シェア・インターナショナル 2020年4月号

シェア・インターナショナル誌のオンライン版では、印刷版からの抜粋を紹介しています。各オンライン版には、ベンジャミン・クレームの師による完全な記事が含まれています。幅広いトピックをカバーする他の記事のほとんどは抜粋です。オンライン版には通常、Q&A、読者からの手紙、マイトレーヤ臨在の徴の写真も含まれています。

印刷版の目次は、ページの下部をご覧ください。

シェア・インターナショナル誌の創刊以来、ベンジャミン・クレームの師は、執筆された時だけでなく、世界情勢に応じて適切な時に掲載される記事を提供してきました。知恵の覚者方によって書かれた記事は、常に適切で時代を超越しています。以下の記事は1983年に書かれたもので、地球上のすべての生命の相互依存と、マイトレーヤと覚者方の助けを借りて公正な未来を創造するために、人類が集団として、また個人として果たすことのできる特別な役割を強調するためにこの記事が選ばれました。

contents

未来は招く――覚者より 

わたしは折にふれて、分かち合いの精神を培う必要性について語ってきた──それによって世界資源のより平等な分配が可能となる。これは緊張の減少と計り知れない人間の苦難の減少につながるのである。それはまた、先進国の経済と生活に活力をもたらす。惑星の生命の血液は循環しなければならない。貧困な国々もまた、生きる権利と適度な生活水準を楽しむ権利を持つことを認識することによってのみ、富める国々の沈滞した経済は活気づくのである。分かち合いのみがこれをなす。

世界はひとつであること、人類は有機体であり、その福利はそれぞれの部分すべての健康にかかっていること、危機と病の兆しを無視することはもはや可能でもなく賢明なことでもないこと、これらのことを人間に示す証拠は日ごとに増えている。現在、多くの者がこれに気づき、正義を呼びかけているが、目覚めた人類の叫びのみが、大国を現在の貪欲な姿勢から転じさせるに足るものであろう。

人間は分かち合うか、あるいは死滅しなければならないことを、間もなく世界は確実に知るだろう。この真理をすべての人間にわからせるために、マイトレーヤは一刻も浪費されないだろう。世界はすべての者に、金持ちと貧乏人、力ある者と奪われた者、白人と有色人種、すべてに属することを、マイトレーヤは示されるだろう。今日、人類が直面する問題を解決するために一致協力した行動が必要なことを明確にし、その解決への道を指し示されるだろう。すべての人間に変化の必要を受け入れることを呼びかけ、至るところにいる人間の正義への願いを活気づけ、彼らの意志を集中させるだろう。このようにして、マイトレーヤは、より良い形態の確立を求めるすべての者を団結させ、それを通して人間の神性が表されるだろう。そしてその民衆の中から、これまで地上で聞かれたことのないような叫びが湧き上がるだろう──正義と真理、自由と平和を求める叫びである。

そうすると、指導者たちは応えるだろう、そしてこの世界は勢いを増して変容していくだろう。そのようになるだろう。そのようにして、マイトレーヤは分かち合いと愛に基づく新しい文明の基礎を築くだろう。

あなた方の生活に入りつつあるこの新しいリズムを感じることができないか。人間を行動へと活気づける新しい衝動を、誰が無視できようか。すべてがつくり直されるだろう。そして間もなく暗闇は照らし出す光に道を譲るだろう。

時の要求に応えることのできる者はすべて働く場を見いだすだろう。これを「奉仕の法則」が保証する。奉仕することを願う者は誰も仕事や目的を欠くことを恐れる必要はない。経験豊かな手による指導が喜んで提供されることを信じなさい。わたしたちは、あなた方がこの世界を復興させるのを助け、あなた方の傍らで兄弟として働き、過去の残骸を取り除く。

間もなく世界は、大きな変化が起こっていることに気づき、新しい時代が始まったことを知るだろう。誰も未来を恐れる必要はない。それは人間に神聖なる遺産を約束し、神の意志をすべての地に確立することを約束している。

