朝に、私たちは川岸の歩道を歩いて、寂れ果てた町に向かっていました。
 突然、背が高く若い男性が橋へと続く鉄製の手すりに飛び乗って、(川まで9メートルもの高さにもかかわらず)まるで宙を歩くように、約7.5センチ幅の鉄の棒の上を『綱渡り』さながら歩き出しました。それから彼は橋の欄干へと飛び乗り、振り返って私たちを見ました。
 私は心の中で「イエス覚者」と思っていましたが、その人は微笑むことも手を振ることもなく、現在の状況において、ただ優しい眼差しが多くを語っていました。
 シェア・インターナショナル誌に、とてもたくさんの励みになる体験を掲載してくださったことに感謝します。この困難な時期に非常に必要とされています。
光と愛を込めて。
リンダ・ロッジ
英国、ヨークシャー州(2021年2月25日)

あふれる喜び

編集長殿
 数年前、ロサンゼルスで講演をした直後に、私は以下の体験をしました。講演後、いつもどおりに人々が列に並んで私に質問をしてくるか、あるいは体験を話しにきて、例外はありませんでした。突然小柄で黒っぽい髪の男性が、私と話していた他の人々の前に進み出てきました。彼はとても幸せそうな人でした。私たちは簡単な会話を交わし、私は彼の名前を尋ねました。彼から「教えますけど、私の後に繰り返さないといけませんよ」と言われました。私は「オーケー」と答えました。彼が「ユー(U)」と言い、私が「ユー(U)」と繰り返しました。彼が「アール(R)」と言い、私が「アール(R)」と言いました。彼が「ラブ(Love)」と言い、私が「ラブ、ユーアーラブ(あなたは愛)」と言いました。彼は満面の笑みでにっこりと笑いかけ、ものすごくうれしそうに「あなたもね!」と言って、両腕で私を抱え、力強いハグをしてくれたのです。私はすぐに説明不可能な、あふれかえるような喜びに満たされました。
 彼が飲み物を取りに、冷水器の方へ数歩歩いていったのを見て、「水瓶を運ぶ者(水瓶座)」が思い浮かびました。それで私がベンジャミン・クレーム氏に手紙を書くと、その男性はファミリアを使ったマイトレーヤであったことが確認されました。純粋な喜びの何と素晴らしい体験だったことでしょう! そしてもちろん教訓と思われるのは、人種、性別や性的嗜好、信念体系や経済状態、教育水準、出身国や性格タイプに関係なく、私たちは皆……「愛」だということです。
ディック・ラーソン
米国

天使のようなメッセンジャー

編集長殿
私は伝導瞑想を6年近く続けてきて(手紙は 2004年11月に書かれた)、必要とする人々にレイキ治療も行いました。 けれども私が正しく行っているかどうか、本当はわかっていなかったのです。 ある日考えたのは、私が治療を行えているかどうか知らせる徴だけでもあれば、どんなに良いだろうかということでした。
どのような徴かを特定しないで、徴をお願いするのはよくないとわかっていました(!)。 それで 天使の形になる雲のかたまりというアイディアを 思い付き、それならおそらく現すのに難し過ぎることもなく、単なる想像ではないと十分に区別で きるだろうと思いました。 窓から外を見ていると、いくつか小さな雲がフワフワとしているのが見えても、天使ではありませんでした! 一度か二度試しても成果がなかったので、この考えを頭から払いのけてしまいました。 徴があろうとなかろうと、と もかく全力を尽くし、何かに役立っていることを願って瞑想は続けていくのですから、実際には何も問題はないのです。
2日後か3日後 (2004年9月15日)、 その日は気持ちよく晴れた日で、「絶対に太陽の下に出なくては ならない」と思いました。 外に出て草の上に座り、 しばらくしてふと空を見上げたのです。 すると私の頭上に大きな天使が見えて、立派なアーチ形の羽根の先が足元まで届いていました。 頭は北側で足は南側でした。 ゆっくりと散って形が無くなるまで 5分から10分はそこに留まっていました。
どなたが、あるいは何が、私のために天使を現してくださったのか、是非とも教えていただきたく思います。 私の言葉を聞き、徴を与えてくださったことにお礼を申し上げます。
ジューン・カーライル・クラーク
英国、ドーセット
【ベンジャミン・クレームの師は、その『天使』がイエス覚者によって現されたことを確認した】

呼びかけ

私たちの情報をウェブサイトだけで受け取る人が増え、シェア・インターナショナル誌を購読するためのわずかな費用を惜しむ人が増えていることに気づきました。

誰もがインターネットを使えるわけではないし、そうであるわけでもありません。つまり、印刷された雑誌が必要です。もちろん、それにはボランティアによる多くの作業と、制作・配布のための多くの資金が必要となります。ハイアラキーはこの仕事のためにお金を出しているという考え方があるかもしれませんが、そうではありません。シェア・インターナショナルの購読料は、私たちの活動を維持し、一般の人々に届けるために不可欠なものです。購読料は可能な限り低く抑えられており、雑誌は広告による補助を受けておらず、印刷代や郵送料は常に値上がりしています。

インターネット上の情報を読む読まないにかかわらず、この活動を真剣に信じるすべての人が、この雑誌を支援したいと思うことは、きっと誰もが認めることでしょう。

ご支援ありがとうございました。

作用と反作用の法則――選集

The Law of Action and Reaction ── a compilation

 この引用文の選集は、マイトレーヤのメッセージ(『いのちの水を運ぶ者』と『いのちの法則』)、ベンジャミン・クレームの師の言葉(『覚者は語る』第Ⅰ巻と第Ⅱ巻)、およびベンジャミン・クレームの著書から抜粋したものである。

 根本的に、彼が言わんとすることをわれわれはすでに知っているし、真実として受け入れています──すなわち、正しい人間関係が人生の根本であるということ。一瞬一秒、われわれは、己の理念と行為によって、原因をつくり出しており、その結果が、良きにつけ悪しきにつけ、現実のわれわれの人生なのです。これが原因結果の大法則です。この法則と再生誕の法則との関係を理解するならば、すべての関係が害をなさないものでなければならないことを悟るでしょう。正しい関係ということの正しさ、必然性、その「常識的な当たり前さ」を納得するようになるでしょう。
(『世界教師と覚者方の降臨』)

 人間がキリストを直接見るとき、彼らは速やかに人生とその問題に対して新しい態度を採択するだろう。様々な問題は人間がつくり出したものであり、人間自身の内に存在し、無慈悲な神のせいでも、心ない偶然の結果でもないことを理解するだろう。新しい責任感が、すべての者の向上のために行動する衝動を人々に授けるだろう。協力と思いやりと信頼が間もなく現在の利己的関心に取って代わるだろう。そうして人間の進化における新しい局面が開かれるだろう。
(『覚者は語る(Ⅰ)』─彼の名は愛なり─より)

 わたしが、現在非常に必要とするのは、わたしのビジョンを分かち合う者たちが、行動する責任を引き受けてくれることである。人間の窮乏を知り、そのビジョンを見ていながら、時の緊迫性を知らない者たちが世界に大勢いる。兄弟たちの窮乏を知り、非常に多くの者たちの苦しみに同情の思いを持ち、そしてそれらすべてを変える意志を持つ者たちに、わたしは頼る。わたしが召集する者たちの仲間に、あなたがたも加わるように。そして共に新しい、より良い世界を招じ入れることができるように。
(『いのちの水を運ぶ者』第46信より)

 もし先進諸国に住む私たちが、至るところのすべての人々が穏当な文化的生活を送るために必要な犠牲を払うことを嫌がるならば、私たちは自分自身を破壊することになるでしょう。それは罰ではなく、原因と結果の法則の直接的な成り行きです。もし私たちが正しいことを行うなら、世界を変革するでしょう。もし現在のままであり続け、変化の必要性を理解せず、受け入れないなら、これらの変革は起こらないでしょう。マイトレーヤは言います。「何事もひとりでに起こらないのである。人間は行動し、自分の意志を実行しなければならない」(メッセージ第31信)と。したがって、私たち次第です。すべてが私たち次第なのです。
(『マイトレーヤの使命 第Ⅲ巻』)

 非常に実際的な意味において、世界は村落の大きさに縮小したのである。そして村落の生活のように、一人の行動はすべての者の利害に影響する。もはやどの国も、脇によけて、己の過った行為の結果から免れようとすることはできない。ますます多くの国家が彼らの相互依存性と責任に目覚めつつある。この事実は世界にとって良い前兆である。
(『覚者は語る(Ⅰ)』─責任に目覚めて─より)

時代の徴

ここに掲載されている「時代の徴」は、過去にベンジャミン・クレームによって確認されたものであるか、または確認されたものに似たもの、あるいはそれ自体が物語っている「徴」として掲載した。それらは多くの人に目撃され、彼らの希望と信の証しとなっている。判断は読者のみなさまにお任せしたい。