奉仕しなさい。そしてあなた方自身と人類同胞のために、あの未来を実現しなさい。
奉仕しなさい。そして神の意志と調和して働くことを知りなさい。
喜んでそして賢明に奉仕しなさい、そして自由と歓びの中に飛び込みなさい。

これらの記事は、ハイアラキーの上級メンバーである覚者によるものである。彼の名前は秘教界ではよく知られているが、まだ明かされていない。マイトレーヤの出現に関する主要なスポークスマンであるベンジャミン・クレームは、覚者と常にテレパシーでコンタクトをとっており、彼に記事を口述していた。

覚者による他の記事を見る

読者質問欄(抜粋)

世界中のあらゆる講演において、そして生涯のほぼ毎日、ベンジャミン・クレームは広大な範囲に及ぶ大量の質問を受けました。この大量の記録から、過去の年月にベンジャミン・クレームと彼の師である覚者によって提供された回答を掲載したいと思います。

Q イエスは、彼を神として信じることが唯一の救いであると言っているのに、どうしてすべての教えは新しい時代のメシアへと導くのですか。

A 

イエスが実際そう言ったのかどうか、私には分かりません。ヨハネ福音書14章6節で彼はこう言っています。「わたしは道であり、真理であり、いのちである。わたしを通らなければ、誰も父のもとに行くことはできない」

マイトレーヤはキリスト原理の体現者です。現在はイエス覚者である弟子イエスをオーバーシャドウすることによって、そのキリスト原理がイエスを通して顕現されたのです。ですから、イエスがそう言ったとき、イエスを通してそれを言っていたのはマイトレーヤでした。

キリスト原理と呼ばれるものは愛のエネルギーであり、それは意識のエネルギーそのもので、右胸にある中心である(ハート)チャクラの中で目覚めます。聖書では、「賢者の心臓は右側にあり、愚者の心臓は左側にある」と書かれています。

右胸には霊的なハート・センターがあり、人体における魂の座です。それは濃密な肉体ではありません。エーテル肉体であり、精妙な肉体です。濃密な肉体はエーテル体が凝縮したものです。エーテル体は、それが濃密な肉体として顕現する前に母胎に入ります。

キリスト原理と呼ばれるものが意識の小さな種子、右胸のチャクラの小さな炎として目覚めるとき、あなたは賢者になります。キリスト原理が内部に宿ることを知り、キリスト原理に出合うたびにそれに反応します。そのエネルギーが目覚めると、より大きな度合いで、より大きな目的と、そのエネルギーに反応します。

「わたしは道であり、真理であり、いのちである。わたしを通らなければ、誰も父のもとに行くことはできない」。つまり、右胸のハートにおけるキリスト原理が顕現されることなしには。キリスト原理がそこで目覚めると、どんな人生を歩んでいようが、あなたはその霊的生命に方向づけられます。

それは宗教的になるということでしょうか? 宗教の道は神に至る多くの道の中の一つにすぎません。それらはすべて最後には一つのものに導かれます──唯一なる神です。ひとつの神性、ひとつの神があるだけです。あなたはそれであり、私たちはそれであり、実際のところ、神以外のものは存在しません。それは存在するすべてです。

私たちはこの肉体が実在のものだと考えています。そうではありません。それは相対的な実在にすぎません。それはあの神性の器ですが、私たちは皆その神性を分かち合っています。唯一の神性があるだけです。だからマイトレーヤはこう言われるのです。「わたしを崇拝してはならない。もしあなたがわたしを崇拝するなら、あなたは自分自身を低めていることになる。わたしはそれを欲しない。わたしはあなたに対等であってほしい。あなたは至高の存在の閃光である。あなたがわたしよりも低いと考えてはならない」

一つのレベルがあるだけです。それが神性であり、私たちと覚者方との唯一の違いは、彼らはその神性を顕示することができるということです。

私たちが進化の過程を辿るにつれて、その神性は肉体を通してそれ自身を表現できるようになります。ですから、すべての生命は進化しており──後退することもありますが──常に前進しているのです。すべての転生があの神性をますます顕示する能力を与え、遂にはマイトレーヤが真我実現と呼ばれる状態になります。

彼はこう言われます。「わたしは新しい宗教をつくるために来たのではなく」、あらゆる伝統の枠組みの中で進化し続けることができるよう援助するためであると。あなたがキリスト教徒なら、最良のキリスト教徒でありなさい。あなたがヒンズー教徒なら、最高のヒンズー教徒でありなさい。「わたしは人類に真我実現の術を教えるために来た」。そのために私たちはここにいるのです──真我(神)実現を達成するためです。彼は「真我のみが重要である」と言われます。

「わたしを通らなければ、誰も父のもとに行くことはできない」。キリスト原理が人間のハートの中に目覚めない限り、誰も自分の神性を実現することはできず、真我実現や神実現──それが父のもとに行くことです──に至ることはできない。イエスが意味したのはそういうことです。

呼びかけ

私たちの情報をウェブサイトだけで受け取る人が増え、シェア・インターナショナル誌を購読するためのわずかな費用を惜しむ人が増えていることに気づきました。

誰もがインターネットを使えるわけではないし、そうであるわけでもありません。つまり、印刷された雑誌が必要です。もちろん、それにはボランティアによる多くの作業と、制作・配布のための多くの資金が必要となります。ハイアラキーはこの仕事のためにお金を出しているという考え方があるかもしれませんが、そうではありません。シェア・インターナショナルの購読料は、私たちの活動を維持し、一般の人々に届けるために不可欠なものです。購読料は可能な限り低く抑えられており、雑誌は広告による補助を受けておらず、印刷代や郵送料は常に値上がりしています。

インターネット上の情報を読む読まないにかかわらず、この活動を真剣に信じるすべての人が、この雑誌を支援したいと思うことは、きっと誰もが認めることでしょう。

ご支援ありがとうございました。

編集長への手紙(抜粋)

本号に掲載された手紙は、最近起きた出会いについて述べられており、したがってベンジャミン・クレームの師によって確認されていません。手紙の書き手たち自身の直観的反応に加えて、そのような体験を熟知していることから生まれる確信が、こうした出会いは個人的に、また一般的にも重要で意義があると判断できる自信を与えています。
個人に関連していると特定されるような手紙もあれば、すべての人々に希望や鼓舞をもたらすことでそれ自体が語るものもあります。これらの手紙は読者の考慮のために提供されています。2通目の手紙はベンジャミン・クレームの師によって本当の出会いであることが確認されました。

まだここに

編集長殿
この出来事は2020年2月27日の朝早く、毎土曜日に伝導瞑想をしている私の家の一室で起こりました。毎朝夜明けの陽が差す前に一人で瞑想をするのが好きなのは、陽が昇るのを待ちながら、鳥たちが新たな1日を告げるさえずりのシンフォニーと、共に瞑想する大変に静かな時間だからです。

陽の光が見えるので、グループで瞑想をする同じ場所で、普通は朝の瞑想をしますが、太陽が目の前の大きな木々の枝の間まで昇ってくると、私は素晴らしい平安を感じ、人々はまだ眠っていて、物音もしないのです。

その木曜日に、私は少し気持ちが落ち込んでいて、自分の内面に援助を探さなければならないと感じたので、いつもよりもっと深く瞑想していました。スミレの香りがし始めましたが、エーテルの香りがするのは私には普通のことなので、必要以上の注意を払わず、瞑想を続けていました。