世界規模の光の現象

ドイツ、ハノーヴァーでの光の模様。ハノーヴァー在住、バージット・グニアさん提供。
NASA──2021年2月22日、NASAの太陽調査プロジェクト(STEREO)は、太陽の近くでエネルギーのビームを放つ巨大な構造体を撮影した。
(helioviewer.org)
イギリス──2020年11月15日、ドーセット州ウェイマスの住人が、暗く、
不吉に見える空の写真を数枚撮った。のちに見返すと、
そのうちの1枚に、低空を飛ぶ明るい三角形の飛行船が写っていた。
(mufon.com)
詳細

ラクダール・ブラヒミ氏が連帯の精神を呼びかける

ラクダール・ブラヒミ氏は、パンデミックから持続的に回復するために、そして戦争や紛争、気候変動や核拡散といった人類の生存に関わる脅威に立ち向かうために、協力して行動することの重要性を考察している。

2020年の始まりは、約250万人の命を奪った新型コロナウイルス・パンデミックとの闘いが、新たな段階を迎えたことを示している。多くの国で、国民に対するワクチン接種が始まったことから、私たちは皆、この「失われた1年」が間もなく不愉快な思い出となることを望んでいる。しかしながら、これは、パンデミックからの世界的な回復が公正と平等と正義に基づいて行われることでしか実現しないだろう。
過去12カ月間に、とりわけ、脆弱な国家や紛争地域においてすでに多くの困難に苦しんでいる人々にとって、新型コロナウイルスがいかに既存の不平等を悪化させたかを私たちは見てきた。
世界が「ワクチン・ナショナリズム」や、特権階級と裕福な人々に有利な他の短期的な手段に屈しないことが現在極めて重要である──国や地域社会の内外で。過去1年間に学んだことがあるとすれば、パンデミックの中では、私たちすべてが安全になるまで、誰も安全でないということだろう。
貧困、不平等、不正義──人間社会におけるこれら三つの病は、おそらくこのパンデミックの直接的な要因ではなかったが、明らかに流行の拡大を助長した。私の個人的な経験では、それらは世界中で拡大し増加する対立の原因でもあり結果でもある。「ファインディング・ヒューマニティ(人間性を見いだす)」というポッドキャスト番組の最新のエピソードの中で、これらの問題について、エルダーズの議長であるメアリー・ロビンソン氏と議論することができてうれしく思った。
私の出身地である地域──「UNスピーク」では中東と北アフリカと呼ばれる地域──は、あらゆる種類の問題に悩まされており、概して、こうした問題にうまく対処できていない。2021年には、「アラブの春」から10周年を迎える。2010年12月、チュニジアでそれが始まったとき、大きな希望をもたらし、1カ月もかからずに大勝利したように見えた。現在、多くの人々にとって、これはより大きな自由を求める平和的な抗議者たちの勇気と、初期の楽観主義が深い疑いや絶望にさえ置き換わっていったことを思い出すほろ苦い瞬間である。
その地域は外部からの支援を受けているが、そのことに関して私たちは感謝しなければならない。しかしながら、国家や民衆は、常に正しい種類の支援を受けているだろうか。どのような外部の組織からであったとしても、紛争状態もしくは和平プロセスの中で提供できる最も良い支援は、その状況の中心にいる人々が、自分の国の状況を改善するだろうと考えていることを実行するよう励ますことである。
外部の組織・団体の偏狭で自己中心的な目的を追求することは、最終的には、それらの偏狭な目標を達成できないだけでなく、国内で対立の中で苦しんでいる人々の利益とならず、むしろ害を与えるだろう。特にリビア、レバノン、シリア、イラク、イエメン、アフガニスタンなどで見られるように、外部の支援者たちがお互いに協力するのではなく、対立して活動する場合には。
最終的に、問題を抱えた国家の利益が最優先され、すべての外部の支援者たちが競争するよりもお互いに協力したとき、すべての側に利益がより良く提供される。国外からの介入が、彼らが支援していると主張する人々の本当の利益のために行動するよりも、むしろ実際には高額な代理戦争の戦場として、それらの国々を利用しようとする多くの外部の組織を呼び込む場合は、それは決して支援ではなく、実際に紛争地域の和平再構築の努力を妨害することになる。
これは、エルダーズが国連の原理を強く信じ続けている理由であり、新たな公正で正しい多国間システムへと戻るように何度も呼びかけている理由である。たとえ現実が、しばしばこれらの理想をはるかに下回ったとしても。
連帯と相互尊重の精神をもって協力することによってのみ、平和を構築し、パンデミックから持続的に回復し、人類が直面している気候変動や核拡散といった、生存に関わる他の大きな問題に対処することが期待できるのである。
(エルダーズ、プレスリリース)