突然、最初の太陽光が目に入り、部屋の中の私から3mの所に差し込んだ時、驚くような荘厳な金色の光の中に、善良そうに微笑むベンジャミン・クレーム氏の顔が浮かんで見えたのです。ここではっきりさせておきたいことは、それは「ビジョン」ではなく、肉体レベルでの三次元の「聖なる出現」だったのです。彼の顔は善良さに満ちていて、博愛というものが溢れていました。それと同時に「私はいなくなっていない、ここにいる」という声が心の中に聞こえ、同時にエネルギーで満たされましたが、それはクレーム氏が存命中で、私たち皆が集中していた(オランダでの)ヨーロッパ研修会の、瞑想の時に感じたエネルギーと同様のものでした。その間スミレの香りが部屋に充満していました。私はそうした柔らかで力強く心地よいエネルギーを体験していたので、動くことができませんでした。目に涙が浮かんできましたが、泣いてはいませんでした。それがどのくらい続いたのかわかりませんが、クレーム氏が消えて、私には深い感動と多くの疑問が残りました。

翌日、再びスミレの香りがしましたが、おそらくその朝不快な医学治療に直面しなければならないストレスを感じていたためでしょう。今ではこうした瞑想の間、私が自分自身に生涯問い続けてきた数々の質問への明快な答えを受け取っています。

私は心から慎ましやかな気持ちで、ベンジャミン・クレーム氏に対して聖なる出現によって私を祝福してくださったことに、大いなる感謝を捧げ、私がそれを受けるに値するとは思われないことから、大変驚いているのです。
匿名希望
フランス

生きる喜び! 

編集長殿
2004年9月に、オランダのケルクラードでのヨーロッパ研修会に向かう途中の、どんよりとした雨の朝、デュッセルドルフの中央鉄道駅で列車を待っていた時、突然二人の若いアフリカ人の女性が階段を上ってきて、その姿でどんよりとした雰囲気を一掃してしまいました。二人共が大変美しく、(外見には)アジア風なところがあり、姉妹のように見えました。年上の方はもの静かで控えめな女性で、長い黒いコートにエレガントなブーツ姿でした。若い方の人は、本当に息をのむほどの美しさで、おそらく18歳くらいで喜びとエネルギーに溢れていました。彼女は短いミニスカートとタイトなデニムジャケットを着ていましたが、彼女は全くスリムではなく、むしろ身の詰まった身体だったので、着こなすには自信の必要な服装でした。けれども彼女にはすべてがぴったりと似合っていました。彼女は子供のように笑いながら前後に動いて踊ったり、(笑みを浮かべる)姉の前で、飛んだり跳ねたりしていました。それにもかかわらず、彼女の振る舞いに厚かましいところは全くなく、陽気で楽しいもので、それより前にはほぼ無関心そうにしていた他の人々が、微笑み始めたことに私は気づきました。

H.D
ドイツ
【ベンジャミン・クレームの師は、その『姉』がマイトレーヤで、『妹』がイエス覚者であったことを確認した】

時代の徴

ここでは、編集部にとって「希望の兆し」であり「時代の兆し」である現象を紹介します。幸いなことに、ベンジャミン・クレーム師によって本物であると確認された現象のストックは、現在かなり多くあります。しかし今後は、確認されていないものも紹介する予定です。私たちは、それぞれの「奇跡」または「徴」の現象において、可能な限り徹底的に調査することを約束し、過去にベンジャミン・クレームの覚者から常に提供されていた確認や、追加情報を現在利用することができないため、判断は読者のみなさまにお任せします。詳細については、入手可能な場合は、写真のキャプションに記載されています。

あと少し

編集長殿
2020年3月5日、仕事帰りに歩きながら、表面的な問題にもかかわらず、人類はマイトレーヤを迎える準備が整っていると、肯定的に、希望に満ちて、世界について、再臨について、考えていました。その時このローズピンク色のチョークの文字のそばを通り過ぎ、重要だと思って引き返し、メッセージを見つけました(左写真)。歩く間非常に高揚した気持ちになり、その気持ちはそのあとでも長い間残っていました。
O・C
米国、パームスプリングス