推薦図書
『生物多様性の経済学: ダスグプタ・レビュー』 (2021年)


フィリス・クレーム

「この包括的かつ極めて重要な報告書は、経済学と生態学を対面させることで自然界を救い、それによって自分自身を救うことができる方法を提示している」 (デイビッド・アッテンボローによる、ダスグプタ・レビュー要約版の前書き)

 これは、『ダスグプタ・レビュー』からの世界のリーダーたちやコミュニティーへの緊急メッセージである。それは、2019年に英国財務大臣から依頼され、ケンブリッジ大学のパーサ・ダスグプタ名誉教授が率いる「生物多様性と経済成長の関係性に関する包括的なグローバル・レビュー」として発表された。その概要は、「生物多様性の経済的利益を世界的に査定すること、経済的コストと生物多様性の損失のリスクを査定すること、生物多様性を高めると同時に、経済的繁栄をもたらすことができる一連の行動を特定することである」。このレビューは、気候の緊急事態に関する記事と並んで、同様に重要である。

 この報告書は、経済学と生態学の関係に関する徹底的かつ広範囲にわたる調査である。主に経済学に焦点を当てているが、人類と自然との関係全体に関する深い理解も示している。「経済的な可能性に関する現代の概念は、私たちが自然に組み込まれていることを認めるのを怠った。私たちはその外部にいるのではない」
 レビューが説明しているように、経済学が、物質的な製品やサービスと同じように資本資産として、自然を扱うならば、私たちは自然界に対して異なるアプローチをすることになるだろう。持続可能な経済成長は、国内総生産とは異なる基準を必要とする。そして、この変化は、この最も重要であるが、時に「目に見えない」無言の資産の崩壊を防ぐためには不可欠である。
 1950年代以降、人類は自然を壊滅的なまでに破壊した──その過程で経済的により豊かになった。しかし、これはもはや持続可能ではない。レビューは、生物多様性の喪失が自然の生産性、回復力、適応性を密かに傷つけていると主張する。これが次に、経済、生計、福祉を危険にさらしており、「私たちの要求は、私たちすべてが依存している商品やサービスを提供する自然の能力をはるかに超えている。世界の現在の生活水準を維持するには、1.6個の地球が必要である。……人類は今、選択に直面している。自然に対する私たちの要求が、持続可能な基準から見て要求を満たす自然の能力を遥かに超える道を歩み続けることができる。あるいは、自然との関わりが持続可能であるだけでなく、私たちの集団的な幸福と子孫の幸福も高める別の道を辿ることもできる」。ダスグプタ氏はまた、私たちの自然との有害な関係がパンデミックを引き起こすことも指摘している。
 推奨することには次のものが含まれる。価格と行動規範を変える技術革新と政策を通して、食品とエネルギー・システムを持続可能なものにする。コミュニティー・ベースの家族計画を提供するプログラムに投資する。生物多様性の損失に対処するために、自然に基づいた解決策への大規模かつ広範な投資を実施する。自然をその経済的価値とは別に、本質的に大切にされるべき「神聖な」ものと呼ぶ興味深い節もある。そこでの訴えは、多くの人にとってパンデミック・ロックダウン中に前面に出てきた全く異なる種類の価値について言及している。その文脈において、レビューは、子供たちに自然への理解と感謝をもたらす教育の重要性を強調している。
 様々な困難があり、さらに、頑として妥協しようとしない勢力があるにもかかわらず、報告書は悲観的ではない。「レビューにまとめられた世界中のサクセス・ストーリーは、何が可能であるかを示しているだけではなく、生物圏への私たちの要求を非常に増大させ、破損的にし、生物圏の歴史に比べて非常に急速なものにしてきた創意工夫の才──生来の能力と言う人もいる──を、おそらくちょうど同じくらい短時間に変革をもたらすために再動員することもできる。時間は私たちの味方ではないが、私たちが個人的にも集団的にも道を変えるという意識的な決定を下すのに遅すぎることはない」
 解決は可能であるが、それらは、行動する──しかも即座に行動する──個人、政府、国際機関の意志次第である。根本的に、より持続可能な道へと私たちを導くために私たちは経済的成功の尺度を変えなければならない。「自然は私たちの家である。優れた経済学は、私たちが自然をより良く管理することを要求する。私たちの経済は、自然の外ではなく、自然の中に組み込まれている」
 レビューは次のように結論づけている。「欠陥は経済学にあるのではなく、それを実践するために私たちが選んだ道にある。変革は可能である──私たちと私たちの子孫にはこの上ない価値がある」と。