米国──2020年1月8日、テキサス州ハーストの目撃者が20個以上の光を発する物体が低空で飛行し、時々幾何学的な形をつくるのを目撃した。「私はもうびっくりぎょうてんしました」とその目撃者は語った。(mufon.com)

本誌通信員より

気候問題という試練:
人類の倫理基準の足並みをそろえる

気候問題という試練:人類の倫理基準の足並みをそろえる(抜粋)

ワンジャ・アムリン

世界の各国政府は約30年間にわたり、気候非常事態に対する世界的な対策を立案するため、毎年会合を開いてきた。1992年の国連気候変動枠組条約(UNFCCC)に基づき、世界各国は危険な気候変動を回避し、地球全体の温室効果ガス排出量の公平な削減方法を見つけるための協定によって義務を課されている。しかしながら、今日に至るまで、世界の温室効果ガス排出量は増加し続けており、気候変動の影響は以前に比べてより激しく、そしてより早くなっている。科学に基づく警告は、前代未聞のグリーンランドの氷河溶解やオーストラリアの山火事という劇的な形で現実のものとなっている。実際のところ、世界の国々は、完全に予測可能であった差し迫った大災害を回避するための行動をほとんど達成していない。公選された役職者と人類全体が明らかに自滅へと進む道を変更することを阻んでいるのは何か。解決策がより低コストとなり、世論が結集し、気候変動の影響がより明らかになりながら、なぜ政治的行動が続かないのか。

科学は何度も繰り返して、非常に大きな対策を行わなければ、安全な限界値内に気候変動を留めておくことは事実上不可能であると告げている。第25回気候変動枠組条約締約国会議(COP25)が2019年の終わりにマドリッドで開催され、パリ気候合意を支える枠組み上の主要な議題に関して合意するため、200カ国の代表が出席した。だが各国間の炭素市場の規則を作成するような、すべての該当する差し迫った議題は、次の2020年11月の気候会議に持ち越され、気候変動に対する行動への希望を高めるための機会を逃すという結果を残した。この驚くべき国際的なリーダーシップの欠如は、即座に行動すべきという緊急性を示した多くの新たな研究結果の観点から見て、いっそう重大な問題である。

なぜリーダーたちが、低炭素と、気候変動に対応できる開発という二つの目標を達成できなかったかの理由に関しては、多くの要因を挙げることができる。お役所仕事的な動きの鈍さや、イデオロギー的な抵抗といった要因、あるいは、パリ合意から離脱すると脅迫し、それによって国際的な気候合意を効果的に弱体化させている合衆国やブラジルなどの国家や、常に地上を破壊し大気を汚染しながら、ビジネスを継続するために持てる力すべてを使って介入する強力な多国籍企業といった要因である。彼らすべてが共通に持つものは、気候変動についての基本的な話術であり、それ自体が問題の一部である。それは、生きている存在としての地球に重要性を与えようとする代わりに、気候変動を解決不可能なものと見せかけようとし、そして議論を化石燃料や排出量の問題に絞り込んでいる。

視点を変える

グローバリゼーションとそれが引き起こす不満は、生態系、生物多様性、湿地、サンゴ礁を含むこの地球の臓器や組織に大きな損傷を与えている。生物圏の劣化によって、この惑星は海面上昇のような難問に対処する能力を失い始めている。たとえ私たちが炭素排出を一夜にして無くしたとしても、また、技術革新や幾つもの法律や規則によって気候変動から抜け出す方法を生み出したとしても、この地球は数多くの傷によって死に至るだろう。支配的となった話術が、あらゆる面でより全体的な地球の再生、保護、治療への道に向けて方向を変えない限り、私たちは中核となる問題を先送りし、地球のために世話をするという道徳的義務を滞らせる。

このことによって環境非常事態への注目は地域レベルに向けられることになり、自分たちの目の前で起こっている河川や土壌、森林に対する被害を私たちが見ているように、そうした非常事態はもっと目に見えるものになる。今すぐその場所で行動できるとき、気候変動の現象もまた、もっと具体的なものとなる。しかしながら、それはこの物質社会と私たちの関係の根本的な変化と、その中における私たち個人の役割の認識の増大を必要としており、その中に本当の問題が存在している。つまり、それは私たちの霊的危機なのである。浮かび上がってきた気候崩壊のような危機は、この主たる要因による症状であり、表面に現れたものである。私たちの集団としての失敗は、人々の中に深く染み込んだ、命に対する物質的で自己中心的な認識と、それに付随する生活様式の中に存在しており、同様に異なる行動を拒否し、その習慣を増大させてきた贅沢さを控えることを拒絶する自己満足の中に存在している。それらは先進国では一番優先されるものであり、最も気候危機を増大させているものである。他人を身代わりにすることは、ただ行き止まりへと向かうだけであり、現実の解決策から注目を逸らすことを加速させる。

このように、私たちは気候危機によって、否が応でも相互依存を認識させられている。なぜなら、私たちが目にしている損失が、私たちとこの地球のすべての生命をつなげているからである。私たちが地域と世界の友好の感覚を行動で示さない限り、日々実践しない限り、そして分かち合いと信頼の線に沿った原則を表現しない限り、存続に関わる脅威に直面することは避けられないだろう。アインシュタインは次のように言った。「今日直面している問題を、問題を生み出した思考と同じレベルで解決することはできない」と。異なった価値観や動機を持って実行しなければ、地球の炭素排出量の削減は、単に現実の問題を別の場へと移すだけである。したがって、基底にある懸念される問題とは、意識と正しい動機という問題である。人類の倫理基準は、すべての生命との内なる相互依存性と足並みをそろえることが必要である。・・・

民衆の声は究極の基準である

あらゆるところにいる人々の認識が、より本質的な、全人類との、私たちの兄弟姉妹との一体の感覚を分かち合う方向に移行することを経験しなければ、政治は変わらないであろう──政治家は、行動するリスクが行動しないリスクを上回ることを恐れているとき、動きが鈍いからである。より良い方向に向かう変化を判定する手段としては、民衆の声が究極の基準である。すべての人々が品位ある生活を送るに値するという心の内に感じる真実は、すでに何百万の人々を変化への要求へと向かわせている。彼らは気候変動危機や近代社会の他の苦難に取り組む存在となっている。この勢いは、深刻な不正義のシステムを変革したいという深い衝動を感じている人々の一部で加速している。変化を起こすために必要とされる一定の人数に達したこれらの人々は、人々が世界的な運動に参加し、すべての分野での現在の手詰まり状態を乗り越えることを可能にする社会的な分岐点に達するまで、様々な地域の人々を鼓舞し活気づけることができる。そうすると、人々は後に続くことがより容易になっていることに気づくだろう。心の中で真実であると知っているもののため、自分たちの霊的本質と一致しているもののために立ち上がることが、より容易になっていることに気づくだろう。そして分かち合いと正義を、真実とすべての人々にとっての安全な世界を生み出す唯一の方法として肯定するだろう。

習慣を変える──有り余る生活ではなく、充足ある生活へ
メトカ・マグダレーナ・ショーリ氏とデニス・ベレ氏へのインタビュー(導入部)

アレンカ・ズパン

マハトマ・M・ガンジーは、かつて、地球にはすべての人にとって必要なものが備わっているが、すべての人の貪欲を満たすものは備わっていないと述べた。彼はまたこうも述べている。「ある程度の物質的な快適さは必要であるが、それが一定のレベルを超えると、有益ではなく有害になります。だから、欲望を限りなく増大させ、それを満足させるべきという考えは妄想であり、罠です。……ヨーロッパの人々は、欲望の奴隷になるほど快適すぎる生活に圧倒されて亡びてしまう前に、その生活様式を変える必要があります」