* ダスグプタ氏自身が「読みやすい」ものではないと認める100ページの要約版もあるが、特に前書きと序文は一読する価値がある。一般読者のために──そして強く薦めるが──10の「ヘッドライン・メッセージ」がある。世界中の専門家からの好意的な反応を印象的に並べた「ダスグプタ・レビュー」(gov.uk)を参照。

重要な時代における弟子の責任—第二部


アンネ・マリエ・クヴェルネヴィック

覚者方は今も弟子と人類に協力の術を教えるよう努めている。「人間が協力の術を学ぶことがわたしたちの真剣な願いである。この目標を目指して、わたしたちはメントール(助言者)として働き、模範を通して教えよう。協力は非常に解放的なものなのに、人間がその歓びを学ぶのにあまりにも遅れたのは本当に驚くべきことではないか」*(2)

ベンジャミン・クレームの覚者は、協力が人類にとって前進する唯一の方法であると述べた。「協力によってのみ、人類は生き延びられるだろうし、協力によってのみ、新しい文明が築かれるだろう。協力によってのみ、人類は自らの神性の内的真理を知り、それを具現することができる」*(3)

新型コロナウイルスのパンデミックが人類にとって、特に世界のリーダーたちにとって、人類の一体性を認識し、私たちの重大な問題を解決する方法は分かち合いと正義によるものであると認識することが期待される。世界の弟子たちが、──彼らが受けている──覚者方の支援を通して、協力と結束の術の模範を(胚珠的なモデルとして)示すことで人類に教えることも期待されている。

ベンジャミン・クレームの覚者は次のように述べている。「人は競争という毒物から自分たち自身を解き放たなければならない。それがグラマーであることに気づかなければならない。実際にそうなのであるから。そしてすべての人間の一体性を悟り、『全体的な善』のために協力を喜んで抱きしめなければならない。協力と正義(公正さ)のみが人間を、彼ら自身がつくり出す大惨事から救うだろう。協力と正義のみが彼らの未来を保証するだろう。

……長いあいだ続いてきた問題がいとも簡単に解決されるのに驚嘆するだろう。不可能だったことが最も軽いタッチで道を譲るだろう。そして協力を通してのみ、人間は生きることの本当の術を学ぶだろう」*(2)

ベンジャミン・クレームは、弟子の責任を強調する。「国家の魂の様相は、その国の弟子たちやイニシエートたちを通してのみ示顕することができます。なぜなら彼らがその国の魂の様相に表現を与える人々ですから。……世界的規模の協力についてのアイディアを、教えを、鼓舞させる想念を前面に押し出していくのはイニシエートと弟子たちにかかっています」….

*(2) ベンジャミン・クレーム『覚者は語る』ー協力の術ー
(シェア・インターナショナル誌2000年9月号)

*(3) ベンジャミン・クレーム『覚者は語る』ー協力ー
(シェア・インターナショナル誌1984年12月号)


シェア・インターナショナル2023年1月号
印刷版全内容

  • 覚者より 同胞愛 (ブラザーフッド)
    ベンジャミン・クレーム筆記
  • 視点 感染予防の鍵:自然との「破綻した関係」を修復する 
    アンドレア・ゲルマノス
  • 今月号の内容概説
  • ラテンアメリカ系のティーンエイジャーが石油会社を提訴し、勝訴する
  • 推薦図書 『生物多様性の経済学: ダスグプタ・レビュー』 (2021年) 
    フィリス・クレーム
  • 「自然と和解する」人類のなすべき行動リスト
    スティーブン・リーヒー
  • 重要な時代における弟子の責任—第二部
    アンネ・マリエ・クヴェルネヴィック
  • フランシスコ教皇がイラクを訪問「現代宗教史上の画期的な瞬間」
  • ラクダール・ブラヒミ氏が連帯の精神を呼びかける
  • 「命を救うことは決して犯罪ではない」
  • 援助団体が難民救助活動をめぐる告発を拒絶する
    アンドレア・ゲルマノス
  • 時代の徴 世界規模の光の現象
  • マネーロンダリング:世界のオフショア金融システムの暗黒面
    タリフ・ディーン
  • 作用と反作用の法則―選集
    The Law of Action and Reaction — a compilation
  • 弟子の属性
    アート・ユリアーンス
  • コロナ後の復興における南南協力の役割とは何か
    マッテオ・マルキーシオ
  • 編集長への手紙 宙を歩くように 他
  • 読者質問欄 回答 ベンジャミン・クレーム

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