多くのこうした警告にもかかわらず、第一次世界大戦と第二次世界大戦の間の1920年代に、製造を促すための新しい概念が示された。「計画的陳腐化政策」がそれである。この言葉の意味するものは、生産物の耐久性が短期間で終わるとする規範への誘導である。これは、さらに大きな妄想による麻痺状態──すなわち「生産物の時代遅れの感覚」を意識的につくり出す。多くの人が認めているように、消費者は広告に幻惑されて時代に先駆けた最新・最大・最良の生産物が手に入らないないときに、不満足感や敗北感にさいなまれる。

現在、最も思慮深い観察者たちにとって明白なことは、私たちは貪欲の罠にかかっていることである。地球が病んでいることを、ジェフリー・サックス氏のような経済学者は以下のように述べている。「世界では利用可能な資源の量が限界に達しています。私たちは毎日破壊的な洪水や干ばつや嵐に遭遇し、ショックを受けています。そして、市場価格が揺れ動いています。私たちの運命は、私たちが互いに協力するか、または自己破滅的な貪欲の犠牲になるかどうかにかかっています」

持続可能性の概念があらゆる生活領域にとって不可欠であるという認識が普及してきており、これが実際的な規範として広く受け入れられてきた。市民による地方発祥のプロジェクトが次第に地方や連邦や国家的組織へと浸透し、互いに協力し合い、共に行動に移す段階に達している。そして、使い捨てのライフスタイルが、リサイクルや再利用や修理や繕いを内容とする「ポスト消費主義」へと移行し、責任ある経営と農業とが新しい関係を築くことで、今後、この新しいライフスタイルが地球資源の公平な分配のための肝要な要素となるであろう。

スロベニアは、このような変化の必要性を認識し、リサイクルと廃棄物活用の革命において先導役を務めている。その首都リュブリヤナは2016年に「ヨーロッパ緑の首都」と名付けられた。物のリサイクルはスロベニアでの審議事項の優先順位に置かれている。以下のインタビューは、試みがまだ小規模ではあるが、持続可能な行動のための効果的な試みに関してのものある。

「通常」の死(抜粋)

グラハム・ピーブルズ

人類は多くの緊急課題の中でも、環境大災害から、貧困、不平等、平和の欠如、かつてない規模の強制移住まで、相互に関連する一連の自作の危機に直面している。それらすべてが、人類の否定的な振る舞いによって、蔓延する生活様式つまり現代生活のすべての側面を支配する腐食性の価値観とイデオロギーによって引き起こされてきた。

最近の危機は新型コロナウイルス(Covid-19)の大流行と、その結果として世界経済の崩壊の可能性である。それは、私たちが今までに見たことがない集合的な危機である。すべての人が行動を変えることを強いられており、旅行をやめたり、引きこもったり、買い物をやめて家に留まったり、地域の人を援助したりしている。人々は視点を移し、速度を落とし、生活を質素化し見直すことを強いられる。短期的には心配で不安なことではあるが、解放の可能性につながり、心を静めて内省し自分を見つめられる空間や自然環境に良いことを提供する可能性がある。

危機と同時に機会がやって来る。それは成長の可能性と目的の見直しである。調和を教えるような変化が起こるためであり、今まで抑制されてきたものの表現を可能にするような変化である。

人生には自然の秩序とすべての顕現を支える一定の根本的法則がある。このリズムが個人的、集合的に抑制されると閉塞が生じ、病気に至り、ある種の危機が発生する。抵抗が大きければ大きいほど、危機はより不可避で強烈なものになる。

現在の生活様式は不調和なものであり、社会制度や政治制度は全く不公平なものであり、多くの者を犠牲にして少数の者が恩恵を受けている。分離的で物質的な価値観と貪欲な還元主義のイデオロギーに動かされ、それらは私たちの問題のすべてではないとしてもほとんどの中心にある。生態系は自己中心的な人類の活動によって妨げられ、気象パターンは大気中に毎日注がれる毒物のために完全に変化し、気候に不協和が生じている。膨大な数の人々がこのような事実と新しい生活様式の必要性を認識しているが、政府と大企業の抵抗は激しい。現状への執着は深く、力と特権の喪失への恐怖は強烈である。そのため必要な変化は一貫して妨げられる。それが生来の特質であるために調和に向けて永遠に動こうとする自然の秩序は一貫して妨げられ、さらなる炎症を引き起こす。

新型コロナウイルスは、政府や機関や力を持つ法人による制御を超えている。それは広範囲で混乱を引き起こしており、混乱は激化しその範囲は拡大するだろう。そして公衆衛生だけではなく社会秩序に影響を及ぼし、消費者主導の経済を破壊するだろう。株式市場が暴落すると、企業は失敗し、世界的なサプライチェーンは分裂し、国家は内向きになることを強いられ、政府は『経済の基礎体力』や危機が去った後で市場が急速に『回復』する能力について、そして通常の生活に戻ることについて(予想として)話をする。しかし『通常』が問題である。『通常』は地球を毒し、途方もない水準の不平等を生み出し、人と人を、国と国を互いに対立させ、脆弱な人々の広範囲な搾取を維持し、あらゆる社会の病を助長する有害な価値体系を奨励している。これは過去のものであり、終わらなければならない。

・・・

世界が新型コロナウイルスの危機に直面している今、健康の要望と経済的な影響への協調的対応が必要とされる。地域での奉仕と単純な親切な行為が非常に大切であり、それが分かち合いである。これは地球規模の危機であり、一致した反応が求められており、競争やアメリカが第一、中国が第一、インドが第一などの部族的な国家主義はもう十分である。人類と地球が第一である。和合、協力、忍耐、理解、これらが分かち合いと同様にこの時代の特質であり、今までになくわれわれの思考と行動を導かなければならない。

大流行は克服されるだろう。そしてもし私たちがこの危機が提供する機会を受け入れれば、その後に生活が永遠に、根本的に、善に向けて変化するかもしれない本当のチャンスがある。生き方を再考するチャンス、良いことを奨励し、和合、平和、自然な幸福を育成し、存在の空間を実現するような新しい生活様式を導入するチャンスである。

シェア・インターナショナル2020年4月号
印刷版全内容

  • 覚者より 未来は招く
  • マイトレーヤからのメッセージ 第13信
  • 今月号の内容概説
  • 視点 社会的な距離を置く?
    平和と社会正義のためには、距離を置くの ではなく、一つになることが必要である
    ケビン・マーティン
  • 非暴力の効率性——概要 人口の3.5 % が急進的な政治変革をもたらす
    ドミニク・アブデルヌール
  • 暴力を超越する
  • 「通常」の死 グラハム・ピーブルズ
  • 世界情勢 ホームレスの人々がペットを飼うのを助ける「路上の獣医」
  • ニュージーランドの水危機を解決する
    グンダ・テンテとスティーブン・ロビンソンによるマイク・ジョイ博士へのインタビュー
  • 時代の徴 ユダヤ教最高指導者が救世主はここにいると語る
  • 気候問題という試練:人類の倫理基準の足並みをそろえる ワンジャ・アムリン
  • アレクサンドラ・ダヴィッド=ネール―――行動する意志 (第1部) アレクサンドル・ギベール
  • 習慣を変える―有り余る生活ではなく、充足ある生活へ
    アレンカ・ズパンによるメトカ・マグダレーナ・ショーリ氏とデニス・ベレ氏へのインタビュー
  • 編集長への手紙 まだここに 他
  • 読者質問欄 回答 ベンジャミン・クレーム

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